米メリルリンチ:オニール氏に壊された「企業文化」に悲嘆の声

1990年代に米証券大手メリルリンチの最高 経営責任者(CEO)を4年間務めたダニエル・タリー氏(75)によれば、同 社は創業者のチャールズ・メリル氏が死去した1956年当時から常に、トップが ある日バスにひかれても困らないような後継者選出プランを用意してきた。

タリー氏は「何日も何カ月もかけて議論したものだ」と話す。「会長に何か あったら、誰を後継者に推薦するかを書いて取締役会に提出させられた」とい う。

90年余りのメリルの歴史のなかで今回初めて、社内に後継者が準備されな いうちにCEOの座が空席となった。スタンレー・オニール前CEOの突然の 退任のためだ。同氏がCEOを務めた5年間に多数の上級幹部を排除してきた 結果、6万4200人のメリルの従業員のなかに後継者とみられる人はいない。

CEOを探す仕事は暫定会長に就任したアルバート・クリビオーリ氏(62) に委ねられることになった。投資会社幹部の同氏は03年に、CEOだったオニ ール氏によってメリルの取締役会に招へいされた。

タリー氏は電話インタビューで、「メリルからは何年もの間に優秀な人材が 流出し、オニール氏の行動に疑義を差し挟む者がいなかった。同氏が反対意見 を好まなかったからだ」と語った。「社外に人材を探さなければならないのは悲 しいことだ」と付け加えた。

有力候補

社外の最有力候補は、昨年メリルに発行済み株式のほぼ50%を売却した資 産運用会社ブラックロックのローレンス・フィンクCEO(54)だろう。事情 に詳しい関係者によれば、フィンク氏は先週オニール氏と夕食をともにしたも のの、メリルの取締役会からCEO就任の打診は受けていないという。

次期トップを社内でナンバー2の座に据え、1、2年の経験を積ませるの がメリルの伝統だった。チャールズ・メリル氏からオニール氏まで、歴代CE Oはそのようにして権力を次代へ受け渡してきた。

元幹部のウィンスロップ・スミス・ジュニア氏は「企業文化が損なわれた」 と嘆き、「回復できるのだろうか」と心配する。次期CEOは年初来29%下落し た株価や信用格付け引き下げのリスク、さらなる評価損の可能性という遺産を 受け継ぐ。

アメリカン・フェデレーション・オブ・ステート・カウンティ・アンド・ミ ュニシパル・エンプロイーズの年金・給付政策ディレクター、リチャード・フ ァーロート氏は、オニール氏の失敗の責任の一端は、同氏の経営方針への監督 が不十分だった取締役会にもあると指摘する。

ニューヨーク大学の金融学教授ロイ・スミス氏は、クリビオーリ氏がまず しなければならないのは「取締役会にとって何が焦点なのかを定めることだ」 と語った。

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