11月5日の海外株式・債券・為替市場(2)

(米国市場を更新します)

○米国株:下落。米銀最大手のシティグループがサブプライム(信用力 の低い個人向け)住宅ローンと関連証券に絡み、最大でさらに110億 ドル(約1兆2600億円)の評価損が発生する見通しを明らかにした。 これを受けて、金融機関がサブプライム住宅ローン絡みでさらに損失を 拡大する可能性があるとの懸念が高まった。

シティは5営業日続落。費用増大で利益が最大70億ドル減少すると 明らかにしたことが嫌気された。モルガン・スタンレーとメリルリンチ、 ゴールドマン・サックス・グループもそろって下げた。証券各社が過去 4カ月間に明らかにした400億ドルを上回る評価損を計上するとの観測 が広がった。

住宅関連用品小売り大手のホーム・デポと同業のローズが下落。小 売業者からなる指数は過去1年間で最低水準に下げた。ドイツ銀証券が 住宅市場の低迷で、小売各社は2008年終わりまで利益が圧迫されるとの 見通しを示したことが嫌気された。

S&P500種株価指数終値は前週末比7.48ポイント(0.5%)安の

1502.17と、10月19日以来の安値を付けた。ダウ工業株30種平均は同

51.7ドル(0.4%)下落し13543.40ドル。ナスダック総合指数は15.2 ポイント(0.5%)下げて2795.18で終了した。ニューヨーク証券取引所 の騰落率は約1対3。アジアならびに欧州でも金融機関の下げが中心と なり、株価指数は軟調だった。

トラスコ・キャピタル・マネジメント(バージニア州リッチモン ド)のシニア投資ストラテジスト、アラン・ゲイル氏は「金融業界は第 3四半期決算で金融危機が終結するとの期待があったが、そうではない ことが明らかになりつつある」と述べた。

減益決算

信用市場での損失から金融機関の四半期利益はブルームバーグ・ニ ュースが統計を取り始めた1997年以来最大の減益となっている。第3四 半期決算を既に発表しているS&P500種構成銘柄の平均減益率は22%。 ブルームバーグがまとめた調査によるとアナリスト予想は4%の減益だ った。

米金融専門局CNBCがゴールドマン・サックスはサブプライム関 連債務から発生する追加の評価損を報告するとの観測を否定したと報道。 これを受けて株価の下落分は縮小した。

株価はこの日、世界的に軟調だった。パキスタンのムシャラフ政権 が非常事態を宣言していることも下げ要因となっている。

シティグループは前週末比4.9%安と、03年4月以来の最安値。シ ティは4日、チャールズ・プリンス最高経営責任者(CEO)の辞任を 発表した。米格付け会社フィッチレーティングスは5日、米銀大手シテ ィグループの信用格付けを引き下げた。米スタンダード・アンド・プア ーズ(S&P)も格下げ方向で見直していることを明らかにした。シテ ィグループはまた、米証券取引委員会(SEC)に提出した文書で、7 ―9月期(第3四半期)決算の1株利益を3セント下方修正した。

モルガン、メリル

モルガン・スタンレーは前週末比5.6%下落。CNBCは匿名の関 係者を引用し、同社が証券絡みで30億ドルの評価損を計上すると報じた。 これによると、モルガン・スタンレーはその額を現在、見極めている。 モルガンの広報担当者マーク・レイク氏はコメントを控えた。

メリルリンチも下落。リーマン・ブラザーズのアナリストらは、評 価損が拡大する可能性があるため、メリルの株式投資判断を「オーバー ウエート」から「イコールウエート」に引き下げた。ゴールドマン・サ ックスも安い。

クロズナー米連邦準備制度理事会(FRB)理事は5日、バージニア 州アーリントンで講演し、米国のサブプライム(信用力の低い個人向 け)住宅ローン市場の状況は悪化する恐れがあるとの見方を示した。住 宅価格は2008年に入っても「軟調」な状態が続くとの見通しを理由に挙 げた。

S&P500種業種別の金融株からなる指数は前週末比1.4%下落と、 最も軟調だった。

不透明感の持続

オークブルック・インベストメント(シカゴ)のヘッドトレーダー、 ジリ・チェルクーリ氏は「不透明感がまだ存在しており、このために金 融セクターが軟調な展開となっている」と述べた。さらに、「今後も悪 材料が出てこよう」と語った。

ホーム・デポとローズを中心に小売株が下げた。ドイツ銀は小売株 の投資判断を引き下げるとともに、住宅リセッションを理由に07年度と 08年度の利益見通しを下方修正した。S&P500種の業種別で小売業者 からなる指数は前週末比2%下げ、06年8月以来の最低水準となった。

○米国債:10年債が下落。サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン関 連損失への懸念が緩和し、売りが優勢になった。

ゴールドマン・サックスが評価損計上のうわさを否定したと経済専門局C NBCで報じられたため、株価は下げ渋った。米供給管理協会(ISM)が発 表した10月の非製造業景況指数は予想外に前月から上昇。住宅不況が経済全 体にほとんど悪影響を与えていないことを示唆した。

