日本株は安値試す公算、米消費懸念と円高-輸出と金融など全面安(2)

週明けの東京株式相場は、8月に付けた 2007年の安値を試す展開となりそうだ。米サブプライム(信用力の低い個人 向け)住宅ローン問題の影響が米個人消費に波及する兆しが出てきた上、外国 為替市場での急激な円高も企業収益に対する不透明感の高まりにつながる見通 し。海外依存度の高い輸出関連株、景況感悪化が逆風となる銀行株を中心に、 ほぼ全面安の様相が強まると想定される。

三菱UFJ証券の藤戸則弘投資情報部長は、「これまでの円高はドル安に よる影響の色彩が強かったが、先週末は高金利通貨の売りへと様相が変化して きた」と指摘。米国株安だけでなく、円高が進行していることで「今週は8月 安値を割り込む展開も想定される」(同氏)と見る。

日経平均株価の8月安値は終値ベースで1万5262円、TOPIXは同

1479.82。

シカゴ先物市場(CME)の日経平均先物12月物の9日清算値は1万 5255円で、大阪証券取引所の通常取引終値(1万5550円)に比べて295円安 だった。

ハイテク業績への警戒、円高加速

先週末9日の米国では、携帯電話用半導体メーカー米2位のクアルコムが 利益見通しを下方修正したほか、消費者支出の鈍化を理由にアナリストらが化 学大手3Mと米ディスカウントチェーン2位ターゲットの利益見通しを引き下 げた。米銀3位のJPモルガン・チェースは9日、米証券取引委員会(SE C)への届け出で、「市場の状況が一段と悪化すれば、さらに評価損を計上す る恐れ」があることを明らかにした。

11月のロイター・ミシガン大学消費者マインド指数(速報値)は75と、 10月の80.9から低下。三菱東京UFJ銀行のシニア金融エコノミスト、クリ ス・ラプキー氏は「統計内容は第4四半期(10-12月)の個人消費が減速す るのをまさに予兆している」と語った。住宅市場の落ち込みと金融市場の混迷 が消費者に影響を与えたことで、テクノロジーなどこれまで相対的に業績が堅 調だった他の業種へも先行き懸念が広がっている。

米個人消費の下押し圧力が強まれば、アジア経済の好調が業績支えとなっ てきた自動車や電機、機械などの輸出関連セクターの2007年度業績の伸びを 鈍化させる可能性がある。日本経済拡大のけん引役となってきた輸出関連株へ の業績鈍化観測は、国内景気全般への不透明感として銀行株など他業種にも広 く及ぶ懸念がある。

一方、外国為替市場では急激な円高が進展している。週明け12日朝の外 国為替市場で、円はドルに対し1年半ぶりの高値を付けた。ユーロに対しては 2週間ぶり高水準となっている。信用市場での損失懸念の再燃で、投資家は高 利回り資産を減らしている。東京時間早朝のドル・円相場は1ドル=110円22 銭、対ユーロでは161円74銭にまで上昇した。

中国利上げ、アジア株を注視

中国人民銀行は10日、景気沈静化と株式・不動産市場の投機抑制を目的 に、今年9回目の預金準備率の引き上げに踏み切った。中国人民銀はウェブサ イトで、「銀行システムの流動性管理を強化し、過剰な融資の伸びを抑制する ために」、預金準備率を現行の13%から13.5%に引き上げると発表した。ブ ルームバーグのデータによると、今月26日からの実施で預金準備率は少なく とも1987年以来で最高水準となる。きょうは利上げ発表後の中国株やアジア 株の動向も注視される。

バリュエーションが下支え

三菱U証の藤戸氏によると、先週末の日経平均のPER(株価収益率)は

16.5倍。8月安値時は16.1-16.2倍で下げ止まったといい、「売り込まれた 後に中長期の年金資金が買いに出動する状況を期待したい」(同氏)という。

NTTやセガサミHに売り先行

個別では、携帯電話子会社の利益急減から9月中間期の連結純利益(米国 会計基準)が前年同期比33%減と落ち込んだNTT、08年3月期の純利益計 画を下方修正したセガサミーホールディングス、9月中間期連結営業利益が前 年同期比14%減となった電通に業績失望からの売りが先行しそう。

9日の取引時間中に9月中間期連結営業利益が前年同期比15%減になっ たと発表した千代田化工建設も、UBS証券の投資判断引き下げなどであらた めて売り直される懸念がある。

半面、9月中間期の連結純利益が従来予想を上回ったもようと発表したあ いおい損害保険や日本興亜損害保険、9月中間期の連結純利益が前年同期比 55%増と伸びた近鉄エクスプレスなどが業績評価から底堅い動きとなりそうだ。 このほか、発行済み株式総数の0.8%に当たる普通株式400万株の自社株買い の実施を決定した富士フイルムホールディングスも、需給改善期待が株価の下 値を支える可能性がある。

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