11月7日の海外株式・債券・為替市場(2)

(米国株と米国債を更新します)

○米国株:大幅反落。米ニューヨーク州司法長官が住宅ローン金融をめ ぐる談合問題で調査を拡大したことが明らかになったことに加え、自 動車最大手、ゼネラル・モーターズGM)が7日発表した7-9月 (第3四半期)決算は創業以来最大の赤字だった。またドルも大幅 下落した。

米S&L(貯蓄・貸付組合)最大手のワシントン・ミューチュアル は過去20年間で最大の下げ。NY州のクオモ司法長官が同行の住宅ロー ン評価には「談合パターン」があると述べたことが嫌気された。ファニ ーメイは2005年以来最大の下げ、フレディマックは7年ぶり安値を付け た。クオモ長官が両社に召喚状を送付したことが悪材料だった。

S&P500種株価指数終値は前日比44.65ポイント(2.9%)大幅安 の1475.62。ダウ工業株30種平均は同360.92ドル(2.6%)下落し

13300.02ドル。ナスダック総合指数は76.42ポイント(2.7%)下げて

2748.76で終了した。ニューヨーク証券取引所の騰落率は約1対12。

クローバー・キャピタル・マネジメントで26億ドル相当を運用する マシュー・カウフラー氏は「金融セクターでさらに悪いことが起こるの か。ドルは続落するのか。こうした問題に市場は反応している」と述べ た。

サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン市場の混乱で金 融株は年初来18%下落しており、米連邦公開市場委員会(FOMC)は 利下げに踏み切った。また、ドル売りも加速している。主要6通貨バス ケットに対するドル指数は7日、過去30年間で最安値に下落。中国当局 は、1兆4300億ドルの外貨準備高の一部をより強い通貨に振り向ける計 画を明らかにした。

クオモ長官の調査拡大

S&P500種の業種別10指数はすべてが前日比1%超下落した。金 融株指数が過去5年間で最大の下げとなったことが圧迫した。

ワシントン・ミューチュアルは前日比17%と急落し、2000年6月以 来の最安値。クオモ長官は談合パターンを指摘した上、ファニーメイと フレディマックに買い取ったローンの詳細を提出するよう要請している。

これとは別にワシントン・ミューチュアルは住宅価格が08年も引き 続き低下するとの見通しを示すとともに、一層の貸倒引当金を準備する 必要があると表明。同社は新規の米住宅ローンが08年には総額約1兆 5000億ドルとの見通しを示した。業界予想は2兆ドルだった。

ファニーメイは前日比10%安。フレディマックは同8.6%下げた。 両社は指摘された評価方法の調査のため社外の調査官を指名すると表明 した。

GMは6.1%安と、年初来最大の下げ。GMが7日発表した7-9 月(第3四半期)決算では、純損失が390億ドル(約4兆4000億円)に 達した。繰り延べ税金資産の取り崩し分390億ドルを非現金経費として 計上したことが響き、創業以来最大の赤字を記録した。1株当たり損失 は68.85ドル。前年同期の損失1億4700万ドル(1株当たり26セン ト)から赤字幅が大きく拡大した。

クレジットカード発行大手のキャピタル・ワン・ファイナンシャル は前日比16%安。住宅ローンやクレジットカード絡みの不良債権コスト が予想を上回るとの見通しを示した。モルガン・スタンレーのアナリス ト、ケネス・ポスナー氏は、クレジットカード会社で米3位のアメリカ ン・エキスプレス(アメックス)も損失見通しを修正せざるを得なくな る可能性があると指摘した。アメックスも下げて引けた。

シティグループも安い。03年3月以来の安値を付けた。シティグル ープと英銀HSBCホールディングスは、格付け会社ムーディーズ・イ ンベスターズ・サービスから、傘下の運用会社の債務について格下げの 可能性を通知された。

