7-9月期実質GDPは年率2.6%増―2期ぶりプラス成長を回復(3)

今年7-9月期の日本の国内総生産(GD P、季節調整値)は、外需がけん引するとともに個人消費などの内需が予想外 に堅調で、実質で前期比0.6%増、年率換算2.6%増と2期ぶりにプラス成長と なった。内需に一部に弱さがみられるものの、景気回復が持続しているとする 政府の判断を裏付けた。

内閣府が13日発表した四半期別国民所得統計(1次速報)によると、GD Pの6割弱を占める個人消費は4期連続増加し、前期比0.3%増となった。また 民間設備投資は同1.7%増加し、3四半期ぶりプラス。内需の最大の押し下げ要 因は民間住宅投資で、6月に施行した改正建築基準法の影響で住宅着工が激減 した結果、前期比7.8%減と3四半期連続の減少となった。

7-9月期は、住宅部門が成長の抑制要因となったにもかかわらず、1% 台後半から2%とされる潜在成長率程度以上の成長を達成した。しかし先行き は、住宅着工や建設工事受注の減少による影響が10-12月期も継続するほか、 足元ではサブプライム(信用力の低い個人向け)住宅融資問題に伴う米国経済 の減速懸念や原油価格の急騰、株安・円高など景気の押し下げ要因が多い。

三菱UFJ証券景気循環研究所の嶋中雄二所長はブルームバーグ・テレビ で、GDP統計を受け「個人消費が強め。ゼロと見ていたのでここが大きく違 うところ」と指摘した。また住宅投資の落ち込みについては「意外に下げ幅が 小さい」としながらも、「10-12月期にかけてまた大きなマイナスが続くと思う ので、注意を怠れない」と述べた。嶋中氏はそのうえで、日本経済は「輸出主 導であることは間違いない」との見方を示した。

ブルームバーグ・ニュースがエコノミスト44人を対象に行った事前調査に よると、実質GDP伸び率は予想中央値で前期比0.5%増、前期比年率換算で

1.8%増だった。名目成長率は前期比0.3%(年率1.4%)となった。事前予想 では前期比0.4%増だった。

統計発表後のドル円相場は小動き。午前9時29分現在、1米ドル=109円 80銭前後で推移している。発表前は同109円59銭前後。

外需依存が鮮明

内需の成長率への寄与度は前期比0.2%増と、4-6期の0.3%減から改善 した。外需は、輸出がアジア・欧州向けに伸びて2.9%増となる一方、輸入は

0.5%増にとどまり、純輸出(外需)のGDP成長率の寄与度は前期比0.4%増 となった。4-6月の外需寄与度0.0%から大幅に上昇し、外需により依存した 成長の姿が浮き彫りになった。

日本銀行が10月に発表した企業短期経済観測調査(短観)によると、2007 年度の想定為替レートは通期で1ドル=115円20銭で、上期が116円10銭、下 期は114円33銭。輸出比率が高い製造業にとっては1円の変動が企業収益に及 ぼす影響は甚大だ。トヨタ自動車によると、1円の変動が通期営業利益に与え る影響は、対ドルで350億円、対ユーロで50億円に上るという。

総合的な物価の動きを示すGDPデフレーターは、前年同期比0.3%下落と、 4-6月期の同0.3%下落から、横ばい。GDPデフレーターは消費者物価や需 給ギャップ、単位労働コストとともに、デフレ脱却の判断材料としている。大 田弘子経済財政政策担当相は10月26日の会見で、「デフレ脱却は視野に入って いるが、足踏みしている」と述べていた。

4-6月期の実質GDPは前期比0.3%減から同0.4%減へ、年率1.2%減 から1.6%減へ下方改定された。

日銀の追加利上げ時期予想を先送り

クレディ・スイス証券の白川浩道チーフエコノミストは先週のリポートで 国内景気について、「再浮上する前に一時的な後退的な局面に入る確率は、40- 50%はある」との見通しを示した。日本銀行の金融政策については、「日銀が考 える金利正常化論を受け入れる余地はかなり縮小している」としたうえで、追 加利上げが08年10-12月期まで先送りされると予想している。

UBS証券の大守隆チーフエコノミストも12日付のリポートで、日銀によ る0.25%の追加利上げの時期を「2008年1月ではなく、2008年7-9月期中と する」と述べ、その理由として「住宅不振による米国経済への影響は当初予想 より長期化し、大きくなる公算が大きい」ことを挙げている。

日米とも減速見通し

バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長は8日の上下両院経済合 同委員会で証言し、2007年第4四半期(10-12月)の米経済成長が「顕著に減 速する」との見通しを示し、商品価格やドル安が「当面は」インフレを加速さ せる恐れがあると述べた。

日本銀行は10月末に公表した経済・物価情勢の展望(展望リポート)で、 国内住宅着工の減少を受け、実質国内総生産(GDP)伸び率の「中央値」を 07年度がプラス1.8%と、4月時点の見通しであるプラス2.1%から引き下げた。 内閣府は8月に公表した試算で、07年度の実質成長率の見通しをプラス2.1% としている。

--共同取材 鎌田泰幸 吉川淳子 亀山律子 Editor:Ozawa

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