日本株は続伸へ、米利下げで景気懸念和らぐ-輸出中心に全般高(2)

名実ともに11月相場入りした東京株式相 場は、続伸が見込まれる。10月31日の米国では連邦公開市場委員会(FOM C)で利下げが実施され、7-9月期GDP(国内総生産)伸び率も市場予想 を上回った。米景気悪化懸念が緩和されたことで、収益の米国依存度が高い自 動車や電機を中心に企業業績や外国人投資家の買い余力拡大への期待から幅広 く買いが先行しそう。

いちよし投資顧問の秋野充成運用部長は、「25ベーシスポイント(bp、 1bp=0.01%)の米利下げは予想されていたが、追加利下げ期待から買い安 心感が残る」との見方を示した。世界同時株高が続くとの期待から、「場合に よって、日経平均株価は1万7000円オーバーもあり得る」(秋野氏)として いる。

シカゴ先物市場(CME)の日経平均先物12月物の10月31日清算値は 1万6855円で、大阪証券取引所の通常取引終値(1万6710円)に比べて145 円高だった。

FOMCは0.25%下げ、米国株上昇

31日に発表された米7-9月期の実質GDPの伸び率は前期比年率3.9% 増と、2006年1-3月期以来の大幅な伸びを記録。ブルームバーグ・ニュース がまとめたエコノミスト予想(同3.1%増)を上回った。住宅建設の落ち込み が続く一方、輸出と個人消費、企業の投資が好調に推移した。

また、米連邦準備制度理事会(FRB)は同日、連邦公開市場委員会(F OMC)を開き、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を25ベーシス ポイント(bp、1bp=0.01%)引き下げ、4.5%に設定することを決めた。 声明文では、今回の下げは「金融市場の波乱が景気全般に与え得る悪影響の一 部を抑止し、経済が長期的に緩やかに成長するのを促すのが目的」とした。

その上で声明では、9月との計75bpの利下げにより、新たな金利水準で 経済の先行きを見守る姿勢を示した。JPモルガン・チェースの米国担当シニ アエコノミスト、ジェームズ・グラスマン氏は、「先行きはかなり不透明だ。 利下げ打ち止めだとは断言できないだろう。危険はまだ多い」と指摘する。

31日の米株式相場は、経済成長が持続するとの期待から反発。S&P500 種株価指数は前日比18.36ポイント(1.2%)高の1549.38、ダウ工業株30種 平均は137.54ドル(1%)高の13930.01ドル、ナスダック総合指数は42.41 ポイント(1.5%)高の2859.12と52週高値を更新した。ニューヨーク証券取 引所の騰落率は4対1。

一方、外国為替相場では世界経済は持ちこたえるとの見方から高利回り通 貨が買われており、低利回りである円売りが増加。東京時間朝方のドル・円相 場は1ドル=115円台前半と、週初の113円台と比べれば円安が進んでいる。

足元の堅調さと利下げで米国の景気減速懸念が緩和された上、円安による 採算性改善評価から、特に輸出関連株は業績期待の買いが高まりそうだ。

原油は高値更新

31日のニューヨーク原油先物12月物は一時、1バレル=94.80ドルと過 去最高値を更新した。午前に発表された米エネルギー省の週間統計で原油在庫 が2年ぶりの水準に減少したことが明らかになり、買いが膨らんだ。商品市場 でもドル安を受けてインフレヘッジとしての商品需要が高まり、UBSブルー ムバーグCMCI指数が1271.70と過去最高を更新した。

秋野氏はきょうの投資対象について、「好業績銘柄を選別することがポイ ント。中でも新興国経済の恩恵を受ける鉄鋼、海運、商社などの押し目買いが 有効だ」と見ていた。

展望リポート発表、年内利上げ困難との見方

日本銀行は31日午後3時、経済・物価情勢の展望(展望リポート)を公 表した。緩やかに物価上昇の下で、潜在成長率を幾分上回る成長が続くという 標準シナリオを維持する内容。消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI) 前年比上昇率の「政策委員見通しの中央値」は07年度が0.0%、08年度がプ ラス0.4%とやや下方修正された。

また、賃金やユニットレーバーコスト(雇用者報酬/実質国内総生産)に 関する記述などは随所に弱めの記述が散見され、「実質的に年内の利上げを放 棄したと受け止められる」(大和住銀投信投資顧問の大中道康浩チーフエコノ ミスト)との見方が出ている。利ざや改善期待の後退から、銀行株は買い一巡 後、上値が重くなることも予想される。

スズキや旭硝子など上昇見通し

個別では、08年3月期連結純利益を従来の760億円から820億円に7.9% 増額したスズキ、07年12月期の第3四半期累計(1-9月)までの累計連結 営業利益の通期計画に対する進ちょく率が79%となった旭硝子、9月中間期の 連結営業利益は前年同期比0.3%増と事前予想を7.5%上回ったNTTデータ などに買いが増加しそう。自社株買い1500億円を正式に発表した三菱UFJ フィナンシャル・グループも、これまで自社株買いに消極的とみられていた同 社株を再評価する流れが継続する公算がある。

半面、08年3月通期の連結純損益は950億円の赤字になる見通しとなった 東京電力、07年12月期業績予想を下方修正したノーリツなどが業績失望から 売りが先行するとみられる。このほか、第2位株主の三菱商事によるTOB (株式公開買い付け)の買い付け価格が1947円と31日終値2165円より低い 日本ケンタッキー・フライド・チキンも下落が予想される。