米国債、SIVショックとインフレの狭間で2年債が無敵の投資先に

米住宅差し押さえの高水準やデフォルト (債務不履行)増加、くすぶるインフレ懸念の中で、2年物米国債や年限の短 い連邦機関債などが債券市場で無敵の投資先となっている。

ストラクチャード・インベストメント・ビークル(SIV)と呼ばれる運 用会社が持つ3000億ドル(約34兆1300億円)規模の債務をめぐる懸念を背 景に、投資家は安全を求め、2年物米国債や信用力の最も高い優良企業の社債 などに資金を移している。物価上昇で10年債の妙味は後退して利回り格差が 拡大し、前回の利下げが始まった2001年と似た状況になっている。

プライマリーディーラー(米政府証券公認ディーラー)のバークレイズ・ キャピタルやUBSセキュリティーズなどは、景気減速に伴い米金融当局が年 内に追加利下げを迫られるとの見通しから、イールドカーブのスティープ(急 傾斜)化を予想する。UBSは2年債と10年債のスプレッド(利回り格差) が2年以内に2.50ポイントに達するとみている。現在は0.61ポイント。

バークレイズの債券ストラテジー責任者、アジェイ・ラジャディアクシャ 氏はイールドカーブについて、「08年末までスティープ化が続くだろう」と 述べた。

メリルリンチのデータによると、9月10日以来の2年債投資のリターン は0.47%、これに対し10年債は0.16%のマイナスとなっている。2年物米国 債よりも高成績だったのは、高格付けの社債と政府支援機関(GSE)が発行 する連邦機関債で年限の短いものだけだ。メリルのデータによれば、「AA A」の最高格付けで年限1-3年の社債の9月10日以来のリターンは0.67 %。ファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)とフレディマック(連邦住宅貸付抵当 公社)が発行する連邦機関債は0.52%だった。

先週はIKBドイツ産業銀行が運営するストラクチャード・インベスト メント・ビークル(SIV)のラインブリッジと英チェーン・キャピタル・ マネジメントのSIVのデフォルトをめぐる懸念を背景に質への逃避が起こ り、短期債が買われた。SIVはコマーシャルペーパー(CP)発行で資金を 調達し、より長期の証券類に投資する運用会社。

先週の2年債利回りは01年9月以来で最大の低下となり、45ベーシスポ イント(bp、1bp=0.01%)低下の3.78%で週を終えた。10年債利回り は29bp低下の4.39%。6月には2、10年債の利回りは同等で5%前後だっ た。

リバーソース・インベストメントツの国債トレーディング責任者、ジェイ ミー・ジャクソン氏は「皆が怖がっていて、米利下げの確率をより大きく織り 込んでいる。この結果、年限が短めの債券が買われている」と説明した。

バンク・オブ・アメリカの証券部門とクレディ・スイス・グループ、UB Sによれば、イールドカーブのスティープ化は長期債利回りのボラティリティ (変動性)を高める。3社は長短金利差拡大を予想し、オプションや金利スワ ップなどのデリバティブ(金融派生商品)でリスクをヘッジすることを勧めて いる。

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