ソフトバンクM副社長:法人顧客は「数」で勝負-零細企業を軸に(3)

国内携帯電話3位ソフトバンクモバイル の富田克一副社長(国内営業担当)は、ブルームバーグ・ニュースのインタビ ューに応じ、法人市場の開拓に一段と力を入れる方針を明らかにした。個人向 けの普及一巡に伴い新規契約獲得の限界が近づく中、特に大企業よりも数が多 い零細企業や個人企業への浸透を目指す方針だ。

インタビューは24日に行った。富田副社長は、今後の携帯電話市場につ いて「空いているとすれば法人の市場」と強調。大企業顧客の開拓では最大手 のNTTドコモや2番手のKDDIと「丁々発止しても勝てない。顧客数や過 去の歴史が違う」としたうえで、「マーケットは零細の方が大きい」と語り、 数の論理で法人市場を攻める意向を示した。

富田氏は浸透策の具体例として、ソフトバンクの携帯同士ならば使い方次 第で通話料が無料になる「ホワイトプラン」を、企業の「内線代わり」として 売り込んでいることを挙げた。通話だけでは肝心のARPU(1契約当たりの 月間収入)の伸びにはつながらないが、携帯にビジネスソフトを組み込めば、 「内線電話を携帯に置き換えただけの世界から、その上で情報をやりとりする 形に広がっていく」と語り、こうしたサービスで収益を確保する意向を示した。

大和総研の西村賢治アナリストは、零細企業はニーズや業種が幅広いこと から、ドコモやKDDIはこうした企業へのマーケティングを「システム立て てやってこなかった」と指摘、「市場の裾野も広いので、悪いビジネスではな い」とみている。

富田氏はNEC出身。同社子会社のNECフィールディング社長を退任後、 昨年7月に英ボーダフォン日本法人(現ソフトバンクモバイル)副社長に就任 した。同氏はNECフィールディングが現在、従業員の就業状態把握や業務支 援に携帯を活用しているケースを引き合いに出し、「企業活動で携帯は必然の 武器になる」と説明。法人市場開拓の成否はサービス展開の「切り口」次第だ と語った。

総務省統計局の事業所・企業統計調査によると、2006年の民営事業所数は 約572万カ所に上るが、このうち従業員10人未満の事業所が約8割を占め、 300人以上は0.2%にとどまっている。

顧客基盤拡充を先行

ホワイトプランは1月に導入。中途解約した場合は端末コストの残額を強 制徴収できる割賦販売手法により解約率が低下していることとも相まって、同 社全体の契約獲得増に貢献してきた。この結果、月間の契約純増数では5-7 月の3カ月連続でドコモとKDDIを抑え、トップとなっている。

無料通話が活用されている結果、契約が取れてもARPUが伸びていない との指摘に対し、富田氏はARPU上昇は「本質的にはコンテンツ(情報の内 容)をいかにリッチにするかに掛かっている」と説明。「純増を積み上げる一 方、他社にないコンテンツをやるというバランスの中で、顧客基盤拡充が先行 していることは否定しない」と述べた。

10年戦争

孫正義ソフトバンク社長は昨春に携帯事業を買収した際、10年以内に国内 シェアトップを目指す意向を示していた。ただ、割賦販売やホワイトプランで 契約獲得が加速しているとはいえ、7月末のシェアはドコモ53.7%、KDDI

29.3%、ソフトバンク16.9%。

富田氏は「ホワイトプラン導入後に『10年戦争』を戦う基盤が築かれ、手 ごたえを感じている」と振り返る。「一番の基本はやはりシェアナンバーワン。 まずは顧客ベースを広げる」としながらも、大型のキラーコンテンツでも出な い限り「シェアは月に0.数%しか動かない」とも指摘。契約獲得を地道に積 み上げていく意向を強調した。

ソフトバンクの株価終値は前日比40円(1.8%)高の2310円。

--共同取材 吉川淳子、近藤雅岐(東京) Editor:Taniai(kok/kzt/okb/kzt/abe))

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