日本株(終了)続伸、米景気懸念和らぎ輸出高い-TOPIX5連騰

名実ともに11月相場入りした東京株式相場 は続伸。10月31日の米国で利下げが実施されたほか、景気指標の堅調さが確認 され、米景気の失速懸念の後退からトヨタ自動車や日産自動車、ソニー、キヤノ ンなど輸出関連株が買われた。原油価格の最高値を受けて大手商社など資源関連 株、値上げによる収益性改善の期待でキリンホールディングスなど食品株も高い。 TOPIXはほぼ4カ月ぶりの5連騰。

クレディ・スイス投信の冨山邦夫・日本株式運用部長は、「米利下げは今後 予想されるサブプライム住宅ローンによる実体経済への影響を緩和させる効果が あり、マクロ経済の先行きを悲観的に見る必要はない」との見解を示した。

一方で米金融緩和は、原油高を通じて企業業績にマイナスの影響を与える一 面もあると冨山氏は指摘。「両材料の綱引きにより、株式市場は当面ボックスで 推移するだろう」(同氏)との見通しを示した。

日経平均株価の終値は前日比132円77銭(0.8%)高の1万6870円40銭と 続伸、TOPIXは15.71ポイント(1%)高の1635.78で7月4日以来の5連 騰。東証1部の売買高は概算で20億7176万株、売買代金は同2兆9090億円と 盛り上がりに欠けた。値上がり銘柄数は1046、値下がり銘柄数は581。

東証業種別33指数の騰落状況は、値上がり業種が24、値下がり業種が9。 電気機器、輸送用機器、医薬品、電気・ガス、保険、卸売、食料品が高い。半面、 海運、銀行、繊維、建設、不動産が安い。

米金融緩和で下値警戒が後退

米国の利下げが市場の事前予想通りに実施され、日本株市場も下値警戒感が 和らぐ1日となった。午後には市況続落を受けた海運株が下げ幅を広げ、一時的 に指数も伸び悩む場面があったが、「米連邦準備制度理事会(FRB)に対する 信認が継続した」(クレディの冨山氏)として、世界経済に対する安心感が相場 を支えた。

10月31日の連邦公開市場委員会(FOMC)では、フェデラルファンド金 利の誘導目標を25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)引き下げ、4.5% に設定することを決定。声明文では、新たな金利水準でFRBは経済の先行きを 見守る姿勢を示したが、「さらなる利下げ期待も完全には消えていない」(東海 東京調査センターの隅谷俊夫投資調査部長)という。

米GDP良好、輸出株の強さに

一方、同日に発表された米7-9月期の実質GDP(国内総生産)の伸び率 は前期比年率3.9%増と、2006年1-3月期以来の大幅な伸びを記録。サブプラ イム問題で金融市場が大きく動揺した時期にも景気が堅調だったことが確認され、 「しばらくの間、米国経済にもたつき感が広がろうが、それでも成長率が年率 2%を大きく下回る大幅減速は回避されよう」(野村証券金融経済研究所の木内 登英チーフエコノミスト)との見方が出た。

為替の円安も追い風となり、電機・精密機器や自動車関連株を中心に輸出関 連は総じて上昇。三菱自動車工業が52週高値、アイシン精機やフタバ産業など 自動車部品も上場来高値を更新。富士フイルムホールディングスも最高値。ゴー ルドマン・サックス証券が強い買い推奨に採用した松下電器産業は5連騰となっ た。

丸三証券投資情報部の牛尾貴部長は、日経225銘柄を海外売上高比率20% 以上の企業と以下の企業に分け、便宜的に「外需」(121銘柄、時価総額の 62%)「内需」 (104銘柄、同38%)と呼んでいる。「内需チャートの今年の 高値は2月で 、昨年4月の高値を抜けなかった。一方、外需チャートの高値は 今年7月で、昨年7月から40%程度高い。こうした点からも外需に支えられた 日本企業の企業業績ということが分かる」と、牛尾氏は話す。

重要節目で伸び悩む

指数は堅調ながら、上値では戻り売りの強さも印象的。この水準は日経平均 の25日移動平均線(1万6894円)、10月11日高値から10月25日安値の半値 戻り(1万6843円)などが集中する。日経平均では1万6800円台まで戻ってき たことで、「テクニカル的には一番難しい抵抗水準にある」(豊証券の菊池由文 取締役)との声が聞かれた。きょう終値では半値戻りをクリアしたものの、25 日線の前で足踏みとなった。

