英経済も米国の二の舞いか-価格3倍の住宅バブル、ついに破裂の兆し

ロンドンで独立系不動産仲介業を手掛ける ニック・コリンズ氏(38)は2003年以来、毎年、記録的な利益を上げてきた が、この9月に打撃を被った。中堅銀行ノーザン・ロックの取り付け騒ぎの影 響で、購入予定者50人中5人が契約解除を申し出た。これはコリンズ氏だけで なく、住宅バブルに乗って成長してきた英経済にとっても悪いニュースかもし れない。

販売する住宅が計500万ポンド(約11億8700万円)相当に達するコリン ズ氏は「消費者の信頼感が低下した。市場はかつてほど競争が激しくてバブル 的な状況ではない」と語る。

ノーザン・ロックの騒ぎは英国の不動産ブームが終わりつつあることを示 す複数の兆しの1つだ。同国では過去10年で平均住宅価格が3倍にも上昇し、 15年に及ぶ経済成長を後押ししてきた。過去200年で最長のこの景気拡大も、 減速していく初期段階に入ったかもしれない。住宅向け融資が鈍化し、9月に は住宅価格が今年になって初めて下落したからだ。

イングランド銀行でエコノミストを務めた経歴を持つ、ファゾム・ファイ ナンシャル・コンサルティング(ロンドン)のマネジングディレクター、ダニ ー・ギャベイ氏は「英国の住宅評価額は著しく高過ぎて、調整の影響を非常に 受けやすい」と説明。「向こう12カ月の経済成長に対する下振れリスクは大き い」と語った。

英経済は欧州の中でも突出しており、01年から05年にかけてはほぼ毎四 半期、成長率がドイツやフランスを上回っていた。国際通貨基金(IMF)が 17日発表した予測によれば、英国の成長率は来年2.3%、独仏はそれぞれ2.0% が見込まれる。

借り入れの加速

英国の政策金利は01年から06年まで40年ぶり低水準にあり、これが借 り入れを促し、経済を押し上げてきた。英国立経済社会研究所(NIESR) によれば、英国民の抱える債務は06年末時点で計1兆3700億ポンドと、収入 の1.61倍に及び、主要7カ国(G7)で最高。今年6月30日までに、この倍 率は1.66倍に上昇した。米国は同期間、1.42倍だった。

英国民は借金で住宅を購入し、新居を担保にさらに資金を借り入れた。住 宅用不動産価格は過去10年で189%上昇した。仏銀BNPパリバのエコノミス ト、アラン・クラーク氏は「これまで個人消費の伸びを支えてきた要因は、住 宅価格インフレによる富の拡大のみだが、それは消える方向だ」と指摘する。

住宅価格が下がった9月に、銀行が承認した住宅ローンの件数は2年2カ 月で最低だった。その2カ月前の7月、イングランド銀行は政策金利を6年ぶ り高水準の5.75%へ引き上げている。英住宅ローン最大手のHBOSによれば、 9月の平均住宅価格は0.6%下落。また、1-6月期に銀行が差し押さえた不 動産は1万4000件と、1999年以来で最大だった。

長いことうわさされてきた英住宅ブームの終わりが、とうとうやってきた のかもしれない。そして、米国が学んできたように、住宅部門が風邪をひけば、 経済全体が寒けで震える。