日本株は輸出や金融中心に続落、舵取り難しい米金融当局に懸念(2)

週末午前の東京株式相場は続落。米金融 当局者の発言から同国経済の先行き懸念が広がったことに加え、午前半ばから 為替相場が円高方向に進み、輸出関連株中心に次第に売りが優勢となった。米 サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン問題の不透明感や消費者金 融株の下落から、みずほフィナンシャルグループなど銀行株も安い。

しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹投信グループ長は、「バー ナンキFRB(米連邦準備制度理事会)議長の発言で、米利下げに一服感が出 ている」と指摘。インフレで利下げが困難になれば、「サブプライム問題の影 響を利下げでカバーしている米国景気は、厳しくなる可能性がある」との認識 を示した。

午前の日経平均株価は、前日比168円18銭(1.1%)安の1万5603円39 銭、TOPIXは14.62ポイント(1%)安の1502.32。東証1部の売買高は 概算で11億4079万株。値上がり銘柄数は607、値下がり銘柄数は971。

日経平均は8日の安値(1万5626円)を下回り、9月11日に付けた取引 時間中の直近安値(1万5610円)をも下回った。またきょうは、取引開始時 に株価指数オプション11月物の特別清算値(SQ)算出が予定されていたが、 午前はDOWAホールディングスが売り気配のまま推移し、明確に算出される 状況には至っていない。

午前の東証業種別33指数の騰落状況は、値上がり業種が4、値下がり業 種が29。精密機器、卸売などが高い。半面、銀行、輸送用機器、情報・通信、 医薬品、その他金融は安い。

10-12月は顕著に減速、FRB議長のジレンマ

午前の東京市場は株価指数が朝安で始まった後にいったんプラスへと転じ、 その後に再びマイナスへ沈むなど不安定な相場展開となった。テクニカル的な 下げ過ぎが指摘される中で、買いが入りにくいのは米国景気や企業業績に対す る不透明感が拭えないことが要因となっている。このため、為替の円高をきっ かけに先物主導で売りが加速した。

バーナンキFRB議長は8日、米上下両院経済合同委員会で証言し、2007 年第4四半期(10-12月)の米経済成長が「顕著に減速する」との見通しを 示した。FOMC(連邦公開市場委員会)は第4四半期減速を依然から予想し ていたものの、住宅市場の混迷による影響が個人消費や企業の設備投資に及ん だ場合は「この見通しに対する下振れリスクも認識していた」と強調した。

FOMCがすでに景気減速を相当程度織り込んでいる発言から、「追加利 下げには想定以上の経済指標の悪化が必要となろう」(日興シティグループ証 券の村嶋帰一チーフエコノミスト)との見方が強まった。足元では景気指標は 大きく悪化しておらず、一方で原油など資源価格の上昇やドル安でインフレ懸 念も台頭。「FRBはジレンマを抱え、輸出関連株は下期の業績に確信が持て ない」(しんきんアセットの藤原氏)という。

銀行株も失速

朝方は高く始まった銀行株も、午前半ば以降にはみずほフィナンシャルグ ループなど大手金融グループを中心に失速。「サブプライム問題の関連損失へ の不安感は消えていない」(ベアー・スターンズ証券の倉持宏朗マネージング ディレクター)という。

その他金融株の下げも銀行株に悪影響を与えた。消費者金融大手が8日に 中間決算を発表したが、武富士は9月中間期連結経常利益が期初計画を7%下 回った。高水準な利息返還金と金利引き下げは収益を圧迫、下期業績の先行き に楽観はできないとして売り圧力が強まった。その他金融は軒並み大幅安とな り、その他金融株は午前の東証1部業種別下落率首位となった。グループ企業 の消費者金融の業績悪化や株価下落は銀行にとってマイナスに働く。

富士ソフトはストップ安

個別では、2008年3月期連結経常利益見通しを引き下げた富士ソフトが 値幅制限いっぱいのストップ安。9月中間期の連結純損益が92億4600万円の 赤字に転落したアルプス電気も急落。08年3月期連結純利益が従来予想を下 回る見通しとなったDOWAホールディングスは値幅制限いっぱいのストップ 安売り気配のまま取引が成立しなかった。9月中間期の連結純利益が前年同期 比16%減となったカプコンは大幅続落。

系列ホテル運営会社「大和リゾート」が6年間で15億円の利益を水増し 計上していたことが分かったと9日付の朝日新聞朝刊が報じた大和ハウス工業 が大幅安。KBC証券がレーティングを中立に下げたイーピーエスも急落。

資源関連堅調、ニコン急伸

半面、資源関連株は高い。三井物産や三菱商事など大手商社株が売買を伴 って上昇。住友金属鉱山が反発し、9月中間期の連結営業利益は前年同期比 36%増と伸びた三菱マテリアルは6日ぶりに反発。午前は東証1部の上昇業種 が4業種にとどまる中、卸売業と非鉄金属はそれぞれ上昇した。米国景気の先 行きが不透明感となっていることから、「新興国経済に対すウエートが高い業 種は買い安心感がある」(しんきんアセットの藤原氏)とされた。

世界最大の鉱山会社であるオーストラリアのBHPビリトンは8日、同業 の英豪系リオ・ティント・グループに買収案を提示したと明らかにした。これ に対し、リオ・ティントは同提案を拒否した。ロンドン株式市場のリオ・ティ ントの株価は買収案発表後、一時は5425ペンスまで上昇し、上場来高値を更 新。「資源高が足元でも続いている上、世界的な業界再編も株価にプラスにな る」(ベアー・スターンズの倉持氏)との指摘も出ていた。

デジタル一眼レフなどの好調で08年3月期連結業績予想を上方修正した ニコン、クレディ・スイス証券が投資判断を強気に引き上げた日本ビクターが 急伸。日興シティグループ証券が投資判断を引き上げた伊勢丹、JPモルガン 証券が投資判断を引き上げた三菱電機も高い。子会社2社の株式公開買い付け (TOB)を発表したバンダイナムコホールディングスは、三菱UFJ証券の 格上げも評価されて大幅高。

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