日本株(終了)午後から急伸、海運や商社がリード-国債格上げも契機

東京株式相場は大幅高で、日経平均株価 は終値で7月26日以来の1万7400円台回復となった。新興国需要を背景とし た市況上昇による収益期待から、商船三井や乾汽船が上場来高値を更新するな ど海運株が上昇し、東証1部の業種別上昇率で首位。10日の原油先物高を受け て三井物産が最高値となるなど大手商社株も買われ、鉱山開発で恩恵を受ける とされるコマツも上場来高値。昼休み時間にムーディーズの日本国債格上げが 伝えられ、午後は株価指数先物主導で上げに拍車がかかった。

岡三投資顧問の伊藤嘉洋常務は、「日本株の出遅れ感や政局の改善見通し を背景に、これまでたまっていたショートカバー(売り方の買い戻し)が午後 に膨らんだ」と指摘。さらに伊藤氏によると、東証マザーズ指数など国内新興 市場の回復が鮮明となってきたことで、「個人投資家が株式市場に回帰して相 場にも変化がみられる」という。

1部売買代金は約1カ月ぶりの3兆円台

日経平均株価の終値は前日比281円9銭(1.6%)高の1万7458円98銭、 TOPIXは19.34ポイント(1.2%)高の1677.52。

東証1部の売買高は概算で20億8276万株。売買代金は同3兆163億円と、 9月14日以来の3兆円超と回復傾向にあった。値上がり銘柄数は1265、値下 がり銘柄数は362。

東証業種別33指数の騰落状況は、値上がり業種が29、値下がり業種が4。 卸売、電気機器、その他製品、情報・通信、鉄鋼、医薬品が高い。半面、その 他金融、電気・ガス、空運、水産・農林が安い。

午後に相場一変、出遅れ修正の動き

午前の株価指数は前日終値を挟んで方向感に乏しい状況だったが、相場つ きが一変したのは午後の取引開始直後。株価指数先物主導で日経平均は279円 高の1万7457円まで上昇した。昼休み時間中に、米格付け会社のムーディー ズが日本国債の格付けを引き上げるという材料があり、「外国人が日本株に注 目するきっかけとなったようだ」(ちばぎんアセットマネジメントの大越秀行 運用部長)との声が聞かれた。

また、三菱UFJ投信の宮崎高志運用戦略部長は「米国やアジアなど海外 市場上昇によるバリュエーション拡張が、出遅れ修正につながった側面が強 い」と指摘する。急騰の背景にはあす12日に株価指数オプションの特別清算 値(SQ)算出を控え、「日経平均1万7500円コールを売っていた向きの買 い戻しが相場を押し上げた側面も強い」(岡三投資顧問の伊藤氏)という。

26週線や200日線上回る

午後の急騰劇により、日経平均がテクニカル面で意識されていた節目を上 回ったことが市場で話題となった。日経平均は今週に入って、1万7200円台 まで上昇する場面がありながらも、終値では1万7200円を維持できない状況 となっていた。しかし、7月末以降に割り込んでいた26週移動平均(11日終 了時点で1万7236円)や200日線(1万7306円)をきょう終値で上回った。

移動平均はその期間に売買した投資家の平均コストで、2003年春以降は一 時的に下回っても、すぐに回復するなど下値支持線となっていた。このため、 これらを上回ると「米サブプライム住宅ローン問題による混乱も一時的なショ ックで、日本株の上昇トレンドは変わっていないと考えられる」(三井住友ア セットマネジメント国内株式アクティブグループの生永正則ヘッド)という。

市況関連株が上昇

業種で上昇が顕著だったのは新興国の成長で恩恵を受ける市況関連株。中 でも海運株の上昇が目立った。バルチック取引所のばら積み船の運賃指標とな るバルチック・ドライ指数は10日に初めて1万ポイントの大台を突破。11日 付の日経新聞朝刊によると、中国やブラジルなどの粗鋼生産が拡大、鉄鉱石や 石炭などの資源輸送に対する需要が急拡大しているという。野村証券金融経済 研究所が投資判断を新規に「2(買い)」とした新和海運、新規に「1(強い 買い)」とした乾汽船が急騰、東証1部値上がり率上位は海運株が並んだ。

