IMF見通し:世界の成長率予想下方修正-日本は1.7%に引き下げ

国際通貨基金(IMF)は17日発表した 世界経済見通しで、2008年の世界の経済成長率予想を4.8%と、7月時点での 予想の5.2%成長から下方修正した。その上でIMFは、信用市場での大規模 な売り浴びせが及ぼす脅威を考えると、今回の見通しは楽観的過ぎる可能性が あると警告した。

同見通しによると、下方修正の主因は米国の見通し悪化で、同国の成長率 予想は1.9%と従来の2.8%から引き下げられた。

IMFのジョンソン調査局長はワシントンでの記者会見で、「この先には 深刻なリスクがあることを強調しておきたい」と述べ、金融市場の混乱による 「不透明感はまだ払拭されていない」と語った。

IMFは同見通しのなかで、過去1年間、世界の経済成長の半分を支えた 中国やインド、ロシアは「堅調な」成長を見込んでおり、米国の減速を補うだ ろうと指摘した。

リポートでは「リスクは完全に下振れ方向だ。金融市場の緊張が続き、よ り顕著な世界の成長減速を引き起こすことが主要な懸念だ」とし、「政策当局 者にとっての喫緊の課題は、金融市場をより正常な状態に回復させることだ」 と記述されている。

日本の経済成長見通し

日本の経済成長率は2008年が1.7%と前回予想の2%から下方修正された。 今年の成長率見通しは2%となっている。

IMFは見通しで、「4年間の力強い経済成長にもかかわらず、デフレか ら完全には脱却していない」と指摘。ジョンソン氏は記者会見で、日銀による 金融引き締めを確実にするような根拠は見当たらないと述べ、IMFとしては 「近い将来」に日本で利上げがあるとは予想していないと語った。

IMFは08年の中国の成長率を10%と予想。7月時点の予想からは0.5 ポイント低い。IMFは中国経済が今年11.5%の成長を達成し、世界の成長へ の貢献度で初めて1位になると予想している。

米国のリセッションリスク

IMFは融資基準が引き上げられ、一部の住宅ローンのコストが上昇した ことから、米国での「住宅投資はさらに落ち込む」可能性があると指摘、住宅 価格の下落は家計の消費にとって脅威となると続けた。IMFは「リセッショ ンのリスクは高まっている」と指摘したが、景気減速がさらに深刻になり、米 国経済が脅かされる場合には、連邦公開市場委員会(FOMC)が政策金利を 引き下げるとの見方を示した。

IMFは、「潜在成長率を下回る」経済成長が続けば、「インフレが抑制 されていることを前提に、追加利下げを正当化できる」と述べた。

また欧州中央銀行(ECB)とイングランド銀行(英中銀)については10 -12月期の間は金利を据え置くと予想している。

ユーロ圏も最近の金融市場の動揺の影響で、08年の成長率は2.1%となる 見込み。7月には2.5%が予想されていた。今年のユーロ圏の成長率は2.5% が見込まれている。

商品相場

IMFは、世界の原油市場は引き続き、需給が「非常にタイト」で「余剰 供給能力は限られる」との認識を示し、「地政学的懸念の高まりは一層の価格 急騰をもたらし、インフレ率上昇につながりかねない」と述べ、商品相場の上 昇が消費者物価にとってある程度のリスク要因となると指摘した。

また、「新興市場や途上国ではインフレリスクはより差し迫ったものとな る」としている。消費に占める食料品の部分の大きい途上国では特に懸念材料 だと記述、「金融当局への信頼も先進国のようには確立されていない」と付け 加えた。

今回のリポートでは、世界の信用市場の環境が前回予想を発表した7月に 比べ大幅に悪化したとして、「高利回り社債発行が滞り、資産担保コマーシャ ルペーパー(ABCP)市場が急激に収縮した」と指摘した。

為替相場

IMFは為替相場について、「ドルは依然、中期的なファンダメンタル ズ(経済の基礎的諸条件)からみて過大評価されている」として、今年の米経 済に関する年次審査時の見解を繰り返した。

ジョンソン氏は、これまでの米ドルの下落について「秩序あるものだ」と の見解を示した。

中国の人民元についてIMFは、ドルに対して上昇しているものの、中国 の経常黒字と外貨準備の拡大は続いていると指摘した。