ゴールドマン・サックス・グループとモルガン・スタンレーもそろ って下げた。

デーナ・インベストメント・アドバイザーズ(ウィスコンシン州ブ ルックフィールド)で資産運用に携わるジョゼフ・ベランス氏は「銀行 や主要な証券会社のすべてでサブプライムをめぐる懸念が広がってい る」と指摘した。

○米国債:2年債と10年債の利回り差が2005年以来で最大に拡大した。株価 の下落に加え、住宅ローン関連証券の損失が拡大するとの観測から短期債を中心 に買いが膨らんだ。

2年債利回りは2005年6月以来の水準に低下した。セントルイス連銀の プール総裁が住宅市場の低迷により、追加利下げが必要になる可能性があると の見解を示したことが買いを誘った。ロイヤル・バンク・オブ・スコットラン ド・グループによると、米国の銀行ならびにブローカーは会社独自の推定値な どに基づく価値測定が最も難しい「レベル3資産」について、さらに1000億 ドルの評価損を計上する可能性がある。

ジェフリーズのチーフ債券テクニカルストラテジスト、ジョン・スピネロ 氏は「信用問題に関するニュースが途切れないため、信用不安は続いている。 それが安全資産買いに走らせている」と指摘した。

キャンター・フィッツジェラルドによると、ニューヨーク時間午後4時 4分現在、2年債利回りは前日比13ベーシスポイント(bp、1bp=0.01ポ イント)低下の3.57%。2年債価格(表面利率3.625%、2009年10月償 還)は1/4上げて100 3/32。10年債利回りは4.32%。3カ月物財務省 短期証券(TB)利回りは30bp低下の3.44%と、8月21日以来の低水準と なった。

プール総裁は「現在の状況を鑑みると住宅市場の低迷が他の部門に広がる 可能性があり、そうなった場合、最近実施した利下げが相殺される、あるいは 追加利下げが必要な状況さえ生じる可能性がある」と述べた。

金融政策見通し

10年債利回りの2年債への上乗せ幅は9bp拡大の0.75ポイントと、 2005年4月以来で最大となった。

6月時点では利回り差はゼロだったが、サブプライム(信用力の低い個人 向け)住宅ローン関連証券の損失で景気が減速し、利下げにつながるとの見方 から利回り差が拡大傾向にある。

フェデラルファンド(FF)金利先物相場の動向によると、米連邦公開市 場委員会(FOMC)がFF金利の誘導目標を12月11日の定例会合で

0.25%引き下げ4.25%に設定する確率は70%。前日は62%だった。FOM Cは10月31日に4.5%に引き下げた。

株価の大幅安

米国株式相場は大幅安。ゼネラル・モーターズ(GM)が創業以来の大幅 な赤字を記録したことなどが響いた。ワシントン・ミューチュアルは20年ぶ りの大幅安。ニューヨーク州のクオモ司法長官は同社の住宅評価で利害相反が あったと指摘した。GMは繰り延べ税金資産の取り崩し分を非現金経費として 計上したことが響き、純損失が390億ドルになった。

RBCキャピタル・マーケッツのトレーダー、ショーン・マーフィー氏は GMの損失について「市場全体を震撼させた」と指摘。「市場はこの信用危機 に対してFOMCが引き続き対応すると信じている」と語った。

住宅差し押さえ件数が過去最高水準となる中、住宅ローン担保証券(MB S)の価格が急落したため、米金融大手は少なくとも400億ドルの評価損を計 上している。

英銀ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド・グループ(RBS)のチ ーフ信用ストラテジスト、ボブ・ジャンジュア氏は7日付のリポートで、米財 務会計基準審議会(FASB)の新しい規則「ルール157」によって、企業は 価値評価が難しいとされる「レベル3」資産の時価評価回避がこれまでより困 難になるとの見方を示した。同規則は11月15日に導入される。

