債券もみ合い、20年債入札低調も株安が支え-需給良好の見方(終了)

債券相場はもみ合い。株価指数の動向に対 して逆行する形での展開となった。株価が小安い推移となると先物の日中取引 は前週後半以降の狭い値幅に収まった。一方、20年債の入札結果が市場予想に 比べ低調となったものの、月末にかけて保有債券の年限長期化需要が見込まれ ており、好需給への期待が一段の金利上昇を抑制していた。

大和住銀投信投資顧問債券運用部の伊藤一弥ファンドマネジャーは、世界 的な金融市場の波乱が一段落して材料に欠けるなか、先物は日中取引で上下し ながらも結局は135円半ばの水準で収束する展開だと指摘。また、「中長期的 な景気への影響を確認する作業が必要なため、現物市場では金利水準が低いと 感じながらも、売るに売れないといった地合いが続いている」ともいう。

東京先物市場の中心限月9月物は、内外株安を受けて朝方に小高く推移し た。その後、株価指数が上昇に転じたのを受けて午前の取引終了前には135円 40銭まで下げたが、相場は午後に入り再び、前日の終値を上回る展開となった。

一方、株価指数が午後に再び下げに転じると、先物9月物は1時すぎにこ の日の高値135円63銭に上昇。取引終盤には上昇幅を縮小し、結局は1銭高の 135円45銭で終了した。

10年債利回りは1.615%

現物債市場で10年物の286回債利回りは、前日比0.5ベーシスポイント(bp) 低い1.615%で始まり、開始後しばらくは1.61-1.62%でもみ合っていた。20 年債の入札結果発表直後には0.5bp高の1.625%をつけたが、すぐに買いが入っ て一時は1.605%まで低下。その後は再び1.61-1.615%で小動きとなった。

信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)の問題に伴って、 金融市場は8月半ばにかけて大混乱を来たしており、21、22日には新発10年債 として1年半ぶり低水準となる1.54%まで買い進まれる場面があった。

しかし、「金融市場はかなり混乱したが、各国中銀は流動性供給で素早く 対応した」(AIG投信投資顧問・横山英士ポートフォリオマネジャー)こと から、米国はじめ各市場が足元で落ち着きを取り戻しており、今後も債券市場 は日々の取引では株価動向をにらみながら、10年債利回りは1.6%を中心とし た推移が続くとの見方が強まりつつある。

モルガン・スタンレー証券の山脇貴史債券ストラテジストは、ここにきて海 外株価が戻り歩調にあるなかで債券も買い進みづらくなったと指摘。そのうえ で、「今後はサブプライム問題がマクロ経済に及ぼす影響の見極めが必要で、 米国の株価が再び動揺しないかぎり債券はもみ合いだ」との見方を示した。

20年債入札結果は低調、利率下げを嫌気

一方、この日に実施された20年債の入札に関しては、「絶対金利水準の魅 力が薄れているため市場予想より悪かった」(横山氏)と受け止められた。

実際、「生保など多少買う必要があったが投資するには難しい。他のゾーン と比べれば利回り確保のために入れざるを得ないが、今回のこの水準では積極 的には集まらない」(横山氏)とされ、需要が減退している様子がうかがえた。

半面、入札自体は低調な結果だったとはいえ、利回りが上昇すれば相応の 需要が見込まれており、結果的に相場全体を崩すきっかけとはならなかった。

大和住銀投信投資顧問の伊藤氏は、年金基金などから月末に伴う年限長期 化ニーズのほか、余力のある海外勢からは割安を見込んだ買いも見込まれると 指摘。「確かに生保などのあきらめ買いは見られず、入札結果自体も予想以上 に悪かったが、相場が調整して金利が上がれば買いが入ってくる」ともいう。

財務省が発表した20年物の96回債(8月債)の入札結果によると、最低 落札価格は99円30銭(利回り2.150%)で、市場の事前予想の99円50銭から 大きく下振れた。また、平均価格99円54銭(同2.133%)との格差(テール) は、前回債の4銭から24銭に拡大。2006年3月に入札された85回債以来の水 準に広がった。応札倍率は前回債の3.63倍をやや下回る3.39倍だった。

(債券価格)                               前日比        利回り
長期国債先物9月物          135.45         +0.01         1.812%
売買高(億円)              43844
10年物286回債             101.57                   1.615(-0.005)