米REIT相場、今年は98年以来の大幅下落も-金融混乱が深刻化

借り入れコストの上昇が買収を抑制させ、 不動産の値下がりを招くなか、米不動産投資信託(REIT)相場は今年、約 10年ぶりの大幅下落となりそうだ。

米カリフォルニア大学のケネス・ローゼン教授(経済学)によれば、REI T相場は2000年から06年まで米S&P500種株価指数を上回るパフォーマンス を毎年上げてきたものの、向こう1年間で最大20%下落する可能性がある。不 動産関連証券に投資するヘッジファンド(運用資産4億8000万ドル)も運営す る同教授は、「REITは株・債券と比較して、25-40%割高だ」と指摘した。

金融機関や投資家は米サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローンや 商業用不動産ローンを裏付けにした債券などへの投資を控えており、不動産信託 の資産価値は低下している。このため、REIT相場も下がると、アメリカン・ センチュリー・インベストメンツのファンドマネジャー、ジェフリー・タイラー 氏は語る。モルガン・スタンレーのアナリストは先月、REITの投資リターン が10%減少する可能性を指摘した。

全米不動産業者協会(NAR)が24日発表した9月の中古住宅販売件数は、 住宅ローン金利の上昇が潜在的な住宅購入予定者を直撃し、前月比でエコノミス ト予想を大きく上回る減少幅を示した。販売件数は前年同月比で19%減となり、 住宅価格(中央値)も低下した。

ブルームバーグREIT指数のリターン(配当含む)は、ピークとなった2 月8日までの2年間でプラス78%。2月9日には、米投資会社ブラックストー ン・グループが米オフィスREIT大手エクイティ・オフィス・プロパティー ズ・トラスト(EOP)を総額390億ドル(約4兆4520億円)で買収した。

REIT指数の低下

その後、商業用不動産ローン金利が上昇し米10年国債の利回りを2ポイン ト上回ったことを受け、ブルームバーグREIT指数は現在までに16.5%低下 した。同指数のトータル・リターンが10%以上のマイナスとなったのは、ハイ テク株に資金が逃避した1998年以来。

1991年以来、上場したREITは200を超える。全米不動産投信協会(N AREIT)によれば、上場REITの時価総額は総額で約3570億ドル。RE ITは、収入の90%以上を配当として支払うことが義務付けられているうえ、 配当利回りが米国債を上回ってきたことなどから、これまで投資家にとって魅力 的な投資対象となってきた。

ブルームバーグのデータによれば、ブルームバーグREIT指数を構成する 128銘柄のうち約半数の利回りが、米10年債利回りの4.34%を下回っている。 また、時価総額で米10位までのREITのうち、9つの配当利回りが4%を下 回っている。

コーエン・アンド・スティアズの最高投資責任者(CIO)、ジェームズ・ コール氏は、銀行が買収資金の融資を再開すればREITへの信頼感は回復する と指摘。融資の再開は、不動産資産が価値を維持していることを投資家に示すだ ろうと説明した。

モルガン・スタンレーのマネジングディレクター、テッド・ビッグマン氏は、 投資家が不動産の値下がりを見込んでいるため、米REITは純資産価値と比べ て割安な価格で取引されていると指摘。

ビッグマン氏は、「時とともに資産価格は落ち着き、REITの価格も再び 不動産の価値よりも割高になる公算だ」と指摘。ただ、「不動産価格が2007年末 までに落ち着く公算は小さいだろう」と予想した。