「巨大な売り子」郵便局舞台にかんぽと民間が競争へ-肥大化懸念も(2)

郵政民営化で総資産では日本最大の保険会 社、かんぽ生命保険が誕生した。まずは日本郵政グループが「巨大な売り子」と して持つ約2万4000もの郵便局を舞台に、民間保険各社との販売競争が激化し そうだ。ただ、かんぽ生命は将来、独自製品の開発・販売を通じて大きな競争相 手となる可能性があるだけに民間保険の間では警戒感も浮上している。

郵便局は養老・終身・学資保険などかんぽ生命の従来の自社商品を販売す るほか、他の民間損保の自動車保険、変額年金保険(ゆうちょ銀行)なども扱う 「乗り合い代理店」となる。12月に銀行窓口での保険販売の全面解禁も控え、 販売競争が一層激化するなか、かんぽ生命は民間生損保各社との提携・共同開発 商品だけでなく、自社商品も投入していく目論見だ。

民間は「肥大化」をけん制

かんぽ生命の強みは、直営81拠点のほか膨大な郵便局のネットワークとそ の利用者。保有契約件数は保険5696万件、年金保険674万件(2007年3月 末)だ。格付投資情報センター(R&I)の植村信保チーフアナリストは、この 巨大な代理店網と顧客基盤は、かんぽ生命だけでなく民間損保にとっても「チャ ンスになりうる」とみる。

一方、生命保険協会の岡本圀衞会長(日本生命保険社長、63)は、かんぽ 生命の誕生を控え、郵便局を通じた民間保険商品の拡販への期待を示しながらも、 「今まで扱ってきた商品を超える第三分野の取り扱いや、保障限度額を増やす問 題は慎重に考えてほしい」と述べ、業務範囲の拡大をけん制する。利用者が慎重 に商品を比較できる情報の拡充などが業界の課題になる。

公正な条件の下で競争へ

かんぽ生命の総資産は113兆円と生命保険会社38社を合わせた220兆円の 約半分と巨大だ。民間各社は満期を迎える従来の簡易保険などの資金を自社商品 の販売に引き込もうと躍起になっている。ただ、専門家の中には「売り子側」の かんぽ生命が巨大な営業基盤を生かして消費者ニーズに合致した新商品の導入な どにこぎつければ、業界を揺るがす存在になるとの見方もある。

金融庁の佐藤隆文長官は、日本郵政グループのかんぽ生命とゆうちょ銀行 について「完全民営化への移行期間を通じて競争環境が徐々に変わっていくなか で、既存の民間システムに大きな混乱をきたすことなくうまく溶け込んでいくこ とが大事」と強調。公正な競争条件を整備しながら、民業を圧迫することなく競 争を促し保険市場を活性化させていきたい考えを示した。

--共同取材:河元伸吾 Editor:Hirano(tue)

参考画面: 記事に関する記者への問い合わせ先: 東京 伊藤 小巻 Komaki Ito (813)3201-8871 kito@bloomberg.net 記事に関するエディターへの問い合わせ先: 大久保 義人 Yoshito Okubo +81-3-3201-3651 yokubo1@bloomberg.net Ben Richardson +85-2-2977-6467 brichardson8@bloomberg.net

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE