米株急落への警戒感高まる-S&P500種オプションのスプレッド拡大

過去最高値に達した米国株に対する警戒感 が、急反落に備えるオプション・トレーダーの間で最高潮に達している。

S&P500種株価指数を原資産とするプット・オプション(売る権利)とコ ール・オプション(買う権利)のインプライド・ボラティリティ(予想変動率) のスプレッドは、8月以降の平均が約8ポイントと、S&P500種が34%下落 する直前の2001年7月に記録したこれまでの最高をすでに上回っている(米モ ルガン・スタンレーの集計データによる)。

S&P500種は8月15日以降これまでに11%上昇。サブプライム・モーゲ ージ(信用力の低い人向けの住宅融資)市場の悪化により打撃を受けた銀行や 建設業者は最悪期を脱したとの観測が背景にあった。米国以外の先進国の株式 相場はさらに大幅な上昇となった。

米ハリス・プライベート・バンクの最高投資責任者(CIO)ジャック・ エイブリン氏は「警戒心の強い投資家は将来後悔しないため、今のうちから保 険を掛けている」と指摘した。

S&P500種は、反発局面が7週間続いたことにより、4年ぶりの大幅安に よって1兆ドル目減りした採用企業の時価総額を完全に取り戻した。7、8月 に9.4%下落した同指数は先週、前週比2%高の1557.59ポイントと、7月19 日に記録したこれまでの最高値(1553.08ポイント)を上回った。

オプション市場の懸念

そんななか、オプション・トレーダーの懸念は払しょくされていない。モ ルガン・スタンレーの米株デリバティブ・ストラテジー担当責任者カール・メ ーソン氏は、オプション市場は株安リスクが2000年のハイテク株バブル崩壊以 降で最も高いと受け止めていると指摘する。

景気が減速していることも株式相場下落の可能性を高めていると、オッペ ンハイマーファンズの最高投資責任者(CIO)カート・ウォルフグラバー氏 は言う。7-9月期の米成長率は2.4%と、4-6月期の3.8%を下回る見込み だ(ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想による)。10-12月はさらに

2.2%まで減速するとみられている。

アナリストは企業利益見通しを下方修正している。10月4日現在、S&P 500種採用企業の第3四半期の予想増益率は0.7%と、8月半ば時点(4.6%) を下回っている。予想どおりなら、「少なくとも10%の増益」という20四半期 続いていた記録がストップすることになる。

オッペンハイマーファンズのウォルフグラバー氏は「相場が若干行き過ぎ ていることを示す証拠がある」と指摘。「3カ月前ほど楽観的でいられなくな った」と語った。

「上昇は続く」

一方、モルガン・キーガンの株式ストラテジー担当共同ディレクター、ジ ョン・ウィルソン氏は、連邦準備制度理事会(FRB)の利下げにより、株式 の投資妙味はさらに高まると指摘する。FRBが9月18日に政策金利を0.5ポ イント引き下げ4.75%としたのを受け、株式相場は上昇した。

先週発表された雇用統計では、9月の非農業部門雇用者数が前月比11万人 増だったことが明らかになった。さらに速報ベースで4年ぶりの減少となって いた8月分も、同8万9000人増に上方改定され、6年間続いている景気拡大は 終わりに近いとの懸念が後退した。

ウィルソン氏は「今後も上昇は続く」と指摘。投資家が下落に備えている のは「愚かな」行為だとの見方を示した。

これに対して、ウェルズ・ファーゴ・プライベート・バンクの最高投資責 任者(CIO)ディーン・ジャンカンズ氏は、投資家はFRBが景気減速を阻 止できると過信していると指摘する。フェデラルファンド(FF)金利先物を 基準にした予想によると、FRBが12月までにあと2回利下げを実施する確率 は28%に低下した。2週間前は同74%だった。

「万能薬ではない」

ジャンカンズ氏は「FRBの利下げは万能薬ではない」と指摘。「相場は ここ数週間で反発したが、その裏づけを経済指標に求めるのは難しい」と語っ た。

デービッド・W・タイス・アンド・アソシエーツのファンドマネジャー、 デービッド・タイス氏は、さらに悲観的だ。同氏は、株式相場が今後1-2年 で50%を超える下落する可能性は十分にあるとみているため、S&P500種の プット・オプションを保有しているという。タイス氏は、最近の反発は不可避 な急落のタイミングをいたずらに遅らせていると指摘した。

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