米国債、今年度の発行50%超の増加も-赤字増が上昇相場に水差す恐れ

米国の財政赤字拡大を背景に、米国債の 発行が2004年以来で初めて増加し、相場上昇に水を差す恐れが出てきた。

プライマリーディーラー(米政府証券公認ディーラー)の1社であるUB Sセキュリティーズは、2008年度(07年10月-08年9月)の米国債発行額 が前年度比50%余り増え2200億ドル(約25兆8600億円)に達する可能性が あると試算している。03年以来の法人税収減少により、07年度(06年10月 -07年9月)の米財政赤字は1628億ドルと、4月までの1年間の1448億ド ルから12%増えた。

米国のリセッション(景気後退)回避に向けた利下げや、インフレ鈍化を 背景に米国債相場は上昇が見込まれるが、発行額が増加すれば強気相場に水を 差す。メリルリンチの指数によると、米国債投資の年初来リターンは4.3%。 米財務省は数カ月前に、赤字縮小を理由に3年債の発行を停止すると発表して いた。

UBSの米国債ストラテジー責任者、ウィリアム・オドネル氏は「景気が 反転して勢いを増し始めない限り、国債発行は増えるだろう。今年中にまず短 期証券の発行が増え、08年1-3月(第1四半期)から中・長期債にも広が るだろう」と予想した。

07年度の米財政赤字は5年ぶりの低水準だったものの、改善は短命に終 わる公算だ。UBSとバークレイズ・キャピタル、バンク・オブ・アメリカ (BOA)セキュリティーズ、RBSグリニッチ・キャピタル・マーケッツ、 ライトソンICAPは、08年度の財政赤字が1960億ドル(5社の平均)に拡 大すると予想している。

また、財政健全化を支持する超党派の団体、コンコード・コーリションは 10年までの時限立法だった減税が延長され支出が過去と同等のペースで拡大 した場合、財政赤字が拡大して13年までに5000億ドルを超えるとの試算を示 した。

バークレイズの金利ストラテジスト、マイケル・ポンド氏は「他の条件が 同じならば、供給増は利回り上昇(価格は下落)につながる」と述べた。バー クレイズは今年度の財政赤字が2000億ドルを超えると予想している。

キャンター・フィッツジェラルドによると、先週の10年債(表面利率4 3/4%、2017年償還)利回りは5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%) 上昇の4.68%で終了した。価格は11/32下落の100 16/32。

全米経済研究所(NBER)は05年の研究で、国内総生産(GDP)に 対する財政赤字の割合が1ポイント上昇しこれが3年間続いた場合、10年債 利回りが0.4-0.5ポイント上昇するとの試算を示した。

ライトソンのチーフエコノミスト、ルイス・クランドール氏によると、4 月に財政赤字の対GDP比は1.1%に縮小していたが、9月には1.2%に拡大 した。同氏の08年度の財政赤字予想レンジの中央値は2000億ドルで、予想G DPの1.4%に相当する。同氏は「今年度末までには数年ぶりの発行増が必要 になるだろう」と話した。

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