武田薬株は20年ぶり下落率、高脂血症薬「TAK-475」の申請遅延(2)

武田薬品工業の株価が急反落。同社が次 世代の成長を担う有望新薬として位置付けてきた高脂血症治療薬「TAK- 475(開発コード名)」の承認申請時期が先送りされることが29日明らかにな った。高用量試験で肝臓に対する毒性が見られたため。医薬品アナリストの中 には、開発そのものが中止されるリスクを織り込むべきだとの向きもあり、失 望売りが膨らんだ。

終値はストップ安(制限値幅いっぱいの下げ)に相当する前日比1000円 (12%)安の7060円。同株価水準は2006年7月19日以来、約1年3カ月ぶ りの安値で、12.4%という下落率は1987年10月以来、約20年ぶりの大きさ となった。出来高は1737万株で、なお320万株超の売り注文を残した。

武田薬は29日の取引終了後に米食品医薬品局(FDA)からTAK-475 の高用量試験を中止するよう推奨されたと発表した。同薬100ミリグラムを用 いた第2相・第3相試験で、肝機能の低下を示す「ALT」(アラニンアミノ トランスフェラーゼ)の上昇例が多数見られたことをFDAが重視した。

武田薬は50ミリグラムではALT上昇がみられていないとしているが、 FDAは武田薬に対してTAK-475に関する追加臨床試験を求めた。このため 2008年4-6月(第1四半期)と見込んでいた承認申請時期が先送りされる。

同社コーポレートコミュニケーション部の増田聖三氏は現在の状況につい て、「追加臨床試験の中身を社内で検討中」としているほか、今後の方針につ いては「FDAなど日米欧の規制当局との協議を踏まえて早急に対応する」と している。

投資判断引き下げ相次ぐ

UBS証券の志村裕久シニアアナリストは29日付の投資家向けリポート で「開発中止の可能性が浮上した」と指摘、2011年度に米国での年商が20億 ドル(1株利益の10%に相当)になると見込んでいたTAK-475を業績予想 からすべて除外した。これにより目標株価を1万円から8000円に引き下げた ほか、投資判断も「Buy(買い)」から「Neutral(中立)」に格下げした。

志村氏は30日朝、ブルームバーグ・ニュースの電話取材に応じ、「上市 (発売)しない方がいいのではと思って売り上げをゼロにした。もし上市して 数例の死者が出てしまうと大きな訴訟につながる」と回答、副作用リスクを考 えれば、ここで開発を中止するのもひとつの選択肢だと述べた。

UBS証券のほかに、みずほ証券が「中立」から「ウェート下げ」に1段 階引き下げたほか、三菱UFJ証券が「2(買い)」から「3(中立)」に引 き下げた。

TAK-475は、糖尿病薬「SYR-322」、抗かいよう剤「TAK-390M R」と並ぶ次世代を担う3大新薬だった。SYR-322やTAK-390MRが既存 の製品の補強に役立つとみられているのに対し、TAK-475は「純粋な上乗せ が期待できたため、TAK-475でこうしたケチがついたのは残念で、かなり厳し い」(みずほ証券の田中洋シニアアナリスト)との声もあった。

ただ「低用量(50mg)で上市に漕ぎ着けられる可能性も残っている」(S MBCフレンド調査センターの高沖聡シニアアナリスト)との声もあり、今後、 追加される低用量試験のデータがカギをにぎりそうだ。

三菱U証の中沢安弘シニアアナリストは、TAK-475の海外販売時期は 「2011年度後半以降と2年以上の遅れが生じる」と予測している。

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