日経、朝日、読売:共同でネット事業や販売-メディアが異例の協力

日本経済新聞社、朝日新聞社、読売新聞グ ループ本社の3社は1日、インターネット上でニュースサイトを設立する共同事 業や宅配販売網維持に向けた業務提携などで合意したと発表した。若者の活字離 れやネットの普及に伴うニュースメディアの多様化など、新聞メディア各社は時 代の変化にさらされ、発行部数が伸び悩んでいる。このため、連合しててこ入れ を図る。さらに災害時などの新聞発行の相互援助も行う。

ネット分野での共同事業では、各社が既に単独で実施しているネット事業に 付加価値をつけたサービス提供を2008年初めにも開始する方針。3社がネット サイトを共同運営することで、読者側の利便性を高め、同時にネットによる広告 などでの収益性を確保し、次世代メディアでも新聞社としてニュースの執筆から 配信までを一貫して行う。

世界的なレベルでメディア再編の機運

ライバル関係にある新聞社同士が協力するのは国際的にも異例だが、その背 景には業界の危機感がある。ただ、ネットの台頭やライバル会社との競争により 世界的にメディア各社の間で再編の機運が高まっている。5月には英ロイターと トムソンが統合することで合意。米メディア大手のニューズ・コープは8月、米 出版・メディア大手ダウ・ジョーンズを買収することで合意した。

日本の新聞社は、新聞の再販売価格維持の制度に守られながらも危機感から ようやく動き始めた。3社以外の全国紙の毎日新聞や産経新聞などの主要紙や地 方新聞社、さらに全国規模でニュース配信する通信社などの経営方針にも大きな 影響を及ぼしそうだ。

ネット広告収入なども視野

3社は、具体的に主要記事や社説の読み比べができるサービスのほか、ネッ トの多様な技術を駆使し、共同でニュース配信のツールなどの提供も検討する。 事業費は当面、数億円を見込むが、3社が均等に負担する。事業主体は「将来的 には株式会社化も視野に入れているとし、可能なら3年をメドに採算が取れるよ うにするまで持っていきたい」(日本経済新聞社の杉田亮毅社長)としている。

販売事業分野の業務提携で、3社は全国規模での新聞の個別配達網を「国民 生活に不可欠な知的インフラストラクチャー」と位置付け、今後もその維持を目 指す方針。そのため、山間部や過疎地、さらに都市部でも新聞配達の効率性が維 持できない地域では主に読売と朝日の販売店が相互に助け合い販売網を維持する。

当面は3社で活動

同日都内ホテルで会見した、日本経済新聞社の杉田社長は、3社の共同事業 への取り組みについて、日本の新聞メディアとしての信頼性の高さを維持すると いう方針を打ち出した。さらに、各社のネットによる既存のサイトのコンテンツ (情報の内容)は基本的に維持しつつ、新設する共同サイトに取り組む方針。

杉田社長は、共同サイトの料金は「原則的に無料の方向で考えている」とし ながら、サイトの訪問数を示すページビューが大切だとして、サイトの集客力に 基づいたネット広告ビジネスには興味を持っていると述べた。

また杉田社長は、3社以外の新聞社もニュースサイト運営や販売網の協力で 「主旨に賛同すれば排除するつもりはない」としながらも「当面は3社による運 営になるだろう」との見通しを示した。

販売事業では協力と競争のすみ分け

また、販売事業での提携では、朝日新聞社の秋山耿太郎社長と、読売新聞の 内山斉社長が、販売店の協力分野は過疎地や山間部、さらには都市部でも配達網 が弱い地区のみに限定されると強調。具体的には、年内にも大阪の西成区で相互 の配達などを開始することを明らかにした。また、鹿児島県も来年には販売店の 協力を実施する方向で現在具体的な地域を絞りこんでいることを明らかにした。 一方で、都市部では依然として競合関係にあるとして、それぞれの協力と競争の すみ分けを明確化する方針を打ち出した。

読売新聞の内山社長は、読売と朝日との販売店の相互協力は「北海道の函館 で始まり、地域を徐々に広げたもの」として全国的に適用する前に北海道で成功 例があることを強調した。

「課題は収益化」、ヤフーには「追い風」との見方も

新聞3社の連携について、いちよし経済研究所の納博司アナリストは「広告、 購読料というこれまでの収益モデルがダウントレンドにあるなか、ジャーナリズ ムの存在は確かに重要だが、どう収益化していくかがこれからの大きな課題」だ と指摘する。

そのうえで納氏は「新聞各社はコンテンツをつくる力は高いが、コンテンツ を配信、流通する力は陳腐化してきている。今後はコンテンツと配信とを分けて 考える必要も出てくるだろう」と語った。日経の杉田社長は会見で、現時点では、 ヤフーやグーグルなどのネット専門のポータル(玄関)サイトを運営する会社と 連携することは考えていないとし、3社による協力体制でインターネット分野で の新聞の存在意義を高める方向で努力すると述べた。

納氏は、新聞各社が連携した動きは、ヤフーやグーグルなどにとってはプラ スだと指摘して「ネットの存在感が高まっていることを意味しており、ネット各 社にとって今後、メディア各社と連携するチャンスになるかもしれない」との見 方を示した。

--共同取材 白木真紀 Editor:murotani(kok/hks/okb/kzt)

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