東海東京の隅谷氏は要因として、「31日の米国株はミューチュアルファン ドの決算期末で底上げされた測面もあり、先行きは必ずしも楽観視できない」と 指摘。さらに決算発表が本格化しながら、日経平均の1株利益は31日時点で 945円と9月末時点(943円)から伸びていないため、「日本株独自の買い要因 が少なく、海外株高に引っ張られる程度」(同氏)などと話していた。

JTやキリン、日精工も高い

また、9月中間決算の発表でギャラハーの買収効果が再評価されたJTが 52週高値を更新。野村証券がビールの値上げなどによる収益改善期待から投資 判断を引き上げたキリンホールディングスやサッポロホールディングス、アサヒ ビールがそろって上げるなど、食品株も買われた。

このほか、みずほ証券が投資判断を引き上げた日本精工が東証1部値上がり 率2位。07年12月期の第3四半期累計(1-9月)までの累計連結営業利益の 通期計画に対する進ちょく率が79%となった旭硝子、9月中間期の連結純利益 が従来予想を上回ったもようと発表したT&Dホールディングスも上げた。

海運株が下落率トップ

海運株がじり安となり、東証1部業種別下落率でトップ。商船三井や川崎汽 船など大手海運株が軒並み安となったほか、東証1部値下がり率上位には新和海 運や乾汽船、第一中央汽船、明治海運などが次々と並んだ。ばら積み船の運賃指 標となるバルチック・ドライ指数は31日に前日比2.1%安の1万656と続落。 中国株の下落に加え、ニューヨーク原油先物相場は1日の時間外取引で初めて1 バレル当たり96ドルを突破するなどコスト圧迫懸念も相場を押し下げた。

ベルーナや横河電は急落

このほか、08年3月純利益予想が一転して減益見通しとなったベルーナが 値幅制限いっぱいのストップ安で、東証1部値下がり率2位。テスタ事業の競争 力低下などを理由に野村証券が投資判断を引き下げた横河電機が同3位、午後に 中間期の営業利益が会社計画を2割下回ったもようと公表したオルガノは、同4 位といずれも急落。人気ゲームシリーズ「メタルギア・ソリッド」の最新版の発 売時期を、従来予定から遅らせると31日発表したコナミは大幅反落した。

新興市場は下落

新興市場はそろって下落した。ジャスダック指数の終値は前日比0.25ポイ ント(0.3%)安の787.73、東証マザーズ指数は13.41ポイント(1.4%)安の

930.65とそれぞれ3日続落。大証ヘラクレス指数は27.49ポイント(1.9%)安 の1400.59と反落。

ジャスダック市場では、楽天、インデックス・ホールディングス、エイチア イ、イー・ギャランティが安い。2007年12月期業績予想を引き下げたベルパー ク、07年9月期業績が従来予想を下回ったもようと発表したニックスが急落。 半面、インテリジェンス、エー・ディー・ワークス、ビックカメラが高い。MB O(経営陣による自社買収)で非公開化すると発表したサイバード・ホールディ ングスはTOB(公開買い付け)価格6万円にサヤ寄せして値幅制限いっぱいの ストップ高。

東証マザーズ市場では、サイバーエージェント、ACCESS、サイバー・ コミュニケーションズが下げた。07年9月期業績が従来予想を下回ったようだ と発表したフィンテック グローバルはストップ安。一方、ミクシィ、ディー・ エヌ・エー、ケアネットが上げた。米投資銀行サヴィアンを「三角合併」方式で 経営統合すると発表したGCAホールディングスはストップ高。

大証ヘラクレス市場では、アセット・マネジャーズ、ダヴィンチ・アドバイ ザーズ、マネースクウェア、地域新聞社が下落。08年3月期最終損益が一転し て赤字に転落する見通しと発表したジグノシステムジャパンはストップ安。一方、 ターボリナックス、ハドソン、イーシステムが高い。08年9月期業績の増収増 益予想を発表した日本エス・エイチ・エルはストップ高。

--共同取材:鷺池 秀樹  Editor:inkyo

参考画面: 記事についての記者への問い合わせ先: 東京 長谷川 敏郎 Toshiro Hasegawa +81-3-3201-8361 thasegawa6@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保 義人 Yoshito Okubo +81-3-3201-3651 okubo1@bloomberg.net 東京 Nicolas Johnson +81-3-3201-8343 nicojohnson@bloomberg.net

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE