パイオニア:通期純利益予想60億円に半減-プラズマ新工場見送り(4)

液晶テレビ大手のシャープとの提携を9 月に発表したパイオニアは31日、今期(2008年3月期)業績予想の下方修正 を発表、純利益見通しは従来予想125億円の半分以下の60億円に減額した。 プラズマテレビの不振が理由で、販売計画は従来の72万台から56万台へと急 減。同時に山梨県南アルプス市で予定していたプラズマ新工場の建設も見送る と発表した。プラズマの営業損益は来期も赤字が続く見通し。

通期の売上高も従来予想から1.8%減らして8200億円とし、営業利益見通 しも33%減額して100億円とした。為替想定レートは1ドル=115円、1ユー ロ=155円で変更しない。併せて発表した第2四半期(07年7-9月)連結業 績は、純損益が24億円の赤字(前年同期は35億円の黒字)、売上高は前年同 期比6.3%増の2005億円、営業利益は同80%減の9億円だった。

須藤民彦パイオニア社長は昨年6月、2008年の北京五輪をにらみ、プラズ マ増産に向けた新工場整備を表明。南アルプス市で建設準備に入った。しかし、 昨年の歳末商戦でのプラズマテレビ販売不振から1月に建設の延期を発表、計 画は事実上凍結されていた。現在の同社のプラズマ生産能力は42型換算で年 97万台だが、低効率の一部ライン停止で来期初めには85万台に減る見通し。

みずほインベスターズ証券の大澤充周アナリストは、新工場が稼働すれば 「効率の良い生産設備によりコスト競争力を強化する効果があった」としたう えで、プラズマで苦戦が続く以上「投資節減は自然な流れ」ではあるものの、 「そこから来る他社との格差拡大で、長期的には製品戦略はさらに厳しくなる のではないか」とコメントしている。

プラズマは来期も赤字

下方修正後の今期プラズマ販売計画56万台は、シェアトップである松下 電器産業の500万台の1割程度にすぎない。56万台のうち42型製品は40%を 占め、残りは52型など。会見で須藤社長は、市場動向や同社製品の商品力な どを判断し下方修正したと説明。そのうえで新工場を計画通り建設することは 「リスクが多過ぎる」と判断した、という。

ただ「完全にやめたわけではない」ため、すでに確保した用地は保有を続 けると語った。建設を断念するかどうかは来期の予算を考える際に決めるとし ながらも、最終判断の時期についての明確な言及は避けた。

プラズマは四半期ベースでは前期の第4四半期(07年1-3月)から営業 赤字が継続。前期の上半期も赤字だった。須藤社長は会見後の説明会で、来期 も赤字が続く見込みであることを明らかにした。こうした中で、画質が高精細 製品の生産は強化する、と語った。

プラズマ事業自体の赤字額は公表していないが、プラズマが大部分を占め るとしているホームエレクトロニクス部門の通期営業赤字予想額を今回、80億 円から145億円へと拡大させた。前期の赤字は158億円だった。

新工場見送りはシャープと関係なし

パイオニアは9月にシャープとの提携を発表。12月完了予定の株式持ち合 いを通じてシャープが14%超を出資する筆頭株主となり、217億円の資金支援 を受ける。並行してシャープから液晶テレビの供給を受け販売、国内唯一だっ たプラズマ専業の旗を降ろし、松下電産や2位の日立製作所と同じ兼業となる。

須藤氏は、新工場建設見送りについては「シャープとは全く話し合ってい ない」と語り、シャープからの液晶テレビ供給でテレビ戦略を補完することと、 プラズマ増産見直しは無関係だと強調した。

シャープとの提携については、発表から1カ月を経て「欧州でのチューナ ー開発を一緒にやろうとか、シャープのオーディオが弱いので開発に協力して ほしいなどの話は出ているが、具体的にはなっていない」ことを明らかにした。 さらに資本提携に伴う「投資リターンの計算はしていない」と語った。

これを受け、説明会参加者からは、投資効率を計算していないのであれば 資本提携の必要はなかったのではないか、との指摘も出た。これに対し須藤氏 は、過去にもシャープと業務提携をしたが「結果に結び付かなかった反省があ る」と説明。そのため今回の提携は、「本気だと言うことを示すためにも、株 式の持ち合いをベースに」したと語った。

パイオニアの株価終値は前日比9円(0.7%)高の1277円。

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