ゴールドマン、サブプライム禍の裏で最高益-ウォール街変遷鮮明に

サブプライム(信用力の低い借り手向 け)住宅ローン担保証券の急落と信用市場の波乱に揺れたウォール街では、こ れまでとは違った考え方が浸透してきた。証券最大手というよりも、むしろヘ ッジファンド最大手としての認知度を高めつつあるゴールドマン・サックス・ グループが2007年度(11月終了)通期決算で最高益を記録する見通しとなっ ている。

株式時価総額で証券会社のトップを走るゴールドマンは顧客のニーズを最 優先し、これまでの戦略はすべて顧客主導だったと自負するが、同社は自己勘 定トレーディングでも首位に付け、ヘッジファンドの運用資産ではJPモルガ ン・チェースに次ぐ大手に位置する。

サブプライム投資で業績が傾く金融機関が多数にのぼるなか、ゴールドマ ンは自社の資本を使った投機的トレーディングを容認することで巨額の利益を 挙げ、ヘッジファンドのポールソンやハービンジャー・キャピタル・パートナ ーズ、ヘイマン・アドバイザーズと同様、極めて高いリターン(投資利益)を 得た。

ホランド(ニューヨーク)で40億ドル以上の資産運用を監督するマイケ ル・ホランド氏は、「実態はニュースで知る内容よりもずっと良好だ」と語る。 「損失が生じるその裏では、それを数十億ドル上回る規模の利益が発生してい る」と付け加えた。

証券会社がヘッジファンドのように振舞う、ゴールドマンは業界に起きて いる変化を説明するうえで最も分かりやすい例と言えそうだ。ブルームバーグ がまとめたアナリスト調査によると、ゴールドマンと同様、モルガン・スタン レーとリーマン・ブラザーズ・ホールディングスも今年度通期は過去最高益を 記録する見通し。

「夏の修羅場」

ポールソンやハービンジャー、ゴールドマンがヘッジ戦略を使いこなすこ とで、第3四半期の利益を押し上げたのとは対照的に、メリルリンチとベア ー・スターンズ、UBSはサブプライムの潮流が変わるタイミングを見極める ことができなかった。投資銀行の収益ではこの3年間、上位行がほぼ横並びで 伸びてきたが、ここに来て格差が広がり始めたのは、よその不利益を自らの利 益となすヘッジファンドの存在意義を物語っている。

ヘッジファンド運用会社、ファルコン・ポイント・キャピタル(サンフラ ンシスコ)のビル・グレイソン社長は、「夏の修羅場の中に巨大なチャンスが 埋もれていたのは明らかだ。失敗をやらかしたマネジャーがいた一方で、状況 を逆に利用した連中がいたに違いない」と述べた。

ゴールドマンの6-8月(第3四半期)決算では、住宅ローン担保証券 (MBS)のショートポジションが利益を生み、純利益は前年同期比79%急増 の29億ドル近くに達した。

これとは対照的に、メリルリンチとUBSの四半期決算は住宅関連の評価 損が響き、4年半ぶりの赤字に転落。ベアー・スターンズはこの10年間で最 大の減益率を記録した。