11月1日の海外株式・債券・為替市場(2)

(米国市場を更新します)

○米国株:大幅反落。シティグループが投資判断の引き下げを受けて急落。業種 別S&P500種株価指数の「金融」は5年ぶりの大幅な下げを演じた。

シティは2002年以来で最大の下落率。CIBCワールド・マーケッツは シティが減配せざるを得なくなる可能性を指摘し、クレディ・スイス・グルー プも投資判断を引き下げた。バンク・オブ・アメリカは4年ぶりの大幅安。個 人消費支出(PCE)がエコノミストの予想以上に減速したことを嫌気し、タ ーゲットを中心に小売株も安い。

S&P500種株価指数は前日比40.94ポイント(2.6%)安の1508.44 と、8月9日以来の大幅な下げとなった。同指数の構成銘柄では3690億ドル の時価総額が喪失した。S&P500種の金融株指数は4.6%安と、2002年9 月以来の大幅な下落率となり、全10業種中で最も下げがきつかった。ダウ工 業株30種平均は362.14ドル(2.6%)下落し13567.87ドル。ナスダック 総合指数は64.29ポイント(2.3%)下げて2794.83で終了した。ニューヨ ーク証券取引所の騰落率は1対13。

J&Wセリグマンで約220億ドルの運用に携わる市場ストラテジスト、 ダグ・ぺタ氏は「金融株には下値余地がある。サブプライム(信用力の低い個 人向け)住宅ローン問題が最終的にどの程度、悪影響を及ぼすか分からない状 態だ」と述べた。

シティグループの投資判断引き下げは欧州でも売りを誘い、ダウ欧州株価 指数は1.5%安の382.57となった。米国債は反発。前日は米連邦公開市場委 員会(FOMC)が追加利下げを示唆しなかったことを嫌気して売りが優勢に なったが、この日は安全資産としての買いが入り、前日の下落分を取り戻した。

シティの急落

シティ株は6.9%安と、ダウ平均の構成銘柄で最も下げがきつい。CIB Cワールド・マーケッツのメレディス・ウィトニー氏率いるアナリストチーム は、シティが300億ドルを超える資本を増強するため、減配もしくは資産売却 を迫られる可能性があると指摘。投資判断を引き下げた。

金融株指数が年初から13%下げる中、高配当が一部の投資家を引き寄せて いる。ブルームバーグのデータによると、シティの配当利回りは6.88%と20 年ぶりの高水準となった。

ヤクトマン・アセット・マネジメントのドナルド・ヤクトマン社長兼最高 投資責任者(CIO)は「最終的には配当ではなく、配当を本当に支払う能力 が問題となる。シティは巨大な企業で中小企業とはわけが違う」と語った。

シティの広報担当者は配当の変更や資産売却などに関する憶測にはコメン トできないとした。

減配しない

サンフォードC・バーンスティーンのアナリスト、ハワード・メースン氏 はシティの資本が規制当局の規定を下回っていないことを理由に減配はしない との見方を示した。

CIBCが投資判断を引き下げたバンク・オブ・アメリカも安い。

株価の予想変動率の指標であるシカゴ・オプション取引所(CBOE)の ボラティリティ指数(VIX)が26%上昇し、23.29となった。VIXの上 昇は今後30日間に値動きが荒くなるとの見通しを示唆している。

住宅価格の下落やエネルギー価格の上昇を背景に個人消費支出(PCE) は予想を下回る伸びにとどまった。これをきっかけにターゲットやウォルマー ート・ストアーズに売りが出た。

米国の消費者の10人中4人が、今年のクリスマスシーズンの支出を減ら す計画であることが、会計事務所デロイトの年次調査で分かった。食料品と燃 料価格の上昇に加え住宅価格下落が、消費者の財布のひもを固くしているもよ うだ。

