日本株(終了)日経平均は9月来の16000円割れに、サブプライム混迷

東京株式相場は先物主導で大幅続落し、日 経平均株価の終値は9月18日以来の1万6000円割れとなった。東証1部の時 価総額は10月25日以来の500兆円割れ。米サブプライム(信用力の低い個人 向け)住宅ローン問題による米国景気への影響を懸念する動きや、円高進行に よる企業業績の不透明感が広がった。自動車や電機など輸出関連株中心に幅広 く売りが増加。米モルガン・スタンレー証券の保有資産減少が明らかになり、 TOPIX銀行株指数は今年の安値となった。

ユナイテッド投信投資顧問の高塚孝一シニアファンド・マネジャーは、 「米国で15日から導入される会計基準『レベル3』の骨格が見えてきた」と 指摘。この会計制度により、「米金融機関の広義の損失隠ぺいが、相当つまび らかになる可能性が出ている」(同氏)と懸念を示した。

日経平均株価の終値は前日比325円11銭(2%)安の1万5771円57銭、 TOPIXは39.75ポイント(2.6%)安の1516.94で、いずれも5日続落。 東証1部の売買高は概算で24億5445万株、売買代金は同3兆465億円。値上 がり銘柄数は128、値下がり銘柄数は1565。

東証業種別33指数は、円高が収益を押し上げる効果があるパルプ・紙を 除いた32業種が安い。下落寄与度が大きいのは輸送用機器、銀行、電気機器、 卸売、機械、不動産、電気・ガス、化学、鉄鋼など。

リセッション入りを視野

サブプライムローン問題の深刻さが米国株安と円高のダブルパンチとなり、 再び下値を試す展開となった。7日の米国では住宅市場の低迷が他の部門に広 がる可能性があるとセントルイス連銀のプール総裁が主張。住宅ローン金融を めぐる談合問題やゼネラル・モーターズ(GM)の業績悪化も重なり、米ダウ 工業株30種平均は2.6%安と急落した。

さらに米証券大手モルガン・スタンレーは7日の通常取引終了後、米国の サブプライム住宅ローンと関連の保有資産の価値が37億ドル(約4160億円) 減少したことを明らかにしている。

いちよし投資顧問の秋野充成運用部長によると、「米金融機関の相次ぐ追 加損失計上により、サブプライム問題の深刻度合いが強まっていることが背景。 米景気のリセッション入りを視野に、投資家は動き始めている」という。

モルガン証の保有資産減少の要因の1つともなったレベル3は、米財務会 計基準審議会(FASB)の新しい規則「ルール157」によるもの。企業は価 値評価が難しいとされるレベル3資産の時価評価回避がこれまでより困難にな る。同規則は11月15日に導入される予定だ。「モルガン証の資産減少は、8 日の米金融機関の株価に影響を与える可能性が高い」(トヨタアセットマネジ メント投資戦略部の濱崎優シニアストラテジスト)と警戒された。

海外金融株の先行きが不安視されて銀行株は売りが膨らみ、東証銀行株指 数は前日比9.8%安の287.84ポイントと、9月に付けた07年安値を下回った。

円キャリー警戒とSQ控えも波乱要素に

サブプライム問題を発端とする米国株安は外国為替市場にも波及し、低金 利の円を調達して高金利通貨で運用する円キャリー取引の解消が進展。東京時 間午前は一時1ドル=112円10銭と8月17日の07年高値(111円61銭)以 来の円高・ドル安水準となり、輸出関連株の下げを拡大させた。

また、9日には株価指数オプションの特別清算値(SQ)算出を控えてい る。いちよし投資顧問の秋野氏は、大幅な市況悪化を受けて市場では日経平均 の節目となる1万5500円を意識する動きとなったため、「同水準でプット (売る権利)の売り注文を出している向きが、損失ヘッジを先取りする格好で 日経平均先への売りを強め、下げに拍車がかかっている」とした。