ドル安

ドルが対ユーロで1.4731ドルと過去最安値を更新し、対ポンドでは26 年ぶりの安値を付ける中、インフレ高進の影響を比較的受けにくい短期債に買 いが集まった。

中国全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会の成思危副委員 長は7日、同国の1兆4300億ドル(約163兆円)の外貨準備の構成を改善す る際に、より強い通貨で運用していく方針を示した。ドル安は米国の輸入物価 の上昇につながる恐れがある。

インフレ連動債(TIPS)と通常の利付国債の利回り差が示すインフレ 期待は6月以来の高水準に近づいている。10年債と10年物TIPSの利回り 差は2.40ポイントと、9月初旬の2.19ポイントから拡大している。

ウェルズ・ファーゴ・キャピタル・マネジメント(ミルウォーキー)で約 30億ドルの資産を運用するジェイ・ミューラー氏は「信用危機が収まるまで、 FOMCはインフレとドルに目をつぶらなければならない。市場はそれを認識 しているため、利回り曲線は鋭角化している」と述べた。

10年債入札(発行額130億ドル)で最高落札利回りが4.353%と、入札 直前の市場予想4.36%を下回り、需要の強さを示したことも10年債買いにつ ながった。

○NY外為:ドルがユーロに対して下落。一時は最安値をつけ、対英ポンドでも 1981年以来の安値まで下げた。中国の当局者が同国の保有する1兆4300億ド ルの外貨準備の構成多様化計画を示唆したためドル売りが広がった。

ドルはカナダ・ドルに対しても1950年の固定相場制終了以降で最安値を記 録、対豪ドルでは23年ぶりの安値だった。ニューヨーク商品取引所(NYBO T)のドル指数は75.077と、1973年3月の指数導入以来の最低をつけた。

パトナム・インベストメンツ(ボストン)で290億ドルの資産運用に携わる パレシュ・ウパダヤ氏は、「ドルの大幅な売りは、海外中央銀行が外貨準備の多 様化を加速させ、ドル離れが起こるとの懸念が背景だ。ドル売りの勢いは根強く、 年内にドルはさらに下落するとみている」と語った。

ニューヨーク時間午後3時55分現在、ドルはユーロに対して0.5%下落し て1.4624ドル。一時は最安値の1.4731ドルを記録した。対円でのドルは9月 7日以降で最大となる1.7%下落して112円80銭。円はユーロに対して1.2% 上げて164円96銭。欧米での株安を受けてトレーダーが円キャリー取引を解消 したのが背景。

ドルはスイス・フランに対しても1ドル=1.1258スイス・フランと、1995 年以来の安値をつけた。

人民元の上昇

一方、人民元は対ドルで上昇し、2005年7月のペッグ(連動)制廃止後の 最高値を更新した。中国全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会の 成思危副委員長が同日、北京で開かれた会議に出席し、ドルについて「世界通貨 としての地位を失いつつある」と述べ、「われわれは、より強い通貨を、より弱 い通貨よりも選好する。適切に再調整していく」と続けた。

中国の米国債保有高は今年8月までの5カ月間で5%減少して4000億ドル だった。米国債の保有高では中国は日本に次いで世界2位。

米財務省が10月16日に発表した統計によると、外国の政府と投資家が保有 する中長期金融資産額は8月に693億ドルの純減を記録した。売り越し額は過去 最大。前月は195億ドルの買い越しだった。

ポールソン米財務長官の2006年7月の就任以来、ドルは貿易加重平均ベー スで主要6通貨に対して約12%下落した。このうち人民元はドルに対して7.4% 上昇し、円は同1%上昇した。

米議員らは中国が輸出拡大のために為替レートを意図的に低く抑えていると 批判、米上院財政委員会は今年7月、中国に人民元相場の一層の柔軟化を求める 法案を承認した。

財務省のブルックリー・マクロフリン報道官は7日、ポールソン長官の為替 に対する姿勢について、10月30日に訪問先のインド・ムンバイで示した強いド ル支持から変わっていないと述べた。