エクソン下落

エクソンモービルも下落。2007年7-9月(第3四半期)決算は、1株 利益が1.70ドルに減少し、ブルームバーグがまとめたアナリストの予想平均

1.74ドルを下回った。停電や設備障害によるガソリン生産減や製油マージン の縮小が影響した。

世界2位の債券保証会社、米アムバック ・ファイナンシャル・グループ は20%安と、S&P500種の構成銘柄で下落率首位となった。ギミー・クレ ジット・パブリケーションズがアムバックの債務格付けを引き下げたことがき っかけ。債務担保証券(CDO)のリスクを理由に挙げている。

スプリント下落

米携帯電話事業者3位のスプリント・ネクステルも安い。2007年7-9 月(第3四半期)決算は、純利益が6400万ドル(1株当たり2セント)と、 前年同期比77%減少した。当期中に30万人以上の加入者がサービスを解約し たことが影響した。売上高は前年同期比4.2%減の100億ドルと、アナリスト の予想平均値102億ドルを下回った。

業種別S&P500種株価指数では「情報技術(IT)」の下げが最も緩や かだった。マイクロソフトが0.7%高の37.06ドルと、7年ぶりの高水準を 付けたことが下支えた。サンフォード・C・バーンスティーンのアナリストが 前日、マイクロソフトの成長余力を理由に株価が過小評価されていると指摘し たことが引き続き買いを誘った。

S&P500種株価指数の構成銘柄で上昇したのはマイクロソフトを含め 16社だった。ダウ平均の構成銘柄ではマイクロソフトのみが上げた。

経済指標

米供給管理協会(ISM)が発表した10月の製造業景況指数は50.9 (前月52)に低下。3月以来の最低になった。ブルームバーグ・ニュースがま とめたエコノミスト予想中央値(51.5)も下回った。同景況指数で50は景気 の拡大と縮小の境目を示す。

米労働省が発表した10月27日に終わった1週間の新規失業保険申請件数 (季節調整済み)は、前週比6000件減の32万7000件と、ブルームバー グ・ニュースがまとめたエコノミスト調査の予想中央値は33万件を下回った。 前週は33万3000件と速報の33万1000件から上方修正され

○米国債:相場は反発。2年債は今年に入り2番目の上げを記録した。エクイテ ィアナリストが米シティグループとバンク・オブ・アメリカ(BOA)の株式投 資判断を引き下げたことから、株式相場が下落し、国債の需要が高まった。

前日の債券は下落。投資家が利下げ後の連邦公開市場委員会(FOMC)の 声明内容から年内は追加利下げはないと受け止めたことが背景だった。この日は 前日の下げから一転、上昇した。米大手銀行2行は、住宅ローンの返済滞納が増 加し、資産の評価損を計上するとの見方を背景に投資判断を引き下げられた。

ハートフォード・インベスト・マネジメントの国債ポートフォリオマネジャ ーのジョン・ヘンドリクス氏は、「ある種のシステミックリスクが見受けられる ような場合には、FOMCは利下げしてしまうだろうと市場関係者は確信してい る」と語った。

キャンター・フィッツジェラルドによると、ニューヨーク時間午後4時12 分現在、2年債利回りは前日比19ベーシスポイント(bp、1bp=0.01ポイン ト)下げて3.76%。2年債価格(表面利率3.625%、2009年10月償還)は 3/8上げて99 3/4となった。

フェデラルファンド(FF)金利先物市場動向によると、12月11日の次 回FOMCで0.25ポイントの利下げが実施される確率は60%と、前日の42% から上昇した。一方、金利据え置きを見込む確率は58%から40%に低下した。

10年債利回りは13bp下げ4.34%。ほぼ2年ぶりの大幅な低下幅だった。 10年債の価格(表面利率4.75%、2017年8月償還)は1 1/32上げて103 7/32だった。

2年債と10年債の利回り格差は、4日ぶりに拡大して57bp。前日は52 bpだった。利回り格差は先月、過去2年間で最大の64bpまで拡大した。

投資判断引き下げ

CIBCワールド・マーケッツとモルガン・スタンレーはシティグループ とBOAの投資判断を引き下げた。これを手掛かりに銀行やその他金融株が売 られ、S&P500種株価指数が下落した。