三井住友アセットの生永ヘッドは、「米国経済は心配するほど悪化してい ないが、より成長力の高いアジアとの相関関係が強い銘柄は買い安心感があ る」と述べている。同指数は急騰が続いているものの、現時点では転換点らし き要因は見当たらないという。

また、10日のニューヨーク原油先物相場は1.3%高の1バレル=81.30ド ルと続伸、トルコ軍がイラク北部の武装組織の拠点を攻撃するとの観測から、 原油輸出が減少するとの懸念が広がった。資源関連の大手商社株も堅調だった。

ゲーム関連高い、ドワンゴ急騰

個別では、Wiiのネット接続強化を前日発表した任天堂、Wii向け部 品を扱うミツミ電機がそろって上場来高値。「モンスターハンター3」をWi i向けに発売変更するカプコンは、5年ぶりに3000円台まで上昇。売買代金 上位では、携帯契約好調や新興株高などが追い風のソフトバンクが8連騰。

有利子負債の減少と自己資本比率改善が評価された東日カーライフグルー プは東証1部値上がり率2位となり、ニコニコ動画の発表会を10日に開催し たドワンゴは同3位とそれぞれ急伸。10日に今期2度目となる9月中間期業績 予想の上方修正を発表したフォスター電機も、同7位と大幅高となった。

その他金融やオンワド下げ、ソニーFが新規上場

半面、アコムやアイフルなどその他金融株はそろって売られ、東証1部値 下がり率上位を占めた。利息返還請求増で6-8月期大幅減益となったポケッ トカードが急落。また11日付の日本経済新聞朝刊は、消費者金融業者に対し、 国や自治体が税滞納者の取引履歴を開示するよう請求する動きが相次いでいる と報じた。過払い金を本人に代わって取り戻し、税収に充てるためとしている ことも懸念された。

このほか、主力ブランドの伸び悩みから08年2月期業績予想を下方修正 したオンワードホールディングスが急落し、メリルリンチ日本証券が格下げし た日本水産も安い。

ソニーの金融子会社であるソニーフィナンシャルホールディングスはきょ う東証1部に新規上場し、公開価格40万円に対して初値は2万円高の42万円 となった。東証1部売買代金でこの日の首位となり、終値は41万5000円。親 会社のソニーは前日終値比変わらずの5780円。

新興市場はそろって反発

新興市場はそろって反発した。ジャスダック指数の終値は前日比1.58ポ イント(2%)高の79.39、東証マザーズ指数は24.62ポイント(2.9%)高の

881.81、大証ヘラクレス指数は34.53ポイント(2.6%)高の1380.14。

豊証券の菊池由文取締役は「新興市場に底打ちが出ていることで、東証1 部のソフトバンクが上昇するなど個人の株式市場への市場参加意欲が高まって きた」と強調。それが新興市場のみならず株式市場全体の買い注文増加につな がることで、「相場の安定感が増してくる」(菊池氏)と解説していた。

ジャスダック市場では、楽天やインテリジェンス、コムチュア、オプトな どが売買を伴って上昇。9月の既存店売上が前年同月比0.7%減と8月に比べ て改善した丸千代山岡家、午後に9月中間期連結業績予想を増額修正したデー タ・アプリケーションはそれぞれ急伸した。半面、インデックス・ホールディ ングス、アーク、ジュピターテレコムが下落した。

東証マザーズ市場では、シンプレックス・インベストメント・アドバイザ ーズ、ディー・エヌ・エー、サイバー・コミュニケーションズが高い。08年3 月通期の業績予想を増額した日本M&Aセンターは急反発、通期予想増額のL TTバイオファーマは値幅制限いっぱいのストップ高買い気配のまま取引を終 えた。一方、リアルコム、フルスピード、エリアリンクが安い。

大証ヘラクレス市場では、ダヴィンチ・アドバイザーズ、大阪証券取引所、 マネーパートナーズが上げた。84億円を見込んでいた8月中間期の連結経常利 益が122億円になったようだと発表したアセット・マネジャーズは7連騰。半 面、デジタルアーツ、ラ・パルレ、ビットアイル、ディーバが下げた。

--共同取材:常冨 浩太郎 Editor:inkyo

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