日経平均は8月安値へ正念場

日経平均は2番底である9月安値水準(終値1万5764円)を一時的に下 回りながら、終値ベースでは同水準をかろうじて維持した。仮に同水準を割り 込めば8月17日の07年安値(日経平均1万5273円)が次の下値めどとなる。 市場では「日本株が下げ止まるかどうかは、ドル円相場が111円61銭水準を 維持するかが焦点」(東海東京調査センターの矢野正義シニア・マーケットア ナリスト)との見方が出ている。

日本アジア総合研究所の黒川達夫・主席テクニカルアナリストは、日経平 均が5日に10月25日の安値(16284円:終値)を下回ったことについて振れ、 「もう戻りは完全になくなった、と受け止められた。8月安値は切ってくると 考えるのが自然だ」との見方を示した。

機械受注は予想下回る

なお、内閣府が取引開始前に発表した9月機械受注の「船舶・電力を除く 民需」(コア機械受注)は季節調整済み前月比7.6%減となり、ブルームバー グ・ニュースの事前調査の予測中央値(同1.5%減)を下回った。

四半期ベースでは、7-9月期は前期比2.5%増と3四半期ぶりに増加し、 10-12月も同3.1%増見通しとプラスを維持。ただ、「2008年には世界の製造 業サイクルは鈍化する可能性が高く、機械受注も軟化する公算が大きい」(日 興シティグループ証券の村嶋帰一チーフエコノミスト)との見方が出ていた。

千代建が急落、トヨタは反落

個別では、業績悪化が懸念された銘柄の下げがきつい。08年3月期業績予 想を下方修正した川田工業と黒崎播磨が急落。08年3月期の連結営業利益が従 来予想の増益から一転減益になる見通しだと一部で伝えられた千代田化工建設、 9月中間期連結純利益が前年同期比30%減と落ち込んだ新日鉱ホールディング スもそれぞれ下げた。これら4銘柄は東証1部値下がり率4位までを占めた。

このほか、08年3月期業績予想を増額したトヨタ自動車が、下半期大幅減 益想定による先行き不透明感から反落。午後に9月中間期純利益が前年同期比 34%増だったと発表した住友不動産も、発表前までの下げを埋められず7日続 落となった。

ロームは大幅反発、NISGは値上がり首位

半面、08年3月通期の連結営業利益予想を増額したロームが前日比6%高 と3日ぶり大幅反発。野村証券が投資判断を引き上げたアルパイン、07年9月 中間期決算で粗利益率が改善していることが判明したケーズホールディングス、 午前の取引終了後に9月中間期利益が従来予想を上回ったもようと発表したT ACはそれぞれ急伸した。欧米の投資ファンドによる第三者割当増資を引き受 けると8日付の日本経済新聞が報道したNISグループは急騰し、東証1部値 上がり率の首位。

マザーズ反発は相場転換を予兆か

新興市場は高安まちまちとなった。東証マザーズ指数の終値は28.25ポイ ント(3.4%)高の855.14と4日ぶりに反発。大証ヘラクレス指数は19.68ポ イント(1.5%)高の1301.42と6日ぶりの上昇となった。半面、ジャスダッ ク指数は前日比0.19ポイント(0.3%)安の73.71と5月以来の8日続落安。

楽天やインテリジェンス、ミクシィ、ディー・エヌ・エーが高く、大和総 研が投資判断を引き上げたACCESSは値幅制限いっぱいのストップ高。半 面、アプリックス、ターボリナックス、スパークス・グループが安い。

豊証券の菊池由文取締役は、投資家の投資家心理を確認する上で、「この ところ戻りが良かったソフトバンクとマザーズ指数が相場の転換点ではいち早 く動いてくるのではないか」と分析していた。ソフトバンクの終値は小幅続伸。

--共同取材:河野 敏、鷺池 秀樹 Editor:inkyo

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