農中:欧米のABSに3兆円追加投資へ-サブプライム余波で妙味(3)

農林中央金庫は資産担保証券(ABS) などの証券化商品への投資を大幅に拡大する方針を明らかにした。サブプライ ム(信用力の低い個人向け)住宅ローン問題の間接的な影響で価格が下落して いるクレジットカードなど優良債権を担保とした証券化商品の魅力はむしろ高 まったと判断、欧米のABSに2007年度下期に2兆-3兆円規模を追加投資 する。

二岡俊之債券投資部長がブルームバーグ・ニュースの取材で述べた。サブ プライム関連以外のクレジットカードや自動車ローンなどのABSを中心に積 み上げる。3月末時点の農中の証券化商品への投資残高は4兆3319億円。二 岡氏は「デットの魅力は高まっており、クレジット資産の積み上げが下期のカ ギ」として、残高を過去最高の7兆円超に拡大したい考えだ。

スプレッド拡大でABSに投資妙味

農中ではサブプライム問題を背景に、実際のデフォルト(債務不履行)リ スク以上に価格が下落している優良なABSは、逆にスプレッド(基準金利へ の金利上乗せ幅)が拡大している分、投資妙味があるとみている。サブプライ ム関連投資では9月末時点で500億円の評価損が発生しているというが、こう した追加投資により運用収益の拡大を狙う。

JPモルガン証券の中空麻奈クレジット調査部長はABSなどへの投資に ついて「スプレッドは明らかに乗ってきており投資妙味は高い」と指摘。その 一方で「サブプライム問題が長引くなかで米景気に悪影響が及び、消費者のク レジットカードや自動車ローンの支払い遅延のリスクも考えられスプレッドが さらに広がる懸念もある」との見方も示した。

ブルームバーグ・データによると、クレジットカードを担保としたトリプ ルA格のABSのスプレッドは6月末時点の5.27bp(1bpは0.01%)か ら9月末には58.62bpにまで急拡大。自動車ローンを担保としたダブルA格 のABSのスプレッドも6月末時点の13.47bpから9月末時点で87.76bp にまで大きく拡大している。

サブプライム関連では損失

国際分散投資を進めている農中の3月末時点の運用残高は約51兆円あり 国内で最大規模の機関投資家。運用資産の構成比率は債券60%、株式11%、 クレジット投資などが29%をそれぞれ占める。長期金利が6月に一時1.9%台 に上昇したこともあり、上期に円債を約1兆円売却し債券の投資比率を落とし た。その分を下期に海外のABSなどへの投資拡大に回すことになる。

一方、二岡氏によればサブプライム関連のABSや債務担保証券(CD O)への投資残高は約5000億円、9月末時点で約500億円の評価損が生じて いる。ただ、減損処理を必要とする水準ではなく、仮に損失を実現させても有 価証券の含み益が2兆円規模あるため「十分に吸収できる」と説明。サブプラ イム関連投資の商品格付けはトリプルA格かダブルA格が大半という。

米メリルリンチなどの世界の大手金融機関は住宅ローン担保証券などの評 価額を少なくとも210億ドル(約2兆4000億円)以上引き下げるなど大きな影 響が出ている。国内金融機関では野村ホールディングスが今月、7-9月期で 730億円の損失が生じ、1-9月の累計損失額は1456億円に上ると発表。主要 邦銀8行の7月末時点でのサブプライム関連損失は合計で200億円規模に上る。

証券化商品の投資残高は3月末時点でみずほフィナンシャルグループが4 兆2519億円、三菱UFJフィナンシャル・グループが3兆3490億円ある。農 中が証券化投資の残高を7兆円まで拡大すれば、メガバンクを大きく上回る規 模となる。

--共同取材:河元 伸吾 Editor: Hirano(tue)

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