与謝野氏:2015年度までの新・財政健全化目標を提唱-単独会見(2)

自民党財政改革研究会の与謝野馨会長 (税制調査会小委員長)は22日、ブルームバーグ・ニュースの単独インタビ ューで、政府が掲げている2011年度までの国・地方を合わせた基礎的財政収 支(プライマリーバランス)黒字化の目標達成を前提に、新たに15年度まで の財政健全化の目標を設定すべきだと提唱した。

与謝野氏は11年度までのプライマリーバランス黒字化に関して、「マラ ソンランナーなら10キロ地点を無事通過するという話だ。そこから先の長い 道のりについてきちんと考え方を出す時期にきている」と指摘。「大事なのは 2015年(度)という節目の年をどういう状況で乗り越えるかだ」と語り、財政 改革研究会(財革研)として15年度までの目標設定に向けて、具体化を急ぐ 方針を示した。

政府、与党内で新たな財政健全化目標の設定時期で具体的な年次を示した のは与謝野氏が初めて。政府、自民党の両税制調査会は07年末の2008年度税 制改正大綱のとりまとめに向けて、消費税率引き上げを含む税制の抜本的な見 直し論議を本格化させる。

財革研は07年11月20日ごろ独自の見解をとりまとめる方針。与謝野氏 は新たに15年度までの財政健全化の目標設定に言及することで税制論議に一 石を投じた形だ。

三井住友アセットマネジメントの武藤弘明シニアエコノミストは「プライ マリーバランス黒字化を達成しても、財政バランスが好転するとは限らず、単 なる入り口にすぎない。次はいよいよ債務残高を減らす。それはどうしても増 税に行き着く」と分析する。

経済同友会の小島邦夫副代表幹事も「これまでの内閣は2011年にプライ マリーバランスを黒字化すると約束してきた。その線は守ってほしいし、その 後は債務残高の削減に向けてやっていかなければならない。そろそろ工程表を 考えなければいけない時期にきている」と指摘した。

安定財源確保の結論目指す-自民税調

基礎年金の国庫負担割合は09年度に現行の3分の1から2分の1に引き 上げられることが決まっており、政府、与党とって喫緊の課題はその財源確保 だ。与謝野氏は「中途半端なやり方はできない。そのための安定的財源をつく る。この答えを出さないといけない。そういう税調だ」と語り、財源確保での 結論に向けて、党税調が担う責任の重さを指摘した。ただ与党の税制改正大綱 に消費税率の引き上げを明記できるかどうかに関しては、「にわかにここで結 論めいたことは申し上げられない」と述べるにとどめた。

衆院議員は09年9月に任期満了を迎えることから、衆院解散・総選挙へ の関心が徐々に高まっているが、政界では選挙が近づくほど消費税率引き上げ 論は後退する。与謝野氏自身も「選挙に影響が出ることは間違いない」と語り、 選挙への影響を認めている。

しかし与謝野氏は「選挙があるから先送りしていたら、ある所から奈落の 底にまっしぐらだ。理性を働かせて損得を乗り越え、国民のために将来を考え るのが責任政党、自民党の本来の在り方だ」と語り、議論は避けるべきではな いとの持論を強調した。

一方、与謝野氏は、消費税率(現行5%)の当面の据え置きを主張してい る民主党について、「民主党の言っていることを全部前提に予算を組めるのか を本格的に勉強する必要がある。大赤字になって大増税がやってくることもあ り得る」と語り、疑問を呈した。

証券優遇税制存続の可能性示唆

自民党税制調査会は10月25日、正副会長などによる会議を開き、2008年 度税制改正に向けた議論を開始するが、08年度末までに期限が切れる株式譲渡 益と配当への軽減税率(10%)の取り扱いが一つの焦点。与謝野氏は、「日本 単独の事情だけで10%を元に戻すのか、信用収縮に伴って経済全体が減速しな いのかとか、税調でも全体を見渡した議論をせざるを得ない」と語り、存続さ せる可能性を示唆した。ただ「10月時点でこういう結論にいく、と申し上げる のは時期尚早だ」とも付け加えた。

経済界から要望が出ている法人税率の実効税率の引き下げについては「と てもそういう余裕はないし、法人税を下げて消費税を上げたら有権者からしか られる。気持ちは分かるけれども当面、党税調の中には法人税を下げようとい う意見はなかなか出てきづらい」と語り、消極的な姿勢を示した。

与謝野氏(69)は衆院東京1区選出で当選9回。小泉純一郎政権で自民党 政調会長、経済財政政策担当相を歴任し、「経済財政運営と構造改革に関する 基本方針2006」(骨太の方針2006)の策定に関わった。06年秋に咽頭がんを 手術、病気療養して07年4月に政治活動を再開した。安倍晋三改造政権では 官房長官を務めた。党内では谷垣禎一政調会長らと並ぶ「財政規律重視派」の 代表的存在。

国・地方の長期債務残高は07年度末に約773兆円となる見通し。与謝野 氏は「われわれの世代が負債を残していけば、後の世代は後始末をしないとい けない」と警鐘を鳴らすとともに、「われわれの世代のうちに、何らかの解決 の方向を見出す努力を開始することが必要だ」と語り、財政健全化への道筋を つけることの重要性を強調した。

--共同取材:君塚靖、柿崎元子、下土井京子 Editor:Yamamura(kok/hoz)

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