日本の成長率予想を下方修正-クレディ・スイスとマッコーリー(2)

クレディ・スイス証券とマッコーリー証券 は17日までに、日本の成長率予想を下方修正した。両社のエコノミストは、マ ンションなどの耐震強度偽装問題を受けて構造計算や建築確認の審査が強化さ れた影響で、住宅着工が低迷すると予想している。

クレディ・スイス証券は今年度(2007年4月-08年3月)の成長率予想を

1.7%と、従来の2.9%から下方修正した。住宅投資の減少を理由に挙げた。マ ッコーリー証券は成長率予想を1.9%(従来予想は2.5%)に引き下げた。

クレディ・スイス証券の白川浩道チーフエコノミストによると、住宅投資 は日本経済の3%を占める。低迷が半年続けば、失業率は1ポイント上昇し約

4.6%となる可能性があるという。また、それに伴って個人消費が減速すれば、 日本銀行が政策金利を0.5%から引き上げることは難しくなるだろうと同氏は 指摘した。

白川氏は電話インタビューで、住宅建設低迷の「二次的影響について検討 し始めたところだが、雇用と消費への影響は深刻なものになる可能性がある」 と述べた。同氏はさらに成長率予想を一段と引き下げる可能性があるとして、 「日銀は誰もが予想するよりも長く現行政策を維持せざるを得なくなるだろ う」と付け加えた。

政府は2005年に発生したホテルやマンションの耐震強度偽装事件に対応し、 審査を強化して建築基準法を改正した。国土交通省が9月末に発表した8月の 新設住宅着工戸数は前年同月比43.3%減の6万3076戸と2カ月連続で減少し、 過去最大のマイナス幅となった。7月は23%減だった。

経済産業省は9日、住宅着工減を踏まえ、建築関連の中小企業が求めた場 合に緊急資金を貸し付けることなどを政府系中小企業金融機関に求めた。また、 国交省は16日、金融機関による建築関連業者への資金の円滑な供給などの周知 徹底を、金融庁に対して要請した。

大田弘子経済財政政策担当相は16日午前、住宅着工の減速は国内総生産 (GDP)に「何らかの影響を与える可能性はあるかもしれない」と語った。

クレディ・スイス証券は現在、今年度の民間部門の住宅投資が16.6%減と なり、成長率を0.6ポイント押し下げると予想している。

マッコーリー証券のチーフエコノミスト、リチャード・ジェラム氏は建築 基準法改正により「住宅建設に短期的に大きなゆがみが生じる可能性がある」 と述べた。

ジェラム氏はまた、輸出の鈍化や設備投資の数字が統計上弱めに出る可能 性なども成長率予想下方修正の理由だと説明した。

また、リーマン・ブラザーズ証券の白石洋エコノミストは、建築基準法の 問題について、政府の対応がまずかったとし、政策調整の不足やマクロ経済へ の影響を十分に考慮していない点を挙げた。

クレディ・スイス証券の白川氏はまた、今月のリポートで、設備投資減速 が今年度の成長率を押し下げる可能性があると指摘した。同社は7月時点での 予想は楽観的過ぎたとし、今年度の設備投資の伸び率を3.4%と予測し、7月予 想の6.2%から下方修正した。設備投資の伸び鈍化は成長率を0.4ポイント押し 下げると予想している。