9月貿易黒字額は過去最高、輸出は減速-輸入も3年半ぶり減(4)

財務省が24日発表した貿易統計速報(通 関ベース)によると、9月の貿易収支黒字額は前年同月比62.7%増の1兆 6378億円と過去最高を記録した。しかし、輸出は自動車、通信機を中心にアジ ア向けが下支えしたものの、米国向けが5カ月ぶりに減少。全体でも5カ月ぶ りに1けた台の伸び率にとどまった。輸入は原粗油が数量・金額ともに減少し たため、2004年2月以来、ほぼ3年半ぶりにマイナスに転じた。

同発表によると、輸出は7兆2704億円で9月としては過去最高となった が、伸び率は前年同月比6.5%増と、2005年7月の4.3%以来、ほぼ2年ぶり の低水準にとどまった。輸入は同3.2%減の5兆6325億円。ブルームバーグ・ ニュースがエコノミスト40人に事前に調査したところでは、9月の貿易収支 (原数値)の黒字額は予想中央値で1兆4755億円が見込まれていた。

世界経済が堅調に推移しているものの、米サブプライム(信用力の低い個 人向け)住宅ローン問題が実体経済に及ぼす影響をめぐり、先行き不透明感が 強い。米国向け輸出が自動車や住宅建機を中心に落ち込んだことから、同省関 税局の小尾正臣調査課長は「米国経済の動向を注視していきたい」としている。

BNPパリバ証券の丸山義正エコノミストは「日本の輸出に警戒が必要な のはこれから。7-9月の輸出はとりあえずよかったが、米国のサブプライム ローンの影響がむしろこれから出てくる」と指摘。そのうえで「米国向け輸出 が自動車を中心に落ち込んだのはその兆しかもしれない」と述べ、米国内での 耐久財消費の落ち込みに警戒感を示した。

輸入の内訳は、電算機類が前年同月比16.7%減、半導体など電子部品が同

13.9%減とそれぞれ減少。原粗油は金額が9365億円で12.4%減、数量では 1818万キロリットルで9.8%減といずれも2カ月連続で減少した。輸出に寄与 した品目は携帯電話など通信機がほぼ倍増、自動車部分品が11.9%増など。

輸出は対米減少、対中増加

地域別の輸出では、米国向けが前年同月比9.2%減の1兆4254億円となっ た。自動車が米国内での販売低迷の余波を受けて同15.2%減少したほか、住宅 用建機などを含む建設用・鉱山用機器も32.4%減と大幅に減少したのが要因。 同省ではサブプライム住宅ローン問題の影響による住宅需要の低迷が背景にあ るとの見方を示している。

一方で、アジア向け輸出は前年同月比8.3%増の3兆5110億円、中国向け 輸出は16.5%増の1兆1213億円となり、いずれも9月としては最高を記録。 特に中国向けでは携帯電話など通信機の輸出が7.7倍と大幅に伸びたほか、自 動車もほぼ倍増と好調だった。アジア向け通信機の伸び率は4.4倍。

地域別の黒字額では、対米黒字額は前年同月比13.2%減の7899億円と2 カ月ぶりのマイナスだった。対EU(欧州連合)は同26.4%増の5094億円、 対アジアは58.7%増の1兆508億円。対中国の赤字額は754億円で、2カ月 連続で赤字幅を縮小した。

対米自動車輸出は頭打ち

三菱UFJリサーチ&コンサルティング・調査部の芥田知至主任研究員は 発表後、ブルームバーグ・テレビに出演し、「9月は輸出の伸びが鈍化する一 方、輸入が減少し、一見すると縮小均衡かと思わせる内容だったが、統計の中 身を見ると比較的堅実な内容だった」としたうえで、「緩やかな拡大というニ ュアンスが続いている」との見方を示した。

今後の貿易動向については「アメリカ向けの自動車は頭打ちだが、一方で 電子機械の輸出が着実に伸びてきている。2008年のオリンピックイヤーに向け て、エレクトロニクスの需要が伸びていくだろう。それを受けて、エレクトロ ニクス関連の荷動きが緩やかに活発化している」と予想した。

為替市場ではドル円相場は発表直前、1ドル=114円80銭台前半をつけて いたが、発表後は同水準で推移している。

上半期の貿易黒字額は2期連続増加

同時に発表された2007年度上期の貿易黒字額は前年同期比45.7%増の5 兆5593億円と2期連続で黒字幅が増加した。輸出額は同11.9%増の41兆 8443億円、輸入額は8.1%増の36兆2850億円で、いずれも最高額を更新した。

輸出は中国、アジア向け通信機の大幅な伸びが寄与した。輸入額を押し上 げたのは通信機のほか非鉄金属鉱など。

地域別にみると、対米黒字が前年同期比5.5%減の4兆1868億円と7期ぶ りに減少した。対アジアは同35.5%増の4兆6870億円、対EUは17.0%増の 2兆2813億円でいずれも過去最高となった。一方で中国に対する赤字額は1 兆421億円となり、3期連続で赤字幅が縮小した。

--共同取材 乙馬真由美、鎌田泰幸、亀山律子、Editor:Hinoki(kok)

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