BRICs株はGDP比で割安-グリーンスパン氏のバブル警告でも

ブラジルとロシア、インド、中国の4カ国、 いわゆる「BRICs」では株式市場のバブルが懸念されているものの、先進国 と比べれば依然として有望なようだ。

BRICsの上場企業時価総額と国内総生産(GDP)を比べてみると、時 価総額は計1兆7100億ドル(約196兆円)と、GDPの25%相当となっている。 一方、米モルガン・スタンレーとブルームバーグ・ニュースがまとめたデータに よれば、米上場銘柄の時価総額合計は13兆9800億ドルと、米GDPとほぼ同額。 先進国全体では時価総額がGDPの81%となっている。

LPLファイナンシャル・サービシズ(ボストン)で1630億ドル相当の資 産運用に携わる主任市場ストラテジスト、ジェフリー・クライントップ氏は、B RICsの時価総額の対GDP比が25%と低いことが「BRICsの株式相場 上昇はまだ初期段階にある」との見方の根拠になると指摘。クライントップ氏は、 「多くのセクターで株価は急上昇しているものの、経済全体の力を表す水準には 達していない」と説明した。同氏は先進国の株を売り、自身の投資判断を「オー バーウエート」とした新興市場銘柄を買い増している。

新興市場の株式相場が最も大きい潜在成長力を持つことは過去のデータが実 証しているが、暴落の影響を受けやすいのも確かだ。1994年12月のメキシコ・ ペソの切り下げは発展途上国の株価の24%下落を招いたほか、97年7月のタ イ・バーツ暴落後の6カ月間で途上国の株価は37%下がった。98年のロシアの デフォルト(債務不履行)ではさらに19%下落した。

「根拠なき熱狂」

モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル(MSCI)新興 市場指数は、10年ぶりの安値となった01年9月から5倍以上の水準に上昇した ものの、わずか数週間で10%余り下落したことが少なくとも5回あった。中国 のCSI300指数は年初来で168%上昇。ブラジルとロシア、インドの主要株価 指数も最高値を更新し、株価が割高ではないかとの指摘も出ている。

資産家ウォーレン・バフェット氏は10月24日、同氏が率いる米保険・投資 会社バークシャー・ハサウェイの子会社がある中国北東部の大連を訪れた際、 「物事が非常に順調なときは、相場にわれを忘れやすい」が、「われわれバーク シャーは株価が急騰しているときには決して株式を買い入れない」と語った。

グリーンスパン前米連邦準備制度理事会(FRB)議長は10月30日、ボス トンでの会議で、自身が96年に米株式市場を形容して有名になった言葉、「根拠 なき熱狂」の状態に中国はあるかと問われ、「そう思う」と答えた。さらにグリ ーンスパン前議長は、バブルというものは「予想していないときに破裂する」と 述べた。

BRICsは株高とはいえ、経済の規模のわりに株式市場は小さい。モルガ ン・スタンレーのデータによれば、BRICs合計のGDPは世界全体の14% だが、上場銘柄の時価総額は5.1%にとどまっている。

中国市場

中国本土銘柄の保有については、大半の海外投資家が香港上場株のみに制限 されているものの、モルガン・スタンレーによれば、中国株の時価総額は6430 億ドル。これは中国のGDP3兆2500億ドルの約20%に相当し、BRICsの 中では最も低い割合となる。ブラジルのボベスパ指数は年初来で44%高と、 2003年以来の大幅上昇になっており、ブラジル市場の時価総額のGDP比を 35%と、BRICsで最大に押し上げた。

それでもブラジルは先進国の平均の半分以下の割合にとどまっている。モル ガン・スタンレーとブルームバーグ・ニュースのデータによれば、先進国の合計 の株式時価総額は29兆8000億ドルで、GDPは36兆9000億ドルとなっている。

業績の伸び

モルガン・スタンレーによれば、香港上場の中国企業の利益は今年、33.8% 増加する見通しだ。ブラジルは30.8%、インドは29.3%、ロシアは17.2%、そ れぞれ増加が見込まれている。

プルデンシャル・インターナショナル・インベストメンツ・アドバイザーズ で6480億ドルの資産運用に携わる主任投資ストラテジスト、ジョン・プラビー ン氏は「これらの市場はまだまだ長く上げが続く」と指摘。同氏は新興市場で 「オーバーウエート」のポジションを取っており、相場が下がれば買い増す考え を示した。

クライントップ氏は、グリーンスパン前FRB議長の中国株への警告をむし ろ前向きに捉えている。前議長が米株式市場を「根拠なき熱狂」と評して警告を 発した後も、米株式相場は3年間上昇したからだ。ナスダック総合指数は2000 年3月にピークを迎えるまで、およそ4倍となった。

クライントップ氏は、「おそらくわれわれは今、新興市場への根拠なき熱狂 に差しかかったのだろう」と述べた上で、「バブルは向こう1、2年、ひょっと したら3年かけて膨れ上がり、それから事態は悪化する」と予想した。

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