日本株は輸出中心に続伸、米景気失速の懸念和らぐ-上値重さも(2)

名実ともに11月相場入りした午前の東京株 式相場は続伸。7-9月期GDP(国内総生産)堅調や利下げから米国景気失速 懸念が後退し、為替の円安も加わって収益改善期待から電機や精密機器、自動車 など輸出関連株中心に買われた。原油価格の最高値から大手商社株が高く、新日 本石油など石油・石炭製品は午前の東証1部業種別上昇率トップとなった。

しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹投信グループ長は、「米日の 金融政策はサプライズがなかった。米利下げは米国経済を下支えしそうで、景気 失速懸念は薄らいだ」との見方を示した。ただし藤原氏は、国内9月中間決算に 対する株価の反応が極端に振れる傾向から、「決算内容を見極めたいとして市場 の模様眺めムードも強い」とも話している。

日経平均株価の午前終値は前日比126円20銭(0.8%)高の1万6863円83 銭、TOPIXは13.81ポイント(0.9%)高の1633.88。東証1部の売買高は 概算で9億6655万株、売買代金は1兆2950億円と引き続き前日並みの低調さ。 値上がり銘柄数は1002、値下がり銘柄数は593。

午前の東証業種別33指数の騰落状況は、値上がり業種が24、値下がり業種 が8。電気機器、輸送用機器、医薬品、保険、卸売、食料品、機械が高い。半面、 銀行、海運、建設、サービス、不動産が安い。

米国への安心で終始買い先行

午前の東京市場では、米国経済に対する不安感がやや和らいだことで終始買 いが先行する展開となった。10月31日に発表された米7-9月期の実質GDP の伸び率は前期比年率3.9%増となり、2006年1-3月期以来の大幅な伸びを記 録。同日の連邦公開市場委員会(FOMC)ではフェデラルファンド金利の誘導 目標を25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)引き下げ、4.5%に設定す ることを決定した。米国株相場は経済成長が持続するとの期待から反発した。

サブプライム問題で金融市場が大きく動揺した時期にも景気が堅調だったこ とが確認されたことで、「しばらくの間、米国経済にもたつき感が広がろうが、 それでも成長率が年率2%を大きく下回る大幅減速は回避されよう」(野村証券 金融経済研究所の木内登英チーフエコノミスト)との見方が出ている。

米利下げについては、「織り込み済みだった」(しんきんアセットの藤原 氏)との見方が一般的。声明文では新たな金利水準で米連邦準備制度理事会(F RB)は経済の先行きを見守る姿勢を示したが、「さらなる利下げ期待も完全に は消えていない」(東海東京調査センターの隅谷俊夫投資調査部長)という。

一方、為替市場では世界経済は持ちこたえるとの見方から高利回り通貨が買 われ、日本銀行が31日に金利を据え置いた低金利の円に対しては売り圧力が強 まった。午前のドル・円相場は1ドル=115円50銭までドル高・円安が進行。 輸出関連株の収益改善期待につながった。トヨタ自動車は大幅続伸、三菱自動車 工業は8連騰で52週高値を更新した。アニメ映画部門と映画特殊効果部門の株 式売却観測が浮上したソニーも高い。

昨日の米国株は期末特有部分も

もっとも、日経平均は買い一巡後に伸び悩み傾向も顕著だった。米国株高を 受けてチャート上からの上値めどは「25日移動平均線1万6894円前後を意識し た動きになる」(新光証券エクイティ情報部の三浦豊シニア・テクニカルアナリ スト)との声が出ていたものの、午前高値が1万6875円にとどまるなど同水準 を前に足踏みが続いた。

東海東京の隅谷氏はその要因として、「31日の米国株はミューチュアルフ ァンドの決算期末で底上げされた測面もあり、先行きは必ずしも楽観視できな い」と指摘。さらに決算発表が本格化しながら、日経平均の1株利益は31日時 点で945円と9月末時点(943円)から伸びていないため、「日本株独自の買い 要因が少なく、海外株高に引っ張られる程度」(同氏)などと話していた。

三菱UFJは昨日急騰分の75%失う

指数が上昇する中、銀行株は軟調だった。市場収益や貸し出し業務がふるわ ず、31日に08年3月期連結純利益を下方修正した三菱UFJフィナンシャル・ グループは反落。自社株買い期待で上昇した前日の上げ幅の75%を失った。こ のほか、三井住友フィナンシャルグループ、あおぞら銀行も安い。銀行株指数は 午前のTOPIX下落寄与度トップとなった。

しんきんアセットの藤原氏は、「証券化商品とノンバンクによる業績への影 響が懸念されることから、決算発表前の企業が多い銀行株は手を出しにくい」と 見ていた。

横河電や博報堂DYは急落

個別では、テスタ事業の競争力低下などから通期(08年3月期)業績の下 方修正を発表した横河電機は、野村証券が株価の割安感がなくなったとして投資 判断を引き下げており、一時値幅制限いっぱいのストップ安まで下げるなど急落。 東証1部値下がり率3位となった。目標株価に接近してきたことを理由にクレデ ィ・スイス証券が投資判断を引き下げた博報堂DYホールディングスも大幅安で 同5位となった。

08年3月通期の連結純損益は950億円の赤字になる見通しとなった東京電 力、07年12月期業績予想を下方修正したノーリツが軟調。環境分野や原子力関 連分野などのプラント事業が不振になると見て08年3月期業績予想を据え置い た三井造船は3日続落。

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