モルガンS,香港IPO引き受け1位-マックCEOがアリババと直談判

米証券大手モルガン・スタンレーのジョン・ マック最高経営責任者(CEO)が昨年6月、アリババ・ドット・コムの馬雲 (ジャック・マ)CEOとの1時間の面談のために、16時間のフライトもいと わず北京に出掛けたことは無駄ではなかった。

中間業者を経ずに企業と供給業者を結びつける企業間電子商取引で中国最大 手アリババの馬CEOは当時、株式上場を検討していた。一方マックCEOは、 ぜひともアリババの案件を獲得し、それを原動力に香港での新規株式公開(IP O)引き受けで初のトップの座をつかむ決意でいた。

アリババの10億ドル(約1160億円)規模のIPOは今月実施される。それ を引き受けるのはモルガン・スタンレーで、同社が関わる香港での民間中国企業 のIPOとしては今年少なくとも10件目。モルガン・スタンレーの市場シェア はおよそ25%と、2位と3位の合計を上回る。

モルガン・スタンレーのアジア投資銀行部門責任者、マシュー・ギンスバー グ氏によれば、中国・香港は現在、同社の日本を除くアジアの投資銀行部門収入 の50%以上を占める。2002年には約10%に過ぎなかった。同社の2007年6- 8月(第3四半期)決算が債券部門の収入減やレバレッジド・バイアウト(LB O)向けローンの損失が響いて7%減益となるなか、中国・香港でのIPO引き 受け業務はますます重要になっている。

申銀万国証券のマネジング・ディレクター、ウィリス・ティン氏は、モルガ ン・スタンレーにとって、「CEOが中国に赴き、企業トップと面識を深めるこ とは重要な意味を持つ」と指摘。「こうしたことは同社の意気込みを示すし、顧 客にも強い印象を与える」と説明した。

パーセル前CEOの退陣

中国市場でモルガン・スタンレーは、12年前に外資系で初めて合弁投資銀 行を設立したものの、フィリップ・パーセル前CEO時代にUBSとゴールドマ ン・サックス・グループに後れを取ることとなった。ブルームバーグ・ニュース のデータによれば、モルガン・スタンレーはこれまで香港IPOの引き受けで1 位になったことがない。パーセル氏が株主の圧力によりCEOを辞任した後、 2005年にCEOに就任したマック氏は、以後中国を6回訪れている。

マックCEOの馬氏との面談は、投資銀行と数百人の起業家との間でほとん ど毎日のように行われる協議の1つにすぎない。こうした起業家らは、中国の金 融機関にとってますます重要な収入源となってきている。

チャイナ・ルネッサンス・パートナーズのバオ・ファンCEOは、「こうし た民間企業すべてがIPOを実施する流れになるのは確実だ」と述べ、「この潮 流に乗った者が勝利をつかむだろう」と予想した。

世界から中国企業への投資を募るには、主として香港市場が利用されている。 中国本土の上海と深セン両市場は外国人投資家には一部しか開放されていないた めだ。

今年これまでの香港IPO市場でのシェアは、モルガン・スタンレーが 25%。2位のUBSを11ポイント上回っている。ゴールドマンは7.3%と、昨 年の2位から4位に後退した。

カントリー・ガーデン

モルガン・スタンレーが今年手掛けた香港IPOは、中国の不動産開発会社、 カントリー・ガーデン・ホールディングス(碧桂園集団)や、中国のスポーツシ ューズメーカー、アンタ・スポーツ・プロダクツ(安踏体育用品)など。

テンプルトン・アセット・マネジメントで300億ドル相当の資産運用に携わ るマーク・モビアス氏は、「投資銀行の顧客はかつてのように中国政府のみでは なく、いまや層が大きく広がった」と指摘する。

ブルームバーグ・ニュースのデータによれば、中国国有企業は香港市場での IPOで01-06年に700億ドル調達し、今年これまでの調達額は約86億ドル。 一方、未公開の民間会社の今年の調達額は93億ドル。

今年の香港IPOでは、調達額上位10社のうち6社がこうした中国の未公 開会社だった。モルガン・スタンレーはこのうち5社の引き受けに関与したが、 ゴールドマンは関わっていない。

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