【米経済コラム】FRB発信のシグナルは追加利下げなし-J・ベリー

米連邦準備制度理事会(FRB)は31日の 連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利であるフェデラルファンド(F F)金利の誘導目標を0.25ポイント引き下げ4.5%とし、金融市場の要望に応 えた。

市場ではこの要望が支配的だったため、要望通りにならなければ、深刻な 事態を招く可能性もあった。

そんななかFOMCは、次回会合(12月11日開催)では追加利下げを見込 むべきではないというシグナルを投資家やアナリストに効果的に送った。シグ ナルは明快だった。FOMCの声明に「FOMCは今回の措置を講じた後のイ ンフレ率上昇リスクと成長下振れリスクがおおむね均衡すると判断した」との 文言が盛り込まれた。

インフレ圧力が持続し、急速にドル安が進み、ストレスを抱えた金融市場 が自律的に回復する必要性が強いことを考えれば、シグナルは適切なものだっ た。

0.5ポイントの利上げを実施した前回のFOMC(9月18日開催)でも、 メンバーの一部は「リスク均衡」の認識を盛り込みたいと考えていたが、過半 数の支持を得たのは、より曖昧な「景気見通しへの不透明感が強まった」とい う文言だった。この文言が、今回の0.25ポイント利下げにつながった。

議決権を持つメンバー10人のうち9人が今回の決定を支持したことも、次 回のFOMCで追加利下げが実施される可能性が低いもう1つの理由だ。カン ザスシティー連銀のホーニグ総裁は、金利据え置きを主張して反対した。

利下げの必要性なし

インターナショナル・ストラテジー・アンド・インベストメント・グルー プのトム・ギャラガー氏は「FRBが送っているのは、利下げは終了したと考 えているというシグナルだ。従って、12月の利下げの障壁は非常に高い」と指 摘する。

皮肉なことに、0.25ポイントの利下げが発表された数時間前には、住宅建 設支出の大幅な落ち込みにもかかわらず、7-9月期の米国内総生産(GDP) が前期比年率3.9%増だったことが明らかになった。

住宅投資の大幅な減少は6四半期連続。一方で、その間のGDPは年率

2.3%のペースで成長。失業率も計0.25ポイントの上昇にとどまった。

景気に陰り

それでも声明には、今後数カ月の景気動向には陰りが出るとの見通しが盛 り込まれた。

声明は「第3四半期の経済成長の足取りはしっかりしており、金融市場で の圧迫はいくらか緩和された」とした上で「しかしながら景気拡大のペースは 短期的には減速する可能性が高く、これは一部、住宅部門の調整本格化を反映 するものだ」と分析。さらに「今回の措置は9月にFOMCが取った措置と合 わせ、金融市場の波乱が景気全般に与え得る悪影響の一部を抑止し、経済が長 期的に緩やかに成長するのを促すはずだ」と付け加えた。

この文言もまた、2回の利下げは、予想される景気減速に対応したものだ という市場への注意喚起だ。言い換えれば、予想される減速が現実のものにな ったとしても、追加利下げを期待してはならないということだ。

コアインフレ

インフレに関して声明は「今年に入り、コアインフレの数値は小幅に改善 してきた。しかしながら最近みられるエネルギーと商品価格の上昇を中心に、 インフレへの上昇圧力が再燃すると考えられる。FOMCはこうした展開にか んがみ、インフレリスクが一部に残ると判断しており、慎重にインフレの動向 を見守っていく所存だ」とした。

7-9月期のGDP統計によると、食品とエネルギーを除いた個人消費支 出(PCE)コア価格指数は前期比年率1.8%上昇と、4-6月期(同1.4%上 昇)を上回る伸びだったが、これを除けば2年ぶりの低い伸びだったことにな る。また、労働省が31日発表した7-9月期の雇用コスト指数は前期比0.8% 上昇、前年同期比3.3%上昇だった。この数字は、インフレを加速させるほど労 働コストの上昇ペースが速くないことを示している。

住宅問題

米景気減速の可能性が高いにもかかわらず、原油相場をはじめ多くの国際 商品が驚くほど堅調に推移していることから、金融当局がインフレ動向を注視 し続けるべき理由は十分にある。

住宅部門は今後もしばらく成長の足かせになる見通しで、FOMCメンバ ーも過去2回の利下げがこうした状況を変えるものになるとはみていない。こ のため今後6週間に住宅部門の新たなマイナス材料が出てきたとしても、次回 のFOMCの決定にはさほど影響を与えない公算が大きい。

今回の声明が発表された後でさえ、次回FOMCでの追加利上げの有無を めぐる投資家の意見はほぼ真っ二つに分かれた(FF金利先物を基にした予想)。 過去10日間がそうだったように、次回のFOMCでも投資家の利下げ観測が強 まる可能性はある。しかし投資家は、今回ほどはっきりした利下げの確信を持 てないだろう。 (ジョン・ベリー)

(ジョン・ベリー氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。 このコラムの内容は、同氏自身の見解です)

-- Editor: Ahearn (jmg/shw)

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