ドレスナー・クラインオートの米国債トレーディング責任者トーマス・ロ ス氏は「債券市場が恐れているのは状況が改善することだ。経済指標は最近、 非常に堅調だ」と述べた。

キャンター・フィッツジェラルドによると、ニューヨーク時間午後4時 38分現在、10年債利回りは前週末比2ベーシスポイント(bp、1bp=0.01 ポイント)上昇の4.34%。10年債価格(表面利率4.75%、2017年8月償 還)は6/32下げて103 1/4。

ISMが発表した10月の非製造業景況指数は55.8となり、前月の54.8 から上昇。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト予想中央値 (54.0)を上回った。同指数は50が景気の拡大と縮小の境目を示す。

RBCキャピタル・マーケッツのトレーダー、ショーン・マーフィー氏は 経済指標の発表がないため「あすは株価と評価損拡大のうわさが再び中心的な 材料なるだろう」と指摘した。

ダウ工業株30種平均は0.4%安、ダウ工業株30種平均は0.5%下落し た。アジアと欧州の株価も軟調だった。

利回り差

2年債利回りは前週末比ほぼ変わらずの3.68%。2年債利回りに対する 10年債の上乗せ幅は2005年4月以来で最大となった。6月に米国債が上昇し 始めた時は利回り差はなかった。

シティのプリンス会長兼最高経営責任者(CEO)は4日、サブプライム 関連証券でさらに最大110億ドルの評価損を計上する恐れがあると発表し、辞 任した。実際に110億ドルの損失を計上すれば、今年これまでの利益が半分喪 失することになる。

証券大手リーマン・ブラザーズ・ホールディングスは5日、銀行の住宅ロ ーン関連損失が今後1年に500億ドル、今後5年では2000億-2500億ドル に上るとの見通しを示した。格付け会社フィッチレーティングスは5日、シテ ィの信用格付けを「AA」に引き下げ、さらに格下げする可能性も示唆した。

社債保有リスク

銀行が債務担保証券(CDO)の評価損を追加計上するとの思惑を受け、 クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場では社債保有リスクが3カ 月ぶりの水準に上昇した。ドイツ銀行によると、米社債の保有リスクの指標で あるCDX北米投資適格指数シリーズ9のCDSスプレッドは一時、4.5bp上 昇の74bpとなった。

3カ月物ロンドン銀行間貸出金利(LIBOR)は4週間ぶりに上昇。銀 行が貸し出しを渋っていることを示唆した。3カ月物ドル建てLIBORは1 bp上昇の4.88%。9月7日に5.73%まで上昇した後、40営業日のうち32 日で低下していた。

7日には130億ドル相当の10年債入札、8日には50億ドル相当の30 年債入札が予定されている。

MFRのマーケットアナリスト、カール・スティーン氏は「入札を控え、 買い持ちは限定的になるだろう」と指摘。10年債利回りは「価格がかなり割高 とみなされる水準にある」と述べた。

米金融政策見通し

フェデラルファンド(FF)金利先物相場の動向によると、米連邦公開市 場委員会(FOMC)がFF金利の誘導目標を12月11日の定例会合で

0.25%引き下げ4.25%に設定する確率は64%。2日は68%だった。FOM Cは10月31日に4.5%に引き下げた。

米連邦準備制度理事会(FRB)のミシュキン理事は5日、10月31日に 実施した利下げについて、経済リスクの低減が目的だったと語り、利下げが 「不必要」であることが示されればこれを相殺することもあり得るとの見解を 示した。

2年債利回りとFF金利の誘導目標の差は3営業日連続で拡大し、86bp となった。

ミラー・タバクの債券市場チーフストラテジスト、トニー・クレセンツィ 氏は「利回りが上昇するにしても低下するのしてもFF金利はいつもバリアに なる。国債価格の上昇余地はさほど大きくはない」と指摘した

○NY外為:円が主要16通貨に対して上昇。米シティグループがサブプライム (信用力の低い個人向け)ローン関連証券で最大110億ドルの評価損を追加計上 する恐れがあると発表したことから、低金利の円で資金を調達し高金利通貨で運 用する円キャリー取引の解消が進んだ。

円はキャリー取引での運用通貨として利用される豪ドルや南アフリカのラ ンドに対して上昇。対ドルでは1週間ぶりの高値をつけた。ドルは対ユーロで の最安値から値を戻した。投資家が質への逃避から米国債に買いを入れたこと がドル上昇につながった。2年物米国債の利回りは約2年ぶり低水準に低下し た。

カリヨン証券のシニア通貨ストラテジスト、ジョナス・スリン氏は、「リ スク回避が取引の中心だった。サブプライムの損失規模は依然として不明だ。 市場参加者は金融機関がさらに損失を明らかにするのを懸念している」と語っ た。

