日本株(終了)午後失速し続落、円高で業績や需給懸念-輸出など下げ

東京株式相場は午後に先物主導で失速し、 4日続落となった。外国為替市場で午後から円高が急激に進んだことから、輸 出採算の悪化が懸念されてキヤノンや日産自動車など輸出関連株の下げが広が った。米サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン問題の不安から銀 行株が売られたほか、原油高によるマージン悪化が警戒された化学株も軟調。

岡三投資顧問の伊藤嘉洋常務は、「サブプライム問題や原油高が実体経済 に与える影響が今後大きくなるとの見方から、市場ではドルの先安観が強い」 と指摘。円高は企業業績に悪影響を与えるだけでなく、需給面でも「外国人投 資家にとっては日本株の利益確定売りのきっかけになる」(同氏)という。

日経平均株価の終値は前日比152円95銭(0.9%)安の1万6096円68銭、 TOPIXは17.90ポイント(1.1%)安の1556.69。東証1部の売買高は概算 で20億4635万株、売買代金は2兆7434億円。値上がり銘柄数は226、値下が り銘柄数は1420。

東証業種別33指数の騰落状況は、値上がり業種が9、値下がり業種が24。 卸売、医薬品、パルプ・紙、保険が高い。半面、銀行、電気機器、化学、その 他金融、機械、鉄鋼、不動産が安い。

相場一変、先物に仕掛け

午前こそ市況関連株中心に上昇する銘柄が目立ったものの、外国為替市場 でのドル売りの流れが強まったことで午後には相場状況が一変した。米サブプ ライム住宅ローン問題の影響懸念から追加利下げ観測が根強いほか、中国が外 貨準備の構成比率に言及したことも加わってドルが全面安となった。主要7通 貨に対するドルの実効為替レートは、統計を開始した1971年以降で最低の水 準に低下した海外時間6日の流れを引き継ぎ、東京時間午後には対円で1ドル =113円台とほぼ2週間ぶりの円高水準となった。

取引終了後に好決算が予想されるトヨタ自動車は前日比でプラスを維持し たものの、キヤノンや松下電器産業、東芝、日産自動車など時価総額の大きい 輸出関連株は軒並み売りが増加。また、9日には株価指数オプションの特別清 算値(SQ)算出を控えていることから、「円高をきっかけとして先物に仕掛 け的な売りが出たことも響いた」(岡三投資顧問・伊藤氏)。

海外時間8日には、米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長が 米国経済の見通しについて議会で証言を行うほか、欧州中央銀行(ECB)の 政策理事会を控えている。重要日程を前にして日経平均株価は10月11日高値 後の安値を連日で下回り、心理的な節目である1万6000円や8月安値後の2 番底(9月10日の1万5764円)をにらむ状況となった。

銀行やその他金融株が全面安

輸出関連株とともに下げを主導したのは金融株。中でもその他金融株はオ リックスを中心に下げがきつく、東証1部業種別下落率で首位となった。オリ ックスが発表した9月中間決算について、本業の伸び悩みを指摘するアナリス トが多く、貸倒費用の懸念が増大したと受け取られたことも響いた。消費者金 融業界では、利息返還損失引当金を繰り入れるリスクが大きいとして、日興シ ティグループ証券が目標株価を引き下げたNISグループが急落した。

銀行株はTOPIX下落寄与度トップで、東証1部85銘柄中80銘柄が売 られた。東京北部や埼玉県を地盤に展開する滝野川信用金庫(東京都北区)は 6日、米サブプライム住宅ローンを組み込んだ債券を117億円保有し、そのう ち売却損や評価損で9月中間決算に73億円損失計上したと発表。東洋証券の 児玉克彦シニア・ストラテジストは、「規模の小さい信用金庫でも巨額の損失 が明らかになり、米サブプライム問題の損失への警戒が地方銀行にまで及ぶ懸 念がある」と指摘した。

牧野フなど急落、不祥事関連も売り

個別では、野村証券が投資判断を引き下げた牧野フライス製作所、08年3 月期通期の利益予想を下方修正したキッツ、9月中間期の業績予想を下方修正 したセントラル硝子がそろって急落して52週安値を更新。

不祥事銘柄への処分売り止まらなかった。硬質ウレタン製断熱材の耐火性 能を偽装していた東洋ゴム工業が東証1部値下がり率1位となったのをはじめ、 同じく耐火性能を偽装したニチアスは6日連続で値幅制限いっぱいのストップ 安で同2位となった。千葉県市川市で建設中の高層マンションで鉄筋の大量不 足が発覚した清水建設は前日比7.4%安と3年半ぶりの下落率となった。

市況関連やディフェンシブ関連は堅調

半面、大手商社や非鉄金属など市況関連株は堅調だった。ニューヨーク原 油先物相場は、7日の時間外取引で初めて1バレル当たり98ドルを突破して 過去最高値を更新。対ユーロのドル相場が最安値まで下げたことに加え、暴風 雨の影響で北海の原油生産が停止したことが買いにつながった。

三菱商事が4日ぶり反発するなど、販売価格上昇による業績増額期待から 大手商社が上昇。金も最高値を更新していることが評価され、住友金属鉱山は 4日ぶりに急反発となった。安田投信投資顧問の礒正樹株式運用部長は、市況 関連銘柄について「保守的な業績予想を発表しているケースが多いことから、 最終的に良い決算内容になるだろう」と指摘している。

相場全般の先行き懸念を反映し、景気変動に左右されにくいディフェンシ ブ関連も高い。武田薬品工業が4日ぶり急反発するなど医薬品株が買われたほ か、キリンホールディングスやJTなど食品株も高い。

ヤマダ電が大幅高

このほか、08年3月期業績予想を増額修正したヤマダ電機は急反発。同じ く08年3月期業績予想を増額修正した企業では日本写真印刷が東証1部値上 がり率首位となり、極東貿易は急騰。日本航空も年初来高値を更新した。大和 総研が投資判断を引き上げた王子製紙は4日ぶり急反発。9月中間決算の好調 が評価されて一時は前日比5.2%高まであったソフトバンクは、結局0.6%高 と伸び悩んだ。

新興市場も続落

新興市場も続落した。朝方は反発して始まったものの、東証1部市場の市 況悪化に加え、ネット関連と連動性の高いソフトバンクが午後に伸び悩んだこ とも心理的に影響して次第に下げ幅が拡大した。ジャスダック指数の終値は前 日比1.90ポイント(2.5%)安の73.90と7日続落。東証マザーズ指数は

37.94ポイント(4.4%)安の826.89と3日続落し、大証ヘラクレス指数は

36.31ポイント(2.8%)安の1281.74と5日連続安。

楽天やミクシィ、デジタルアーツなどが安く、ACCESSは2日連続の ストップ安。半面、竹内製作所、アプリックスなどが高い。

--共同取材:PATRICK RIAL Editor:m.asai(ink)

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