原油100ドル突破で米国はリセッション入りも-米経済は危険地帯

企業や消費者が今年初め以降乗り越えて きた燃料費の上昇が今、弱まる米景気をリセッションに陥れようとしている。

米連邦準備制度理事会(FRB)の元エコノミストでグローバル・インサ イトのチーフエコノミストのナリマン・ベーラベシュ氏は、米経済は「危険地 帯にいる」と述べ、「2つのショックで米経済は腰折れするだろう。信用収縮 という形で1つ目のショックを受けており、2つ目のショックは原油だろう」 と語った。

原油価格が1バレル=100ドルの大台を突破しそうな勢いを見せるなか、 米経済は企業の借り入れコストの急上昇で足元がぐらついている。欧州や日本 も米国のサブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン危機を受けた信用 収縮を受け、打撃を受けやすい状態にある。

最近のエネルギー価格の急騰以前から、エコノミスト予想では2007年10 -12月(第4四半期)の米経済成長率は2%未満となり、第3四半期の半分 の伸びに減速すると見込まれていた。UBSのロンドン在勤エコノミスト、ア ンドルー・ケイツ氏は、米国が来年リセッション入りする確率は45%と、先 月の33%から上昇していることが、同氏の分析モデルで示唆されていると指 摘。原油価格への懸念が「増大している」と述べた。

日本は1990年代前半以降で4回目のリセッションのリスクに直面してい る。景気先行指数は10年ぶりにゼロ%となった。欧州委員会は先週、原油高 などを理由に08年のユーロ圏13カ国の成長率予想を2.5%から2.2%に下方 修正した。昨年の成長率は2.8%だった。

エネルギー効率

世界経済がリセッションを回避する可能性も、新興市場国の景気拡大の持 続を背景に、依然として残っている。ドイツ銀行の先週のリポートでは、エネ ルギー効率の向上によって、原油高騰の影響は「抑制され続ける」との見通し を示した。

しかしそれでも、暗いムードは広がっており、そのスピードはリセッショ ンと「紙一重」の状態であることを示唆していると、ワコビアのチーフエコノ ミスト、ジョン・シルビア氏は指摘する。同氏は、「1カ月前の時点では信用 収縮問題が継続し、原油相場が85ドル超の水準で推移するとは考えられてい なかった」と語った。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)では原油価格が先週、過去最高値 を更新して98.62ドルを付けた。先週の終値は96.32ドルで、年初来の上昇 率は58%となった。インフレの影響を調整したベースの価格は、イランが輸出 を削減した1981年の最高値を上回った。

中央銀行にとってジレンマなのは、原油高による景気への打撃とインフレ 加速リスクの間でどうバランスを取っていくかだ。バーナンキ米連邦準備制度 理事会(FRB)議長は8日の議会証言で、原油価格の上昇はインフレに「さ らなる上昇圧力」をかけるとともに「さらに景気を抑制する」を恐れがあると の認識を示した。こうした懸念から、欧州中央銀行(ECB)も先週、政策金 利を据え置いた。トリシェECB総裁はインフレ加速の危険が引き続き見られ ると述べている。

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