ニューヨーク時間午後4時現在、円はドルに対して114円52銭。一時は10 月29日以来の高値となる114円03銭まで上昇した。前週末は1ドル=114円 85銭だった。円はユーロに対して0.5%上げて165円73銭(前週末は166円 63銭)。対豪ドルでの円は105円43銭と、前週末の106円03銭から上昇した。

スリン氏は、年末までに円は対ユーロで162円4銭、対ドルで116円をつ けると予想している。ブルームバーグがまとめた予想平均では来年3月末で円は ドルに対して114円をつけるとみられている。

1カ月物ドル・円オプションのインプライドボラティリティ(IV、予想変 動率)は10.1%と前週末の8.9%から上昇した。ボラティリティが上昇すれば、 キャリートレードが解消される可能性がある。

スイス・フランが上昇

キャリー取引で資金調達通貨として利用されているスイス・フランは、ユー ロに対して0.3%上昇し、英ポンドに対しては0.5%上げた。スイスの政策金利 は2.75%に設定されている。

外国為替市場のセンチメントを示すリスクリバーサルの1カ月物25デルタ によるとトレーダーは、ブルームバーグが調査する主要16通貨のうち円に対し て最も強気な見方を示している。

米商品先物取引委員会(CFTC)が発表したIMM通貨先物の取組状況に よると、10月30日に円のネットショートは9949枚と、前週から50%以上減 少した。

ISM非製造業指数

米供給管理協会(ISM)が発表した10月の非製造業景況指数は55.8と なり、前月の54.8から上昇。同指数は50が景気の拡大と縮小の境目を示す。

シティグループは4日、サブプライムローン関連の投資で評価損を追加計上 する可能性があると発表したほか、チャールズ・プリンス最高経営責任者(CE O)の辞任を明らかにした。評価損の追加計上によりシティは年初からの利益の 半分を失う可能性がある。

また米メリルリンチは84億ドルの評価損を発表、スタン・オニールCEO は事実上、更迭された。

ドルは対ユーロで0.2%上昇して1.4473ドル。前週末は1.4504ドルだっ た。2日の外国為替市場でドルは一時、ユーロに対して1.4528ドルの最安値を 記録した。対英ポンドでのドルは0.4%上げて2.0805ドル。前週末は1981年 5月以来の安値だった1ポンド=2.0893ドルまで売り込まれる場面があった。 英ポンドは主要16通貨のうち、スウェーデンのクローナ以外の15通貨に対して 下落した。

CFTCによると、対ドルでのユーロ上昇を見越したネットロングは10月 30日に6万8848枚と前週の6万9016枚から増加した。

NZドルは主要16通貨すべてに上昇、対ドルでは0.6%高の77.02米セン ト。

米連邦準備制度理事会(FRB)が主要貿易相手国通貨に対して算出するド ル指数は過去最低水準まで落ち込んだ。債券ファンド最大手、米パシフィック・ インベストメント・マネジメント(PIMCO)の投資責任者ビル・グロス氏や 資産家のウォーレン・バフェット氏、さらにブラジル出身のスーパーモデル、ジ ゼル・ブンチェンさんまで多くの市場参加者は米ドル以外の通貨上昇を予想して いる。

○英国債:相場は上昇。世界的な株式相場の下落を背景に、安全投資としての国 債を求める動きが強まった。

10年債利回りは前週末比2ベーシスポイント(bp、1bp=0.01ポイント) 下げ4.85%となった。一時は3bp下げ、1週間ぶりの低水準を付ける場面もあ った。同国債(2016年9月償還、表面利率4%)価格は0.11ポイント上昇し

93.92。また2年債利回りは4bp下げ4.98%となった。

○欧州債:10年国債相場は3営業日連続で上昇。米シティグループがサブプライ ム(信用力の低い個人向け)住宅ローン関連の損失で最大110億ドル(約1兆 2600億円)の評価損を計上する恐れがあると明らかにしたことを受けて、信用 市場の混乱が終わっていないとの観測が広がった。

米金融サービス関連企業の株価が下落したことも、国債相場の押し上げ要因 となった。ドイツ10年債利回りは一時、ほぼ2週間ぶりの低水準まで低下した。 米メリルリンチがまとめたところによれば、同10年債の7-9月期の収益率は

2.4%と、四半期としてはここ1年余りで最高となった。前年同期は1.7%の損 失だった。サブプライム住宅ローンへの懸念から安全投資を求める動きが強まっ たのが背景にある。

ノードバンク(ハンブルク)の債券アナリスト、ヘルジ・ブシェン氏は、「国 債相場は金融市場混乱からかなり影響を受けている」と指摘し、「問題は、米国 の金融機関からさらに多くの情報が出てくるかだ」と語った。

ドイツ10年国債の利回りはロンドン時間午後5時1分までに、前週末比1 ベーシスポイント(bp、1bp=0.01ポイント)低下し、4.17%となった。同国 債(2017年7月償還、表面利率4.25%)の価格は0.10ポイント上昇し100.61。 またドイツ2年国債の利回りは2bp低下し、3.92%だった。

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