貿易戦争

今年に入りドルがユーロに対して11%下落したことから、米輸出品の競争力 が高まり、8月の米貿易赤字は576億ドルと、今年1月以来の最小だった。

米国を訪問しているサルコジ仏大統領は議会で、米政府がドル下落の流れを 止めなければ貿易戦争を引き起こす恐れがあると語った。

ドル下落の影響でニューヨークの原油先物は最高値を更新し、金は27年ぶ り高値を記録するなど、商品相場が上昇している。

カナダ・ドルは米ドルに対して一時、1カナダ・ドル=1.1040ドルまで上 昇した。豪ドルは対米ドルで1984年以来の高値となる94.01米セントを記録。 前日は92.88米セントだった。南アフリカのランドはドルに対して、6.4294ラ ンドと2006年5月以来の高値だった。

ブルームバーグ・ニュースがまとめた予想では、8日に開かれる欧州中央銀 行(ECB)の定例政策委員会では政策金利は4%で据え置かれ、イングランド 銀行の金融政策委員会(MPC)も同金利を5.75%で据え置くとみられている。 FOMCは10月31日にフェデラルファンド(FF)金利誘導目標を0.25ポイ ント引き下げて4.5%に設定。金利先物市場の動向によると、12月に開かれる FOMC会合で追加利下げが決定される確率は70%となっている。

○英国債:続伸。株式相場の下落に加え、銀行収益の悪化を受けて、安全投資と しての国債需要が高まった。

英2年債利回りは前日比5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01ポイント) 下げ4.92%となった。一時は2006年9月以来の低水準まで下げた。同国債 (2009年12月償還、表面利率5.75%)価格は0.09ポイント上昇し101.63。 また10年債利回りは3bp低下の4.83%。

フランスの銀行、ソシエテ・ジェネラルが7日発表した2007年7-9月(第 3四半期)決算は、前年同期比で12%減益となった。米サブプライム(信用力が 低い個人向け)住宅ローン関連投資の評価損が響いた。

同日のクレジット・デフォルトスワップ(CDS)市場では、シティグルー プやモルガン・スタンレー、ワコビアなど米金融機関の社債の保証料が少なくと もここ5年で最大の水準になった。

○欧州債:10年国債相場が過去2週間で最大の上げとなった。米住宅ローン関連 投資の損失が多くの企業に広がっている兆候が示され、リスクの高い資産からよ り安全な債券に資金が流れた。

フランスの銀行大手、ソシエテ・ジェネラルがこの日発表した2007年7- 9月(第3四半期)決算は、米サブプライム住宅ローン関連投資の評価損が響い て減益となった。また、中国が同日、外貨準備の構成通貨を多様化する方針を示 したことで、ユーロがドルに対して上昇し1ユーロ=1.47ドル台を付けた。こ れ

を受けて、欧州中央銀行(ECB)は8日の定例政策委員会で利上げのシグナル を発する可能性が小さくなった。これも債券相場を押し上げた。

ウニクレディト・マーケッツ・アンド・インベストメント・バンキングの 債券ストラテジスト、コーネリアス・パープス氏(ミュンヘン在勤)は、「現在 の環境は正常ではない。ドイツ国債相場は安全投資先としての恩恵を受けている。 中国から始まり、すべては為替関連ニュースが背景にある。今ではすべての市場 が不安定になっている」と指摘する。

ドイツ10年国債の利回りはロンドン時間午後5時半までに、前日比2ベー シスポイント(bp、1bp=0.01ポイント)低下し、4.15%となった。同国債 (2017年7月償還、表面利率4.25%)の価格は0.15ポイント上昇し100.69 となった。またドイツ2年国債利回りは3bp低下し3.90%。

この日の欧州各国株式相場は下落。ダウ欧州株価指数は前日比0.8%下がっ た。英国FT100指数は1.2%安、フランスのCAC40指数が0.5%安、さら に、ドイツのDAX指数は0.4%安となった。

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