政府:補給活動新法を閣議決定、期限1年に-活動中断は不可避(5)

政府は17日夜、首相官邸で臨時閣議を開き、 インド洋での海上自衛隊による補給活動を継続するための新たな法案を正式決 定した。同法案は11月1日に期限を迎えるテロ対策特別措置法に代わるもので、 活動内容をテロ対策などに当たる米艦船などへの給油・給水に限定。期限を1 年間とした。町村信孝官房長官が記者会見で明らかにした。

町村氏は臨時閣議後の記者会見で、海上自衛隊の補給活動について、「テロ リストなどの移動の防止を目的とする海上阻止活動の重要な基盤であるととも に、インド洋における海上交通の安全の確保にも貢献しており、継続していく 必要がある。政府としては一日も早い成立を目指したい」との決意を示した。

ただ、民主党の小沢一郎代表が、「集団的自衛権の行使をほぼ無制限に認め ない限り、憲法上できない」(同党ウェブサイト)と指摘するなど、参院で多数 派を占める野党側は補給活動の継続に反対する姿勢を崩していない。このため、 11月10日までが会期の臨時国会は波乱含みの展開が続きそうだ。

法案の名称は「テロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動の実施に関す る特別措置法案(補給支援活動特措法案)」。現行法に盛り込まれている自衛隊 の活動への国会承認は削除。活動内容はインド洋でテロリストや武器の移動な どを取り締まる「海上阻止活動」に参加する各国の艦船への給油・給水に限定 した。

また、法律の期限は10月5日に政府が公表した骨子案では2年間だったが、 公明党の主張を踏まえて1年間に短縮した。

政府は当初、現行のテロ特措法を延長することを目指していたが、参院で 与野党の勢力が逆転する事態になったため、期限内の同法の延長処理は事実上 不可能と判断。新法を国会に提出する方針に転じた。ただ、安倍晋三前首相が 突然、辞任を表明して自民党が総裁選挙を行ったことから国会審議が約3週間 にわたって事実上空転したため、法案の提出は大幅に遅れることになった。そ れにより、活動の中断は避けられない情勢になっている。

自民党の山崎拓外交調査会長は10日、日本外国特派員協会で「安倍前首相 の突然の退陣によって国会の審議日程が大きく狂った。11月1日までに現在の テロ特措法の延長手続きをしても、今度の新法を出しても成立するのは100パ ーセント無理なので、インド洋における海上自衛隊のオペレーション(活動) はいったん中止する」との見通しを示した。

一方、町村長官は17日の臨時閣議後の記者会見で、「できるだけ早く法案 を成立させて中断期間を可能な限り短くすることが国際社会の期待に応えるこ とだ」と語った。

衆院再議決は「今言うつもりない」-町村官房長官

自民、公明の連立与党は野党側に事前協議を呼び掛けたが、民主党など野 党はこれを拒否した上で、補給活動継続に反対する姿勢をその後も崩していな い。日本国憲法59条は「衆院で可決し、参院で異なった議決をした法案は、衆 院で3分の2以上の多数で再び可決したときは法律となる」と規定。与党が成 立を最優先すれば、新法案は参院で否決されたとしても、衆院での再議決によ って可決、成立させることは可能だ。

町村官房長官は17日夕の記者会見で、再議決の可能性について「今から再 議決というのは参議院の審議はどうでもいい、というような話。参院の審議が 始まっていない段階で言うつもりはまったくない」と述べた。

また、自民党の山崎外交調査会長は「今後、衆議院の特別委員会の現場に おいて実質的な協議をすることになる。先の先の話だ。憲法上の規定だが、そ れを適用することになるかどうかということはまったく現在の見通しでは考え ていない。とにかくまず、民主党の理解を得て衆参両院で十分審議をして議決 をすることだ」と指摘するにとどめた。

さらに、衆院テロ対策特別委員会筆頭理事の中谷元安全保障調査会長は、 「民主党には誠心誠意、この法律の目的、内容を説明して納得してもらいたい。 野党から理解を得て法律を成立させたい」と法案成立に全力を挙げる考えを示 した。

山崎、中谷両氏は17日午前、自民党本部で開かれたテロ特措法に関する合 同部会終了後、記者団に語った。

これに対し、海自がインド洋で米艦船に補給した油がイラク作戦に転用さ れたとの疑惑を追及している江田憲司衆院議員(無所属)は16日の記者会見で、 新法について、「給油が入っている以上、明確に反対する。衆院で再議決すると きに、選挙を控えた公明党が賛成するとは思えない。いずれにせよ新法が日の 目を見ることはあり得ない」との見通しを示している。

一方、石破茂防衛相は17日の自民党合同部会で、イラク作戦への「転用疑 惑」が指摘されていることも念頭に、「いろいろな情報の開示等に極力努めたい。 情報操作とかねつ造とかいうことは全くない」と述べ、今後の国会審議を通じ て野党や国民に理解を求めていく考えを示した。

自民合同部会:国会承認削除に疑念も-中谷安保調査会長

中谷氏によると、合同部会では現行のテロ特措法にあった活動開始後に国 会承認を求める規定が削除されたことへの疑念の声が出たことも明らかにした。 ただ、従来、国会承認にかけるべき具体的な項目を新法に盛り込んでいること や、期限を1年に区切ったことで1年ごとに国会でチェックできるようになっ たことなどを説明して最終的な了承を得たという。

--共同取材:山村敬一、坂巻幸子、Aaron Sheldrick

Editor:Ushiroyama(okb、kzt、okb)

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