東京外為:円小動き、内外株底堅くリスク志向で売り圧力-117円前半

東京外国為替市場では、ドル・円相場が1 ドル=117円台前半を中心とした小幅な値動きに終始した。内外株価の底堅さを 背景に投資家のリスク志向が回復しているとの見方から、低金利の円を売って 高金利通貨に投資する動きが出やすく、円は弱含みに推移。ただ、東京市場で は新規材料に乏しく、週内に発表される米国の経済指標でさらに景気動向を見 極めたいとの意向もあり、積極的な取引は見送られた。

みずほコーポレート銀行国際為替部の加藤倫義参事役は、米株の上昇を背 景としたリスク許容度の復活期待から円が売られたものの、ドル・円相場は117 円台半ばより上では国内輸出企業のドル売り需要が非常に厚く、上値を重くし ていると説明。方向感の出にくいなかで、週末に米経済指標の発表を控えて、「結 果を見ないと、米金融当局が次の一手として利下げにもう一度動くのかどうか というのが判断しづらい」として、レンジ相場が続く可能性があるとみている。

ドル・円は小動き、午後終盤は円弱含み

1ドル=117円台前半で東京時間早朝の取引を開始したドル・円相場は、午 前6時半前に117円07銭(ブルームバーグ・データ参照、以下同じ)を付けた あと、この日が決済集中日に当たることから、ややドル買いが進行。午前9時 45分には117円28銭まで上昇する場面も見られた。

午後の取引では午前に形成したレンジ内での推移が続いていたが、終盤に 対ユーロでややドル買い戻しの動きなどが見られたほか、徐々に円売り圧力も 強まり、117円43銭までわずかながら値を切り上げた。

米景気動向見極め

米国では9月の非農業部門の雇用者数が市場の予想を上回る伸びとなった ほか、9月上旬の発表時に4年ぶりの前月比マイナスとなって景気悲観論の引 き金となった8月分についても大幅に上方修正され、過度の景気減速懸念はひ とまず収まった。

今週は12日に9月の小売売上高や生産者物価指数(PPI)をはじめとす る重要指標の発表が控えており、「反発度合いを見たい」(UBS銀行外国為替 部・牟田誠一朗ディレクター)など、悲観論の修正が一段と進むかが焦点とな りそうだ。

ただ、米景気については、「雇用統計は強含みとなったものの、長い目で見 た減速感はどうしても出てきており、減速度合いが一段と強まるというシナリ オの方が意識されやすい」(三菱UFJ信託銀行資金為替部・清水昭男グループ マネージャー)との指摘もある。

9日には、米住宅ローン会社ソーンバーグ・モーゲージが、2007年7-9 月期中に変動金利(ARM)型住宅ローンを裏付けにした証券の売り出しで11 億ドル(約1286億円)の損失を出したとの推計を明らかにしている。

米住宅市場の減速に伴うサブプライム(信用力の低い借り手向け)住宅ロ ーンの焦げ付き問題はくすぶっており、「ドルを取り巻く環境は引き続き不透明 で、積極的に買う動きは出にくい」(みずほ信託銀行資金証券部・金子和広調査 役)との声が根強い。

ボラティリティ低下でリスク志向回復も

一方、9日の米株式相場は急反発し、ダウ平均のほか、S&P500種株価指 数も過去最高値を更新。9月18日開催分のFOMC議事録で景気減速の深刻化 につながるような表現が見送られたとの見方が株の買い安心感につながった。

株価の予想変動率の指標であるシカゴ・オプション取引所(CBOE)の ボラティリティ指数(VIX指数)は16%台前半と、7月下旬以来の水準にま で低下。外為市場では、株価動向が落ち着くと、投資家のリスク許容度が回復 するとの見方につながり、低金利の円で資金を調達して高金利通貨などに投資 する動きが出やすくなる。

みずほ信託銀の金子氏は、米株が堅調で、ボラティリティも落ち着いてき ており、高金利通貨に対して円売り安心感があるとしたうえで、「クロス・円が 徐々に下値を切り上げる展開となっていることから、ドル・円相場はクロス取 引の円売りに支えられそうだ」と指摘する。

この日は日本株の底堅さが円売りを後押しする格好となっており、ユー ロ・円相場は午後の取引で一時1ユーロ=165円73銭と、2営業日ぶりの円安 値を付けている。

--共同取材:柿崎元子 Editor: Aoki(nkk)

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