米国債(9日):3カ月物TB利回り大幅下落―サブプライム懸念(2)

米国債相場は続伸。サブプライム(信用力 の低い借り手向け)住宅ローンに関連した損失への懸念で、安全な投資先とし ての米国債に資金が流れ込み、3カ月物財務省短期証券(TB)はほぼ3カ月 ぶりの高値を付けた。

3カ月物TBの利回りは大幅下落。英銀バークレイズが評価損を計上する との観測で株式相場が下落したほか、米地銀大手のワコビアが10―12月期のロ ーン関連損失は17億ドルになると発表した。米国債の利回りはこれらを背景 に8月21日以来の水準に低下した。同日の金融市場ではマネー・マーケッ ト・ファンド(MMF)がサブプライム懸念から、投資先を資産担保コマーシ ャル・ペーパー(CP)から短期国債に乗り換えた。

メリルリンチの債券テクニカルストラテジスト、ウォルター・バーク氏は、 「巨額の資金がリスクを回避し、安全な証券へと向かいつつある」と指摘。 「株価が下げ始めるとすぐに米国債に買いが殺到する。ここまで明確な逆相関 は見たことがない」と付け加えた。

キャンター・フィッツジェラルドによると、ニューヨーク時間午後2時現 在、3カ月物TBの利回りは16ベーシスポイント(bp、1bp=0.01ポイン ト)下げて3.25%。一時は3.05%まで低下していた。2年債利回りは同6b p低下の3.42%。一時は2005年2月以降最低の水準まで下げた。

10年債利回りは6bp下げて4.22%。2年債に対する上乗せ幅は81b pと、2005年3月以来の最大に接近した。この利回り格差(イールドカー ブ)は11月5日以来16bp拡大しており、5日間の傾斜拡大としては7週間 間で最大のものとなった。

週間ベースで利回り低下

週間ベースでみると、3カ月物TBの利回りは2週連続低下。2年債利回 りは8月3日に終了した週以来最長の4週間連続で下げた。10年債利回りは2 週連続で低下した。

3カ月物ドル建てロンドン銀行間貸出金利(LIBOR)と3カ月物TB 利回りの格差は13bp拡大して161bp。信用リスク上昇の兆候を示した。

RBCキャピタル・マーケッツの米国債トレーディング責任者、トーマ ス・トゥッチ氏は(ニューヨーク在勤)は、「銀行システムにとって問題は深 刻だ」と指摘。「TB利回りが下げるのは明らかに質への逃避の証拠だ」と述 べた。

同様の利回り低下が見られたのは8月。貸し渋り防止で連邦準備制度と欧 州中央銀行(ECB)が過去最大規模の短期流動性を銀行システムに供給した ときだった。

10年債

バークレイズ・キャピタルによれば、消費者のローン需要が伸びていれば、 10年債利回りは現在よりも約0.3ポイント高い水準にあると考えられる。

住宅不振はローンの期限前返済に対するヘッジとしての長期債需要を鈍ら せるため、10年債価格は2年債より伸び悩む傾向にある。シティグループの推 計によると、今年に入り住宅ローン担保証券の発行は20%落ち込んだ。住宅購 入の減少が背景にあるという。

評価損

ロンドン株式市場では英銀大手のバークレイズが一時9.1%急落。同行の 広報担当者は評価損の観測は事実無根だと否定し、ジョン・バーリー最高経営 責任者(CEO)辞任の計画はないと述べた。

また米地銀大手のワコビアが米証券取引委員会(SEC)に提出した文書 によると、同行は第4四半期に貸倒引当金を最大6億ドル(約670億円)積む ほか、サブプライム(信用力の低い借り手向け)住宅ローンに関連した証券で 10月に11億ドルの損失を出した。同行は第3四半期で13億ドルの評価損を 計上、同四半期決算は6年ぶりの減益決算となった。

ドイツ銀証券のマネジングディレクター、ジョゼフ・ラボーニャ氏(ニュ ーヨーク在勤)は、「金融市場ではサブプライム関連でまた新たな巨額の評価 損が出てくると懸念されており、損失が膨らみすぎると急激な信用収縮を引き 起こしかねないと不安になっている」と述べた。「米国債市場、特にTBはこ うした不安感を反映しているようだ」と付け加えた。

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