首相が「大連立」打診-小沢民主は民意重視し拒否-党首会談決裂(6

福田康夫首相(自民党総裁)は2日午後か ら夜にかけて民主党の小沢一郎代表と就任後2回目の会談を断続的に行い、現 在の自民、公明の連立与党に、新たに民主党を加えたいわゆる「大連立」政権 の樹立を打診し、政策協議機関の設置を提案した。

民主党は同日夜の役員会で対応を協議した結果、7月の参院選の結果を踏 まえると国民の理解は得られないとして、打診を拒否することを決定、首相に 伝えた。

首相による「大連立」の打診は、衆院で自民、公明の連立与党が過半数を 占めるものの、参院では野党が過半数を握る「ねじれ国会」の状況下、法案審 議など政権運営が停滞していることが最大の理由。小沢民主党は参院第一党と 戦後初の与野党逆転という圧勝をもたらした7月の参院選の「民意」を重視し、 2回に及んだ党首会談は決裂に終わった。

「がけっぷち政権」

臨時国会は来週10日に会期末を迎える。首相は11月下旬にシンガポール で開催される東南アジア諸国連合(ASEAN)プラス日中韓首脳会議や東ア ジア首脳会議(サミット)に出席するが、国内主要報道機関は、首相がこれに 先立つ16日を軸にワシントンでブッシュ米大統領との初会談を行うと伝えて いる。

首相は初の日米首脳会談で日米同盟の強化などを確認したい考えだが、海 上自衛隊によるインド洋での給油活動が中断され、新テロ特措法案成立のめど が立たない状況の下、首相は「がけっぷち」(町村信孝官房長官)の政権運営 を強いられる。

曽根泰教慶応大学大学院教授(政治学)は、「福田首相は大連立を考える 前に、衆院の3分の2による再決議を使うべきだろう。大連立はそんなに簡単 にいかない」と語った。

国連決議条件の恒久法検討なら新テロ法案に賛成も

福田首相と会談に同席した自民党の伊吹文明幹事長が個別に明らかにした ところによると、小沢氏は会談の席上、首相が協力を求めた新テロ対策特別措 置法案に関連して、国連安保理決議が認めた活動に限定して恒久的に自衛隊の 海外派遣を可能にする一般法(恒久法)を合同で検討することを条件に、新テ ロ特措法案に賛成する意向を示した。

首相は会談後に官邸で、小沢代表に連立政権を打診したのか、との記者団 の質問に、「まあね。今の国会の情勢、政治情勢、国民生活もあるし、国の政 治が止まっていていいかという観点から、状況打開のためにいろいろ話し合い をした」と言明。「政策を実現するための新体制をつくることがいいのではな いかという話をした」と述べた。

小沢氏は民主党の臨時役員会後、記者団に、「役員会で政策協議に入るこ と自体に反対が多数だったので、先ほど福田首相に対して『連立は飲めない。 せっかくの誠意ある対応だが、結果としてはできない』と伝えた」と語った。

2回目会談は一度中断

両党首が会談するのは10月29日に続いて2回目。2日は午後3時から4 時10分ごろまで1時間10分行われた。首相は新テロ特措法案への協力をあら ためて要請したが、小沢氏は反対する姿勢を崩さかったため、首相の提案で一 時中断となった。

両党首は午後6時半に国会内の同じ場所で会談を再開。小沢氏は「大連 立」の打診に対する回答を保留して午後7時半ごろ会談は終了した。小沢氏は その後に民主党に戻って臨時役員会で会談内容を報告し、臨時役員会は「大連 立」の拒否を決めた。

小沢氏は会談終了の直後、国会内で記者団に、決着は「まだまだ。内容は 話せない。記者に先に話せるわけがないだろう。党本部に戻る」と語った。そ の後、福田首相は約20分後の午後7時50分ごろ会談場所を出て首相官邸に戻 った。

首相は10月30日、記者団に「大連立と言うのかどうか知らないが、何か 政治を動かす方法を考えなければいけない。それは今のところ見つかっていな い」と述べており、政界再編となる「大連立」の可能性を排除しない姿勢を示 していた。

2日付の朝日新聞朝刊によると、小沢氏は1日に宇都宮市内のホテルで行 った記者会見で、「大連立」について、「今、私はそういうことは考えてない。 総選挙に向け、何としても今度の衆院小選挙区で過半数を取るのが当面最大の 目標だ」と強調した。

政府が国会に提出した新テロ特措法案をめぐり、小沢氏は初会談で首相の 協力要請を拒否。しかし11月1日までに、政界では時限立法でその都度制定 される特別措置法ではなく、恒久的に自衛隊の海外派遣を可能にする一般法 (恒久法)の構想が浮上。福田、小沢両党首が1日、それぞれ恒久法制定に前 向きな姿勢を示した。

このため両党首が2回目の会談で、恒久法に関して協議するかどうかが注 目された。福田康夫首相は1日夜、「3年ぐらい前に民主党が必要性を言って いた。民主党と自民党で与野党が合意すれば、そういうことで考えてもいいの ではないか」と言明。「民主党がそう言うのであれば相談する。当然、与党の 公明党と相談して、国会に提出するかどうかを決める」と語った。

産経新聞(電子版)によると、小沢氏は1日の記者会見で、「国際貢献や 平和の維持確保のための基本法は私ども、少なくとも私自身の年来の主張だ」 と言明。自衛隊派遣は「国連の平和活動の範囲内の参加だと言っている。政府、 自民党がそういう理念と原則に賛成するならいつでもできる」と述べ、2回目 の党首会談で福田首相が恒久法の協議を提案した場合、民主党の要求を受け入 れるなら応じる姿勢を示した。

党首会談の開催をめぐり、福田首相は1日、「あしたの党首会談で話がま とまらなければ、また次の会談をしてもいいのではないか」と述べ、3回目の 会談を行うことに前向きな姿勢を示した。産経新聞によると、小沢氏は1日の 会見で、「何もなければそれで終わりってことだ。定期的に開催するたぐいの 話ではない」と語っている。

一方、福田首相は、国会での法案審議をめぐり憲法が規定する衆院での再 可決を活用するかどうかについて、「どうしても使わなければならないときも あるだろう。それはそのときに考えることだ」と述べ、可能性を否定しなかっ た。

憲法59条は「衆院で可決し、参院で異なった議決をした法案は、衆院で 3分の2以上の多数で再び可決したときは法律となる」と定めており、与党が 成立を最優先すれば、新テロ特措法案などは、仮に参院で否決されたとしても、 衆院での再議決によって可決、成立させることができる。

--共同取材:坂巻幸子 Editor:Ushiroyama(sug/sug/nkk/kzh)

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