NY外為(9日):円が対ドルで上昇‐信用懸念でキャリー解消(2)

ニューヨーク外国為替市場では円がドル に対して上昇、2006年5月以来の高水準に上昇した。信用市場での損失や株 安を受けて投資家は低金利の円で資金を調達し、高金利通貨で運用する円キャ リー取引を解消した。

週間ベースで円はドルに対して2005年12月以来の大幅な上昇。英銀バ ークレイズが評価損を計上するとの観測が背景。リーマン・ブラザーズ・ホー ルディングスとドイツ銀行は2008年末までに円が対ドルで100円に上昇する との見通しを示した。ドルは投資家が質への逃避で米国債に買いを入れたため、 対ユーロでの最安値からは上昇した。

ドイツ銀行の上席通貨ストラテジスト、アダム・ボイトン氏は、「リスク 回避の動きが市場に戻ってきた。金融企業が公表している評価損をみると、サ ブプライム問題は深刻であり、その後遺症を処理するにはしばらく時間がかか るとみている。円は引き続き恩恵を受けるだろう」と語った。

ニューヨーク時間午後4時現在、円はドルに対して1.7%上昇して110 円66銭。一時は110円51銭まで上昇した。円は対ユーロでは1.8%上げて 162円38銭。ドルは対ユーロでほぼ変わらずの1.4670ドル。一時は

1.4752ドルの最安値をつける場面もあった。前日は1ユーロ=1.4676ドル だった。

今週の円は対ドルで3.7%上昇し、対ユーロでは2.6%上げた。一方、 ドルは週間ベールでユーロに対し1.1%下落した。

安全投資からスイス・フランも上昇。対ドルでは1995年4月以来の高値 となる1.1189スイス・フランを記録した。高金利通貨の豪ドル、ニュージー ランド(NZ)・ドル、南アフリカ・ランドは下落した。

ドルは対英ポンドで26年ぶり安値から上昇。豪ドルやNZドル、カナ ダ・ドルに対しても上昇した。投資家は米短期債に買いを入れたことから、利 回りはサブプライム(信用力の低い個人向け)ローン問題による損失懸念がピ ークだった8月以来の低水準に落ち込んだ。

バークレイズ、ワコビア

英バークレイズは多額の評価損を計上するとの観測から売りを浴び、株式 売買が一時中断される場面もあった。ジョン・バーリー最高経営責任者(CE O)は従業員向けに文書を発表し「沈黙」こそ、観測が誤りであることを示す と述べた。

ワコビアは2007年10-12月(第4四半期)に貸倒引当金を最大6億ド ル積み増しすることを明らかにした。また米住宅金融のファニーメイ(米連邦 住宅抵当金庫)は7-9月期決算が赤字だったほか、1-9月期の利益が前年 同期比で57%減少したことを発表した。

ドルは週間ベースで主要16通貨のうち11通貨に対して下落。12月の連 邦公開市場委員会(FOMC)会合で追加利下げが決定されるとの観測を背景 にドル建て資産の魅力が減退した。

バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長は8日の米議会証言で、 第4四半期の米景気が「顕著に」減速しているとの見解を示した。午前に発表 された11月のロイター・ミシガン大学消費者マインド指数(速報値)は75 と、10月の80.9から低下。ハリケーン「カトリーナ」襲来という特殊要因 で急落した2005年10月(74.2)を除けば、1992年10月(73.3)以来の 最低だった。

ドル安で貿易赤字縮小

ドルは年初来ユーロに対して10.1%下落しており、これが米貿易赤字の 縮小と輸出拡大につながっている。9月の貿易赤字は565億ドルと、2005年 5月以来の低い水準だった。

ブルームバーグ・ニュースがまとめたアナリスト40人の予想平均による と年末までのユーロは対ドルで1.44ドルが見込まれている。

米ドルは第4四半期に入り、主要16通貨すべてに対して下落している。 大手金融機関は米サブプライム住宅ローンに関連する資産の評価損として400 億ドル以上を計上している。

金利先物市場の動向によると、12月に開かれるFOMC会合で0.25ポ イントの追加利下げが決定される確率は98%。1週間前の同確率は68%だっ た。

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