商品業界に激震:日本人トレーダーの引き抜き熾烈化、人材流出懸念も

「資産運用者や商品トレーダーらが他社 に移るケースが頻繁にみられる」---UBS債券本部法人営業部コモディティ 担当エグゼクティブ・ディレクターの土方薫氏。世界的なコモディティ(商 品)・ビジネスの拡大を背景に、ここ数年、コモディティ取引分野で日本人ト レーダーが外資系企業に引き抜かれるケースが目立っている。一方、国内企業 から有能な人材が流出するとの懸念も広がっている。

ことし7月末、欧州系最大手金融機関の1つ、ドイツ銀行グループのドイ 証券が、コモディティ事業専門部署を東京で立ち上げた。元バークレイズ・キ ャピタル証券・コモディティ部の北方宏之氏が責任者に就任、バークレイズで 商品デリバティブ(金融派生商品)事業を立ち上げた業績と、エネルギーや非 鉄金属市場での取引経験が評価されたようだ。

同じくことし7月、ソシエテ・ジェネラル証券は、商品取引部門の日本法 人として、フィマット・ジャパンを立ち上げ、ひまわりホールディングス傘下 の商品取引会社である、ひまわりCXの法人営業部門を買収し、茂木八洲男氏 が率いるトレーダーチームのメンバー全員がフィマットに移籍した。

昨年12月には、南アフリカ共和国最大の銀行、スタンダード・バンク・ グループが東京でトレーディングチームを発足させるため、三井物産の金融市 場本部・商品市場部・貴金属営業室チームリーダーだった池水雄一氏を責任者 として起用。モルガンスタンレー証券・コモディティ部で活躍する遠藤久樹エ グゼクティブ・ディレクターも大手総合商社出身だ。

一流の人材だと年棒5000万円も-ヘッドハンター

外資系銀行や証券会社などに人材を派遣、紹介しているミネルバインター ナショナルのヘッドハンター、ジョン高原氏は、コモディティと金融の両方を 理解する人材は海外でも意外に少ないと指摘。日本の場合、外資系金融機関の 参入が進んでいることから、高原氏は「そうした人材に対するニーズが数年前 から高まっている。一流の人材になると(年棒が)5000万円になる」と説明す る。

日本の商品取引業界ではかつて、ある会社の営業部隊がそっくりそのまま 国内ライバル会社へ移籍することがあり、業界全体で物議を醸したことがあっ た。現在は国内企業から外資系企業、外資系から外資系への転進が目立つ。

こうした状況に対し、大手商品取引会社を傘下に持つユニコムグループホ ールディングスの二家英彰社長は、自社で引き抜かれた人材はいないとしたう えで「人材が限られた人しかいないので、引き抜かれた側にダメージがある。 痛いと思う」と懸念を示した。

一方、ソシエテ・ジェネラル証券の保科英明・広報部長も「多くの場合す ぐに人材を補充するのだろうが、それは簡単ではない」と語り、人材確保に神 経を使っていることをうかがわせる。

商品取引の活況に加え、金融と商品との取引規制の垣根撤廃など自由競争 が加速するなか、人材流出を食い止めたい会社側と、よりよい条件で外資系企 業への転職を希望するトレーダーらとのつば競り合いは当分続きそうだ。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE