キヤノン:トッキを傘下に、有機EL開発加速-TOBと増資で(3)

(6段落にアナリストの見方、7段落に背景を追加します)

【記者:林 純子】

11月13日(ブルームバーグ):デジタルカメラ世界最大手のキヤノンは 13日、次世代ディスプレー、有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)の製造 装置大手のトッキを連結子会社化すると発表した。株式公開買い付け(TO B)と、第三者割当増資の引き受けを通じて、トッキ株の過半数を取得する。 有機ELディスプレーの開発加速が狙い。

キヤノンが13日に東証で発表した資料によると、トッキに11月14日か ら12月12日までTOBをかける。買い付け価格は1株556円で、トッキの12 日終値より20%、過去3カ月の終値平均株価より約27%高い。買い付け予定 数は307万株で、予定数を超える場合は応募株をすべて買い付けるが、その場 合の買い付け代金は最大で109億円になる。トッキもTOBに賛同している。

またトッキは12月28日を払込期日として1株417円、総額59億円の第 三者割当増資を決議しており、キヤノンはこれを引き受けることで、第三者割 当増資の効力発生後、トッキ株の51.46%を保有する予定。応募株券の数の合 計が買い付け予定数を超えた場合でも、応募株をすべて買い付けるため、所有 割合は最大で100%となる。

ディスプレー事業立ち上げ

キヤノンは2010年12月期まで5年間の中期経営計画の重要戦略として、 多角化による業容の拡大を掲げている。御手洗冨士夫会長は今年3月の経営方 針説明会で、多角化による業容拡大の1つとしてディスプレー事業の立ち上げ に言及。次世代薄型ディスプレーパネルSED(表面電界ディスプレー)、リ アプロジェクターとともに有機ELを挙げ、有機ELディスプレー製品への応 用に向け、有機EL素子とプロセス技術開発に注力してきた。

一方、トッキは受注高の低迷や台湾企業向けの有機EL製造装置の出荷停 止措置などの影響で、2007年6月期まで3期連続の赤字となり、財務面でも厳 しい状況にある。こうしたなか、キヤノンがトッキを連結子会社とすることで キヤノンは有機ELの開発を加速することができ、トッキにとっても財務体質 の改善や受注拡大が期待できると判断した。

みずほインベスターズ証券調査部の大澤充周シニアアナリストは、「金額 的にはサプライズはないが、話題の有機ELであるだけに目を引く話」と指摘。 一方で、「トッキの持つコア技術レベルがどの程度であるかが、キヤノンの有 機EL事業成否の鍵を握る」との見方を示した。

有機ELは基板上に配列した有機材料に電気を流して発光させ、表示する ディスプレー。ソニーが12月に1台20万円で厚さ3ミリの11型テレビを発 売する予定であるほか、セイコーエプソンも10月、画面サイズ8インチの製 品実用化に向けて小規模量産が可能な開発製造ラインの稼働を発表したばかり。 キヤノンの開発加速で競争が激しくなることが予想される。

キヤノンの株価終値は前日比70円(1.3%)安の5360円、トッキは同7 円(1.5%)安の456円。キヤノンのトッキ買収は午後3時すぎのNHKニュ ースが報じ、これを受けジャスダック証券取引所は情報に関する真偽を確認す るためとしてトッキ株式の売買を一時停止した。

-- Editor:Taniai(has/okb)

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