NY外為:ドル、対ユーロで06年7月以来の大幅高-リスク軽減

ニューヨーク外国為替市場ではドルが対 ユーロで2006年7月以来の大幅高となった。信用市場での損失を受け、高利 回り通貨資産の保有を減らす動きが優勢になった。

オーストラリアや南アフリカ、ニュージーランド、ブラジルの通貨が下げ の中心となった。ドイツ銀行のアナリストは、サブプライム(信用力の低い個 人向け)住宅ローン担保証券の評価損は世界的には3000億-4000億ドル (約32兆8000億-43兆7000億円)に達する可能性があるとの見方を示し た。ドルは先週、主な貿易相手国の通貨に対して、軒並み安値を更新した。

BMOキャピタル・マーケッツ(トロント)のストラテジスト、マシュ ー・ペリエ氏は「主要通貨に対するドルの地合いが強まっている。リスク回避 が活発になったことから、ヘッジファンドは損失を補おうと益出しに動いてい る。そのため、ドルが強含んでいる」と述べた。

ニューヨーク時間午後4時現在、ドルは対ユーロで前週末比1%高の1ユ ーロ=1.4539ドルで推移している。前週末は一時、1.4752ドルと最安値を 付ける場面もあった。ドルは年初来で9.2%安、過去5年では30.3%下落し ている。

INGファイナンシャル・マーケッツの自己勘定取引ディレクター、マ シュー・カッセル氏(ニューヨーク在勤)によると、ニューヨーク外為市場の 取引量は通常の水準を75%下回っている。前日のベテランズデーの振り替え休 日でこの日は債券市場が休場となった。

カナダ・ドル、ポンド

カナダ・ドルは米ドルに対し、1971年以降で最大の下げを演じた。7日 には1.1040米ドルと1950年の変動相場制移行以来の最高値を更新していた。 原油相場と金相場の下落により、カナダの商品輸出見通しが暗くなったことが カナダ・ドル売りの理由。

ポンドはドルに対し、1.7%安の1ポンド=2.0556ドルと3年半ぶりの 大幅安となった。9日には2.1161ドルと1981年以来の高値を付けていた。

リスク回避の動きから円は主要16通貨に対して上昇。円は前週末比1% 高の1ドル=109円63銭。一時は109円13銭と2006年5月以来の高値と なった。対ユーロでは1.9%高の1ユーロ=159円33銭となっている。

低金利通貨で資金を調達し、高金利通貨で運用するキャリー取引の解消か ら、円はオーストラリア・ドルに対して4.5%高。南アフリカ・ランドに対し ても4%高、ニュージーランド・ドルに対しては3.4%高となった。

キャリー取引

キャリー取引では政策金利が0.5%と低い日本で資金を調達し、8.25%と 高いニュージーランドなどの資産で運用する。ただ、為替市場で値動きが荒く なると、損失を被る可能性がある。

政策金利が2.75%と低く、円と同様にキャリー取引の調達通貨として人 気があるスイス・フランはオーストラリア・ドルに対して3.2%上昇。対カナ ダ・ドルでは1.9%上昇した。

マン・グローバル・リサーチのシニア通貨アナリスト、マイケル・マルピ ード氏(シカゴ在勤)は「キャリー取引に大量の巻き戻しが起こっている。米 国に端を発した動揺が波及するとの懸念と荒い値動きが重なって、リスクを回 避する動きになっている」と指摘。円は対ドルで今月中に108円まで強含む可 能性があると述べた。

対円でのドルのボラティリティ

1カ月物ドル・円オプションのインプライドボラティリティ(IV、予想 変動率)は17%と前週末の15%から上昇。米連邦準備制度理事会(FRB) が公定歩合を引き下げる前日の8月16日以来の高水準となった。

1カ月物ユーロ・ドルのオプションIVは2005年以来の高水準となった。

商品先物取引委員会(CFTC)が発表した建て玉に関する報告によると、 対ドルでのユーロの買い越し幅は6日現在、7万6048枚と、前週の6万 8848枚から増加した。過去最高は5月の11万9538枚。

「小さな調整」

BMOのペリエ氏は「ドル安基調は小さな調整局面にある。やや売られ過 ぎていた」と述べた。

主要6通貨に対するインターコンチネンタル取引所(ICE)のドル指数 は年初から9.1%下落している。9日には74.978と過去最低を記録、ドルは ユーロ導入前の理論値でも1マルク=1.3260ドルと過去最安値を更新してい た。

フェデラルファンド(FF)金利先物相場の動向はFOMCが12月に追 加利下げを実施する確率が98%であることを示している。

ブルームバーグ・ニュースが実施したアナリスト40人の調査によると、 年末時点でのユーロの予想中央値は1.44ドルとなっている。

南米コロンビアからアジアのインドに至るまで、各国の中央銀行が外国為 替規制を強化している。ドルに対する自国通貨の大幅な上昇に歯止めを掛ける ためだ。

コロンビア中銀は、同国の株式や債券を売買する外国投資家に対し、投資 資金の40%を同中銀に半年間預金することを義務づけている。インド準備銀行 も、外国勢の投機を防ぐための規制を強化。韓国銀行は、10年ぶりの高値に達 した通貨ウォンの上昇を抑制するため、為替フォワード取引の調査に乗り出し ている。

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