ニチアス株がストップ安気配、不正認定の住宅製品納入-旭化成も下げ

建材や耐火関連材製造大手のニチアス株が、 ストップ安(値幅制限いっぱいの下落)売り気配のまま午前の取引を終えた。気 配値は前日比200円(19%)安の871円で、注文状況は差し引き約2800万株の 売り超過。30日の取引終了後に、耐火性能について国の認定を不正な方法で取 得していた同社の住宅用製品を、住宅メーカーに10万棟分納入していたと発表 した。これを嫌気した売りが殺到。不正の実態を把握後もほぼ1年間、製品を出 荷しており、企業の信頼性にかかわる問題とも懸念されている。

また旭化成は30日に、グループ企業の旭化成ホームズ(本社:新宿区)が 同製品を使用した住宅が約4万棟あることを発表。ニチアスから事実を知らされ たのは今月末だと社長会見で公表した。今後の業績などへの影響を警戒した売り 圧力に押され、旭 化成株は一時、前日比52円(5.7%)安の866円まで急反落。 午前の終値は同30円(3.3%)安の888円だった。

日興コーディアル証券エクイティ部の西広市部長は、ニチアス株と旭化成株 について「前日の悪材料を嫌気した売り。ニチアスの問題はコンプライアンス (法令尊守)の問題だとされているようだが、旭化成は被害者的な立場にあるよ うだ」と指摘した。

ただ西氏は、旭化成に関しては「ニチアス関連の連想というよりも、日本銀 行の金融政策決定会合を控え、基本的には相場全体の地合いの影響を受けたもの。 グループ全体の業績は好調なようで、きょうは利益確定の売りだろう」との見方 も示している。

出荷停止は30日、隠ぺい意図は否定

不正な方法で認定を受けたのは、住宅用軒裏天井と耐火間仕切壁の一部製品。 そのうち、耐火時間が45分から60分の軒裏天井材が約4万棟分、30分のもの が約6万棟分。ほかに石膏ボードなどでできた耐火間仕切壁が約750件ある。 2001年11月から05年8月にかけて認定を受けていた。

ニチアスでは、これらの製品を旭化成グループの旭化成ホームズなど9社に 納入。19日に国土交通省に報告、18日から23日までに納入先に説明し、最終的 に不正な製品の出荷を停止したのは30日だった。

30日に記者会見したニチアスの川島吉一社長は、約1年にわたり事実を把 握しながら公表しなかったことについて、「申し訳ない」と謝罪を繰り返した上 で、「隠ぺいの意図はなく、その認識もなかった。対応策を完成させ、対応する ことを最優先した」と弁明した。

また、奥本久治専務も製品の最終的な使用先については、納入先の住宅メー カーなどを通じて把握可能だとし、「すべての不正製品使用の住宅を規格に合っ た製品に改修することで対応する」とした。両者とも経営陣の対応がまずかった ことは認めたが、責任についての言及はなかった。

ブランド価値き損と旭化成ホム社長

一方、旭化成の蛭田史郎社長は30日の会見で、23日に事実を知った後、約 1週間発表まで掛かったことについては「実態把握と顧客への具体的な対応策を 最優先した結果」とし、今後補償などの面では「費用などの面はニチアスに請求 する方針」としながらも、「具体的な話し合いはこれから。ただ、顧客にはそん なことは関係なく、早急に対応する」と語った。

旭化成ホームズの波多野信悟社長も、「へーベルハウスは耐火や耐震、安心 を売りに成長してきた」として、今回の事態は「ブランド価値のき損につなが る」(波多野社長)との認識を示唆。個別に約4万棟すべての住宅などに、誠実 に対応することでもう一度信頼を取り戻すと話している。

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