小沢代表慰留の方向、「大連立」前提せず条件-民主緊急役員会(2)

民主党の小沢一郎代表の辞意表明から一 夜明けた5日、同党は党本部で緊急役員会を開催し、自民、公明との「大連 立」を前提としないことを条件に慰留する方針を決定、党3役に対応を一任 した。小沢氏の意思は固く、辞職する公算が大きい。

緊急役員会に出席した安住淳氏らが記者団に明らかにした。NHKによ ると、民主党の鳩山由紀夫幹事長は同日朝、小沢氏の翻意は容易ではないと の見通しを示しており、このまま辞職する公算が大きい。その場合、同党は 両院議員総会で後継代表を選出する見通し。国内主要報道機関によると、小 沢氏の後継には菅直人代表代行や岡田克也副代表らの名前が挙がり、臨時国 会開会中であることから菅氏や鳩山幹事長が臨時で代表を務める案も浮上し ている。

7月の参院選で民主党第一党と野党過半数という歴史的圧勝に大きく貢 献した小沢氏が辞職すれば、9月の安倍晋三首相(当時)の突然の辞任劇に 伴い野党優勢とみられた政局は一変し、今度は福田康夫政権がどのような政 権運営をするかが焦点となる。

次期衆院選へ政界再編加速も

両党党首による「大連立」協議は、野党第一党の党首の辞職劇へと発展。 2年以内の次期衆院選を控え、政界再編が一気に加速する可能性もはらむ。 小沢氏は4日の会見で否定したものの、小沢氏の離党説が取りざたされる事 態になった。

福田政権が目指す新テロ対策特別措置法案は衆院で審議中のため、10日 の会期末までの成立は事実上不可能。福田首相は5日午前、臨時国会を延長 する方針を表明した。与野党は民主党の代表の去就をにらみつつ、臨時国会 の会期延長に関して対応を迫られる。

「当面、解散ない」-識者

岩井奉信日大法学部教授(政治学)は、解散・総選挙について、「福田首 相にとって解散のメリットはない。一番確率が高いのは過半数は取れるが3分 の2は取れない状況で、この状況は今より悪い。年内にすぐ総選挙というのは 遠のいた」と分析。その上で、政局は「こう着状態は続かざるを得ない。完全 に手詰まりだ」と述べた。

曽根泰教慶応大学大学院教授(政治学)も「自民党も勝てないと思って いる。小沢氏も勝てないと思っている。だから当面、総選挙はない」と指摘 した。

朝日新聞が3、4両日に実施した全国世論調査によると、福田首相の小沢 氏に対する「大連立」の提案を「評価」する人は36%、「評価しない」人は 48%だった。これに対して民主党が提案を受け入れなかったことを「評価す る」は53%、「評価しない」は29%となり、自民、民主両党による2大政党 連立については否定的な世論がうかがえたとしている。

民主党の不安定化により、早期解散による政権交代を模索する動きが弱 まる見通し。参院選での与野党逆転を受けて、野党の最大のカードである参 院での首相問責決議案の提出なども、しばらく封印されることが予想される。

自民党の渡辺喜美行政改革担当相は4日夜、記者団に「民主党はチャン スをピンチにしてしまった。われわれは、ピンチをチャンスにしたい」と述 べた。NHKが5日朝のニュースで渡辺氏の発言場面を放映した。

新テロ法案で主張に食い違い

新テロ特別措置法案をめぐって、小沢氏が4日の記者会見で、首相は2 回目となった2日の党首会談で、連立ができるなら同法案の成立にこだわら ない考えを提案したと発言した。

一方、福田首相は5日昼、「私どもは今の新法案を何とか可決していた だき、インド洋での給油活動をぜひやりたいと一貫して考えている」と語り、 小沢氏の発言を否定した。

安倍前首相が「職を賭す」と表明して取り組み、安倍氏の後を継いだ福 田首相は、「背水の陣」だとして、新テロ対策特別措置法案の早期成立を最 優先課題に掲げていた。

国会での新テロ特措法案の取り扱いをめぐり、岩井、曽根両教授はそれぞ れ、「3分の2を使って通るだろう」と語り、福田政権は衆院での再可決を活 用して成立を目指すとの認識を示している。

福田首相は11月1日、記者団に、憲法が規定する衆院での再可決を活用 するかどうかについて、「どうしても使わなければならないときもあるだろう。 それはそのときに考えることだ」と述べ、可能性を否定しなかった。

憲法59条は「衆院で可決し、参院で異なった議決をした法案は、衆院で 3分の2以上の多数で再び可決したときは法律となる」と定めており、与党が 成立を最優先すれば、新テロ特措法案などは、仮に参院で否決されたとしても、 衆院での再議決によって可決、成立させることができる。

--共同取材:日高正裕、佐藤茂、下土井京子 Editor:Ushiroyama (nkk/okb)

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