ソニー:最先端半導体の生産設備、東芝へ売却で交渉-戦略転換の一環

半導体事業の戦略転換を進めているソニー は、長崎県の自社工場内にある最先端半導体設備と、大分県の設備をともに東 芝に売却する方向で交渉している。複数の関係者が4日明らかにした。

関係者の1人によると、交渉は早ければ来春にもまとまる見通し。対象設 備は、ゲーム機「プレイステーション3(PS3)」の心臓部として東芝、米 IBMと共同開発したMPU(超小型演算処理装置)「セル」やビデオカメラ 用の画像処理LSIなどを生産している設備(長崎工場)と、東芝大分工場内 に保有しているPS3向け画像処理LSIなどの生産ライン。

ソニーは、主力のエレクトロニクス事業再建を最優先する立場から、ゲー ム機用を中心に積極的に先行投資してきた半導体事業について、「自前主義」 を転換する方針を表明済み。東芝は最先端製品の開発提携先でもあり、戦略転 換の一環として売却交渉に入った。

ソニー広報センターの滝沢富美夫氏と東芝の広報担当、大森圭介氏はとも に、両社の半導体事業に関して「さまざまな検討をしている」ことは認めてい る。ただ個別の案件に関するコメントはできない、と述べている。

自前主義は転換済み

セル開発はソニー・コンピュータエンタテインメントの久多良木健・元最 高経営責任者(今年6月に退任)が主導し、ソニーグループだけで2000億円 の開発費をかけてきた。しかし、PS3は価格の高さや発売の遅れなどで販売 不振に見舞われ、ソニーのゲーム事業は前期(2007年3月期)に2323億円の 赤字(前の期は87億円の黒字)に転落、全体の業績回復への足かせとなった。

こうした状況を背景に、ソニーの中川裕副社長(半導体・部品担当)は2 月、記者団に対し、半導体事業について「先端プロセス開発や生産投資を自社 でやる必要はない」として、投資を今期(08年3月期)以降は大幅に削減する 方針を表明。ただ、工場閉鎖や人員削減などのリストラはしない、としていた。

めりはり

中川氏はその際、特にセルについては、最先端の回路線幅45ナノ(ナノ は10億分の1)メートルの次世代製品の自社生産を見送り、社外への製造委 託を検討する意向を表明していた。

また、中鉢良治ソニー社長は2日、千葉県の幕張メッセで開催中の見本市 「CEATEC(シーテック)」会場で、半導体などの外部委託について「何 から何まで全部やるのはリスクが大きい。資金的な限りもある。そういうコラ ボレーション(協力)は進めていきたい」と言明。ただ、ソニーが必要と判断 した部分は引き続き手掛けることで「めりはりをつけた内製化」を進める意向 を示していた。

4日付の朝日新聞朝刊は、ソニーが大分県の製造設備を東芝に売却する方 向で交渉していることが3日分かったと報道。設備の運営は、東芝・ソニーが 共同出資する大分ティーエスセミコンダクタを通じて東芝に委託しており、共 同出資会社の契約期限が来年3月に切れるのを機に、ソニーセミコンダクタ九 州の長崎テクノロジーセンターにある製造設備とともに、東芝へ売却する方向 で検討していると伝えた。

ソニー株価の午前終値は前日比100円(1.7%)安の5800円、東芝は19 円(1.7%)安の1072円。