金相場高騰:タンスに眠る金貨で一獲千金、地金店に換金殺到

「待ち時間が連日1-2時間、時には3時 間になる盛況ぶりだ」---地金店最大手、田中貴金属工業の東京・銀座本店 「ギンザ タナカ」のゴールド・アドバイザー、富永展弘氏は、一般投資家の 間で加速する金地金や金貨売却の動きに驚嘆している。同店では、換金目的 の顧客が押し寄せ、9月中旬以降、臨時の待合室を設置するほどだ。金小売価 格が23年ぶりの高値を付けるなか、タンスに眠る金地金や金貨を売って一獲 千金を狙う投資家が増えている。

金売却が活発となっている背景について、みずほコーポレート銀行・市場 営業部ニュープロダクト営業チームの吉井哲也・調査役は「金価格は20数年 来の高値を付け、年初からみても18%ほど上昇している。そろそろ割高感が出 てきているため、いまのうちに利益を確定しようとする売りが出ている」と分 析する。

東京・神田の金地金店老舗、徳力本店の山本文雄・管理部長によると、換 金目的で訪れる顧客数が急増したのは、金小売価格が2716円と、23年ぶりの 高値を更新した9月19日以降。この日を境に「顧客の大半が金を売却するよ うになった」(富永氏)。日本マテリアルでも、全国10店舗の店を訪れる顧 客の「9割以上が換金目的だ」(高杉京龍常務)という。

田中貴金属工業や徳力本店の1日の小売価格(税込み)は、前日比23円 高の2909円。

金先物価格の国際指標とされるニューヨーク商業取引所(NYMEX) COMEX部門の金相場(期近物)の1日終値は、前日比4.1ドル(0.6%) 高の1トロイオンス当たり754.1ドル。

東京・世田谷区在住の田中利政、久子夫妻(ともに59歳)は、金の小売 価格が1グラム当たり1200円だった30年ほど前に、将来の楽しみにと金地 金を購入し、タンスにずっとしまっていた。金価格高騰に気づき、住居の改築 資金にと売却することを決意した。改築後には、息子さん夫婦を呼び寄せ、同 居する予定。思わぬ収入にふたりとも相好を崩した。

都内在住の石本光氏(57歳)は、金相場が「短期的にいまが最高値」と判 断し、保有する金地金の一部を残し、初めて換金することにした。3年前に退 職金をもとに地金を購入して以来、「金相場について勉強している」という。

田中貴金属・銀座本店の富永氏によると、金地金、金貨、宝飾品などの売 買はこれまで、年配層が圧倒的に多かったというが、最近は「若い人たちも目 立つ」のが特徴だ。銀座の不動産会社でOLをしている長谷川睦子氏(38歳) もその一人だ。

長谷川氏は数日前、「ギンザ タナカ」に来店したが、多くの人たちでご った返していたため、出直さざるを得なかったという。取材当日は、過去10 年間に購入したカルチェなど18Kの指輪、イヤリングなどを換金した。臨時収 入に「うれしい」を連発する長谷川氏だったが「残念ながら結婚指輪だけは売 ることはできない」。

世界の大手産金会社で構成される金調査団体、ワールド・ゴールド・カウ ンシル(WGC)の豊島逸夫・日韓地域代表は「換金している人の大半は6- 7年ほど前に金を購入した人たち。いまの価格が維持されるなら、あと半年ほ ど売り戻しは続く」との見方を示す。

--Editor:abe(OKB)

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