クレディ・スイス・グループは2007年7-9月(第3四半期)決算で、 債券やレバレッジド・ローンで19億ドルの評価損を計上した。

リスク回避の兆候が示されるなか、3カ月物LIBOR(ロンドン銀行間 取引金利)と米3カ月物国債利回りとの格差は107bpと、前日の98bpから 拡大した。

PCEコア価格指数、ISM指数

この日午前に発表された9月の米個人消費支出(PCE)の内容も債券に とっては好材料だった。FOMCが注目するインフレ指数である食品とエネル ギーを除くPCEコア価格指数は9月に前年同月比1.8%上昇となり、前月と 同じ伸びだった。FOMCは2008年の同指数の伸びは1.75-2%上昇と予想 している。

米供給管理協会(ISM)が発表した10月の製造業景況指数は50.9(前 月52)に低下。3月以来の最低になった。ブルームバーグ・ニュースがまとめ たエコノミスト予想中央値(51.5)も下回った。同景況指数で50は景気の拡 大と縮小の境目を示す。

FOMCは前日、FF金利誘導目標を0.25ポイント引き下げて、4.5%に 設定した。

利下げ後に発表した声明でFOMCは、「9月に委員会が取った措置と合 わせ、今回の措置は金融市場の波乱が景気全般に与えうる悪影響の一部を抑止 し、経済が長期的に緩やかに成長するのを促すのが目的」と表明した。

米連邦準備制度の公開市場操作(オペ)を担当するニューヨーク連銀は1 日、レポ(売り戻し条件付き買いオペ)を通じ、総額410億ドルを金融システ ムに供給した。

○NY外為:円が主要16通貨すべてに対して上昇。シティグループとバンク・ オブ・アメリカ(BOA)の投資判断引き下げで、金融機関のローン評価損への 懸念が再燃したことから、円で借りた資金をリスク資産に投じるキャリー取引が 手じまわれた。

円はユーロに対しては1週間ぶりに上昇。対ドルでは朝安から上昇に転じた。 円に対する下げが著しかったのはオーストラリア・ドルと南アフリカのランド、 ニュージーランド(NZ)ドル。いずれも円キャリー取引の運用先として好まれ ている。

ソシエテ・ジェネラルの上席通貨トレーダー、クリスチャン・デュポン(モ ントリオール在勤)は、「クレジット懸念の再燃でリスク志向が低下、円を支援 した」と説明した。

ニューヨーク時間午後4時2分現在、円は対ユーロで前日比1.1%上昇し、 1ユーロ=165円40銭。9月7日以来の大幅高となった。対ドルでは0.7%高 の1ドル=114円57銭。値上がり率は10月19日以来の最大。1日は一時、115 円93銭まで下げていた。前日の取引では連邦公開市場委員会(FOMC)の利 下げへの反応で、円は対ユーロで6週ぶりの大幅安となっていた。

1日午前に10月の製造業景況指数が予想以上に低下したことが明らかにな り、円は一段高となった。この日の金融市場では欧米の株価と原油、金相場が下 落した。

米国株は急落し、S&P500種株価指数は8月9日以来最大の2.7%安。原 油は過去最高値の1バレル=96.24ドルから反落し、金は1980年以来の高値か ら下げた。

政策金利

オーストラリアの政策金利は6.5%、南アフリカは10.5%、ニュージーラ ンドは8.25%に設定されている。これに対して日本の無担保コール翌日物金利 誘導目標は0.5%と、主要国中で最も低い。

ドルは豪ドルとカナダ・ドル、NZドルに対して上昇。リスク回避で米国債 に資金が流入したことがドル相場を押し上げた。

マン・グローバル・リサーチの上席通貨アナリスト、マイケル・マルピード 氏(シカゴ在勤)によると、ドルは対ポンドで1981年以来の安値に下げるにつ れ、ユーロに対しても伸び悩んだ。

