NY外為:円下落、株高でキャリー取引-ユーロは最高値後に下げ

ニューヨーク外国為替市場では円が下落。 ユーロやオーストラリア・ドル、ニュージーランド・ドルに対して7週間ぶり の安値を付けた。株価が世界的に上昇し、低金利の日本で資金を調達し、高金 利通貨国で運用するキャリー取引に対する安心感が広がった。

円は主要16通貨すべてに対して下落。対ドルでは最も下げがきつく、ほ ぼ2週間ぶりの高い下落率となった。ドルは対ユーロで8月30日以来の大幅 高となった。チャート上でユーロが最高値を更新後に下げる兆候が表れたため、 ユーロ売り・ドル買いが優勢になった。

英スタンダード・チャータード銀行のシニア通貨ストラテジスト(ニュー ヨーク在勤)、マイク・モラン氏は「リスクをとる意欲が大幅に回復した。そ れが円売りにつながっている」と述べた。

ニューヨーク時間午後3時23分現在、円はユーロに対し前週末比0.8% 安の1ユーロ=164円80銭。8月9日以来の安値に近づいた。対ドルでも

0.8%安の1ドル=115円74銭となった。ドルはユーロに対し0.2%高の1 ユーロ=1.4237ドル。一時は1.4283ドルと過去最安値を付ける場面もあっ た。

ダウ工業株30種平均は最高値を更新した。サブプライム(信用力の低い 個人向け)住宅ローン問題で打撃を受けた銀行業界と建設業界の最悪期は終わ ったとの見方から買いが入った。株価はアジアや欧州市場でも上昇した。

キャリー取引

リーマン・ブラザーズ・ホールディングスが算出した円キャリー取引を促 す指数はFOMCの大幅利下げにより「かなり」強まった。円キャリーの解消 を勧める指数は19%と、8月初旬の95%から低下した。

円はキャリー取引の代表的な運用通貨であるニュージーランド・ドル、豪 ドルに対してもそれぞれ2%、1.5%下げた。

1カ月物のドル・円オプションのインプライド・ボラティリティ(IV、 予想変動率)は9.55%と、FOMCが利下げを実施する前日の9月17日の

11.65%から低下している。IVの低下はキャリー取引を促す。

対ドルでのユーロの相対力指数(RSI、期間14日)は76.8と、6週 間前の2倍超となった。RSIは70を上回るか30を下回ると、相場の反転を 示唆する傾向があるとされる。

行き過ぎたユーロ高

デイリーFXドットコムの上席通貨ストラテジスト、ボリス・シュロスバ ーグ氏は「過去数週間の断続的なユーロ買いでユーロ高に反する要素が多く出 てきた」と述べた。

FOMCが年内に追加利下げを実施するとの思惑からドルは9月に対ユー ロでほぼ4年ぶりの大幅な下落となった。フェデラルファンド(FF)金利先 物相場は12月11日の定例会合でFOMCがFF金利誘導目標を4.25%に引 き下げる確率が55%あることを示唆している。1カ月前は11%だった。

米供給管理協会(ISM)が1日に発表した9月の製造業景況指数が

52.0と、過去6カ月間で最低水準に鈍化したことが明らかになると、ドルは 伸び悩んだ。前月の52.9からも低下、ブルームバーグ・ニュースがまとめた エコノミスト予想中央値(52.6)も下回った。同景況指数で50は景気の拡大 と縮小の境目を示す。

債券ファンド最大手、米パシフィック・インベストメント・マネジメント (PIMCO)の投資責任者ビル・グロス氏は、住宅価格の下落が今後数年間 にわたり米金融政策の主因になるとの見方を示すとともに、来年には米金利が 控えめに予想しても3.75%に引き下げられるとのシナリオを提示した。

カナダ・ドルは対円で一時1.1%高となり、2カ月ぶりの高水準を付けた。 対米ドルでは1976年以来の高値水準となった。

トルコ・リラは今年、対円での上昇率が新興市場国通貨の中では最も高い。 1日の上昇率は1.3%。

ブラウン・ブラザーズ・ハリマンの為替ストラテジスト、ウィン・シン氏 は「FOMCの利下げにより、金融市場に流動性がいくらか戻った。それが株 式相場とキャリー取引に恩恵を与えている」と述べた。