米メリル:真の痛手は株主資本20%消失-オニール前CEOの評価損で

米証券大手メリルリンチがスタンレー・オ ニール前最高経営責任者(CEO)の下で失ったものは、2007年7-9月(第 3四半期)赤字の22億4000万ドルばかりではない。

株主にとって本当の痛手は84億ドル(約9600億円)の評価損だ。評価損 の規模はウォール街の歴史のなかで最悪で、メリルのデータによると、同社の 株主資本の4四半期分の伸びを吹き飛ばしてしまった。債務担保証券(CDO) とサブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン関連資産を中心に評価額 を引き下げた結果、メリルの資産から負債を差し引いた株主資本は9月末時点 で388億ドルに減少した。6月時点は422億ドルだった。

リーマン・ブラザーズ・ホールディングスの会計アナリスト、ロバート・ ウィレンズ氏は「株主資本の20%に相当する評価損を1回で計上するとは、深 刻な打撃だ」として、「取り戻すのに2、3年かかるかもしれない」と述べた。

オニール氏のメリルでの21年の経歴に終止符を打った評価損の規模は、同 社が過去3年に債券セールスとトレーディングで稼いだ税引き前の額を超えて いる(サンフォードCバーンスティーンの見積もり)。

サンフォードCバーンスティーンのアナリスト、ブラッド・ヒンツ氏によ ると、メリルの債券トレーディング事業の06年1-3月(第1四半期)ROE (株主資本利益率)は38%と前年同期の15%から上昇していた。同氏はメリル が「失ったのは過去2年にCDOで稼いだ額よりも大きかった可能性が高い」 として、「損失の全額がCDO関連ではないだろうが、当たらずとも遠からずだ ろう」と述べた。

メリルは報酬に充てる準備金として第3四半期に20億ドルを割り当てた。 前四半期の48億ドルから減少した。

メリルは依然、152億ドル相当のCDOを保有している。CIBCワール ド・マーケッツは先週、10-12月(第4四半期)にさらに40億ドルの評価額引 き下げが必要となる可能性があると指摘した。ヒンツ氏は証券類の価値25%低 下は純資産価値の10%減少につながると試算している。

株主資本の減少は債務返済能力の低下につながる。29日のクレジット・デ フォルトスワップ(CDS)市場の動向によると、メリルが5年以内にデフォ ルト(債務不履行)する可能性は7%が示唆される。6月30日は3%だった。