JALカード株の取得に3大金融グループ名乗り-売却手続き開始(5)

経営再建中の日本航空が100%子会社、 ジャルカード(JALカード)の株式売却に向け具体的手続きに着手した。 三菱UFJ、みずほ、三井住友の国内3大金融グループなどが取得を検討して いる。複数関係者の取材で18日までに明らかになった。希望者は10月末まで に取得に伴う事業計画を日航側に伝える。

関係者によると、日航はみずほ証券をフィナンシャルアドバイザーに起用 し、18日までに国内外の金融機関などに対し31日を期限に具体案を示すよう 通知した。JALカードの全株売却か、過半を維持するかなどは未定。提案に は取得株数や金額、日航の旅客ビジネスとの提携策を盛り込むよう求めた。日 航広報部のスティブン・パールマン氏は、この件についてコメントを控えた。

日航の虎の子に白羽の矢

カード事業の強化に向け大手行は、再建中の日航にとって虎の子であるJ ALカード株に狙いを定めた。新生証券のシニアアナリスト、松本康宏部長は、 日航は一定株数を維持しながら金融機関との関係強化でカード事業を伸ばす必 要があると指摘し、「JALカードの企業価値は1000億円はあり、それを上回 る評価を示す企業に売却すべき」という。報道の後、信用リスクの取引市場で は日航のリスク対価であるクレジット・デフォルト・スワップ(CDS、1年 物)のスプレッドは前日比で一気に80bp低下して270bpになった。

大手金融グループでは実際にどのグループ企業がJALカード株取得の主 体となるのかも含め提案内容の検討に入った。傘下にユーシーカードなどを持 つみずほフィナンシャルグループは親密先のクレディセゾンによる取得を支援 する方向だ。三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャル グループ、クレセゾンの広報担当者は株式取得などについて、いずれもコメン トを控えた。みずほFGでは現時点で決まった事実はないとしている。

大手金融はカード戦略強化

大手金融グループはカード戦略を強化している。三井住友FGが旧UFJ グループのセントラルファイナンス株の取得に続き、流通系大手のオーエムシ ーカードも系列化。三菱UFJはクレジットカード最大手の三菱UFJニコス の1200億円の増資を引き受け、カード事業を銀行、信託、証券と並ぶ主要部 門と位置付けるなど銀行を中心に再編を進めている。

各グループは特に富裕層が多いとわれるJALカードの顧客を取り込み、 金融商品の販売なども含めたカードビジネス拡大につなげたい狙いで、現在は JALカードを持たないJALマイレージ会員を開拓する機会も広がる。米シ ティグループ、英HSBC、スイスのUBSなど外資系銀行も日本での富裕層 ビジネスを本格化させており、JALカード株の争奪戦は激しくなりそうだ。

日航、一定割合を継続保有か

一方、日航にとってJALカード売却は負債圧縮が大きな目的となるが、 JALカードを活用して日航本体の営業力も強化したい目論見もある。今回の 売却の結果、新たな株主となる事業者との業務提携などを進め、カード会員数 を増やして利用客の増加につなげたい考えだ。日航の西松遙社長は一定のJA Lカード株の継続保有方針をすでに表明している。

JALカードは会員数187万人(9月末)、取扱高1兆6505億円のカー ド会社。会員数が数千万人レベルの大手金融系クレジットカード会社に比べる と小規模だが、カード会員の利用額が大きい。JALカードの関係者によると、 会員1人当たりの年間決済額は85万円程度(提携カード分を含む)。カード 会社は通常、このデータを公表しないが、業界他社が30万円以下ともいわれ るクレジットカード業界で断トツという。

日航は2月に発表した中期経営計画で、人員削減などで収益力を高めるほ か、2006年度に約1兆7000億円あった有利子負債を2010年度までに約6000 億円削減する財務体質の改善計画も打ち出している。一方、今後毎年770億- 1160億円の航空機関連投資が新たに生じる見通し。

日航の終値は前日比2円(0.8%)高の266円。

--共同取材:鈴木 偉知郎、クリスクーパー、平野 和 Editor:Asai (kzh/tue)

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