メリルとSIVが抱える問題は同類-救済基金は真実露呈遅らせるだけ

事前予想の6倍の赤字を計上した証券会社 メリルリンチと、ポールソン米財務長官が救済しようとしているストラクチャ ード・インベストメント・ビークル(SIV)と呼ばれる運用会社は、同じ問 題を抱えている。

メリルは住宅ローン担保証券や資産担保証券(ABS)で評価損を計上し、 創業以来最悪の赤字を発表した。メリルが評価額を引き下げた証券は、SIV が保有しているのと同種の流動性に乏しい商品だ。ポールソン長官は800億ド ル(約9兆1200億円)規模の基金で、このような商品の相場下落を抑えようと している。

ポールソン長官の案は、透明性の向上にはつながらないだろう。SIVの 保有する証券類には確立した流通市場がなく、価格は不明瞭だ。SIVの資産 は3200億ドル超とされているが、格付け会社フィッチ・レーティングスはSI Vの純資産額は7月を100とした場合9月28日時点で73になっていたと見積 もる。

ドレクセル大学のジョゼフ・メーソン准教授は「リスク資産の処分もリス ク額を算定して認めることもせず、リスクをあちこちに移すだけでは、透明性 は高まらない」と指摘した。

メリルは5日に、50億ドルの評価損を計上する見込みだと発表したが、24 日に発表された評価損の額は84億ドルだった。投資家はメリルが自社の保有資 産を十分に把握していなかったと結論付け、同社株は5年で最大の下落を演じ た。

ポールソン長官の案は、コマーシャルぺーパー(CP)発行で資金を調達 できなくなったSIVが保有証券を投げ売りすることを防ぐために、基金を設 立してSIVの証券類を基金に移管するというものだ。

ミラー・タバクの債券市場チーフストラテジスト、トニー・クレセンツィ 氏は、それでは時価評価を避けたがっている投資家や銀行の思うつぼだとして、 「最終的には避けられない時価評価を遅らせることになりそうなのが本当の問 題だ」と話している。