ポンドの対ドル相場は1981年5月以来の高値となる1ポンド=2.0875ド ルを付けた。来週のイングランド銀行の政策会合に向け、利下げ観測が後退した のがポンド買いにつながった。英政策金利は現在5.75%と、6年ぶりの高水準 に設定されている。

雇用統計

2日に10月米雇用統計の発表を控えているため、ドルの上値は抑えられた。 市場では雇用者の伸び減速が示されると予想されている。

ドルは対ユーロで1.4435ドルと、前日の1.4487ドルから上昇。前日記録 した最安値1.4504ドルから値を戻し、この日は一時、1.4404ドルまで買い進 まれた。ドルはまた、カナダ・ドルに対して0.9%上昇し1カナダ・ドル=1.0512 ドル。前日は1950年にカナダ・ドルが変動相場制に移行して以来の安値、1カ ナダ・ドル=1.0617ドルに下げていた。

ドルは豪ドルに対して2.2%反発。前日記録した1984年以来の安値から値 を戻した。

RBSグリニッチ・キャピタル・マーケッツ(コネティカット州グリニッチ) の国際通貨ストラテジー北米責任者、アラン・ラスキン氏は、「銀行の巨額損失 もしくは評価損の観測で株式が売りを浴びた」と指摘。「質への逃避で資金がド ルに逆流し、ドルと円のショート(売り持ち)ポジションを建てていた投資家は 相場上昇で買い戻しを余儀なくされている」と付け加えた。

ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト44人の調査では、ドル は2008年6月末までに1ユーロ=1.40ドルに上昇、同年の年末までには1.35 ドルへとさらに上値を伸ばすと予想されている。

○英国債:相場は一時下落したものの、各国株式相場の下落で国債需要が高まっ たことから安値から戻し、ほぼ変わらずとなった。

米シティグループ株の投資判断が下方修正されたのに加え、クレディ・スイ ス・グループが市場混乱の終わりを予測するのは時期尚早との見方を示したこと を受け、英国の株価指標であるFT100指数は100ポイント以上下落した。

ABNアムロ・ホールディングのストラテジスト、ジェイソン・シンプソン 氏(ロンドン在勤)は、「正午頃から株価が下落し、国債相場を支えた」と指摘 した。

英2年債利回りはロンドン時間午後4時22分現在、前日比ほぼ変わらずの

5.09%となっている。一時は2週間ぶりの高い水準となる5.17%まで上昇した。 同国債(2009年12月、表面利率5.75%)価格は101.30。10年債利回りもほ ぼ変わらずの4.92%。

○欧州債:2年国債相場が大幅に上昇した。各国株式相場の下落で資金が一部流 入したことに加え、金融関連3社が米銀大手シティグループの株式投資判断をそ れぞれ引き下げたことから、信用市場での損失懸念が再浮上した。

CIBCワールド・マーケッツのアナリストチームはシティ株の投資判断を 引き下げ、同社が資本増強のために減配もしくは資産売却を迫られる可能性があ ると指摘。モルガン・スタンレーとクレディ・スイスもシティ株の投資判断を引 き下げた。さらに、民間調査で10月の製造業の伸びが過去9カ月で最低となっ たことも、欧州債券相場の下落要因となった。

カリヨンの債券ストラテジスト、オーランド・グリーン氏(ロンドン在勤) は、「債券の売却が安全策だとちょうど思われたときに、金融部門から新たな問 題が浮上してきた。これは信じられない。完全に転換点だ」と指摘する。

ドイツ2年国債の利回りはロンドン時間午後5時13分現在、前日比7ベー シスポイント(bp、1bp=0.01ポイント)低下し、3.97%となった。一時は9 bp上昇し4.15%を付けていた。同国債(2009年9月償還、表面利率4%)の 価格は0.13ポイント上昇し100.03となった。またドイツ10年国債の利回り は3bp低下し、4.2%だった。

ダウ欧州株価指数は1.5%下落し、9月7日以来の大幅安となった。英独仏 3カ国の株式指数もそれぞれ1.7%から2.1%の間で下落した。

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